研究テーマ

2004年 白磁の食器

2004年 白磁の食器

ふつうのものを、ちゃんとつくる。

どんな料理も引き立てる、シンプルな白い器。白磁の食器シリーズは、天草陶石をつかい、長崎県の波佐見町で伝統の技を生かしてつくられています。波佐見町は、伊万里焼や有田焼で有名な有田町に隣り合っていて、古くから日常づかいの器が大量につくられてきたところ。ほんのり青みがかった透明感のある白さが特徴で、簡素な美しさを持つ日常づかいの器です。毎日使うものだから、ふつうのものをちゃんとつくる。主役でなく名脇役を目指してつくりました。

開発は、陶磁器デザイナー森正洋さんとの協業で進められました。ただデザインするだけではなく、使い勝手をとことん追求する森正洋さんは、何度も試作を重ね、実際に食事をしながら大きさや形を検証。また生産の工程・道具・技術を熟知していて、最適な方法でものづくりを行います。時間はかかるけれど熱ムラの少ない「トンネル窯」を選んだのも、耐久性にこだわったため。その一連の仕事ぶりから、ものづくりとは人が使うものをつくることであり、つくり手が持つべき自覚とともに、重い責任があることを教られました。

シリーズの代表的商品は、白磁めし茶碗(特大・大・中)と白磁汁差しです。めし碗は軽く持ちやすくやや浅めで、ごはんが本当においしそうに見える形。汁差しは狙ったところに差しやすく、液垂れしないよう細い口が微妙な角度でつけられていて、全体は卓上で映える美しい形をしています。

森正洋さんは、この白磁のシリーズが発売された翌年、2005年に亡くなられました。病室にスケッチブックを持ち込み、最後までこの白磁シリーズを描き続けていらっしゃったということです。

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