研究テーマ

1992年 MDF家具

1992年 MDF家具

使い道を広げる。

ミディアム・デンシティー・ファイバー(中くらいの密度の繊維)、略してMDF。木材の端材を粉砕して一度繊維状にし、熱圧で成型した再生材です。家具の業界では、化粧合板などの芯材として使われます。天然木は木目と反対の方向に反る性質がありますが、MDFは構造が均一で丈夫なため、反りや狂いが少なく、加工性にすぐれているからです。

この素材の質感をそのまま生かして、家具をつくってみたらどうだろう? そんな発想から、MDFの家具が生まれました。それまで裏方の素材として扱われていたものを、表舞台へ登場させたのです。

表に出すからには、美しさも必要になってきます。よく使われるラバーウッドの端材からつくったMDFでは、色が黒っぽくなって、インテリアになじみません。方々探した結果、ラジアータパインという、ニュージーランド産のパイン材が見つかりました。薄い赤系の自然な色合いです。この色合いを生かして、多目的の大型収納ボックスやデスク、チェスト、小物用ボックスなどをつくりました。しっかりしたつくりなのに価格は手頃、組み合わせもできる。そんな点が支持されて、人気アイテムに。翌年には、キッチン用のストッカーやレンジ台も登場して仲間を広げていきました。

MDF素材から始まった組み合わせを楽しめる収納は、その後、より軽い素材のパルプボードボックスに受け継がれ、モジュールも統一されたシステム収納へと進化していきます。