研究テーマ

クリスマス、お正月はシェアのシーズン

ショッピングで賑う街。メリー、ハッピーの声ばかりが流れていく中で考えてみたいことがあります。日本のお正月と同じように多くの国のクリスマスは家族が集まって食事や贈り物を楽しむとき。ところが健康や、経済や、いろいろな事情でそれができない人の多いことが世界の正直な姿です。こうは考えられないでしょうか。つらいから、悲しいからこそクリスマスやお正月を目標にして祝い合う。「助け合う行為」を贈りものにする。
古くはイギリスの習慣に学び、現在の私たちの身近にあるシェアのサイトへも手を伸ばしましょう。

「ボクシング・デイ」

イギリスやオーストラリアなどキリスト教圏を旅していて、クリスマスには翌日もう一つの休日があることに遭遇された方がいらっしゃるでしょう。その名は「ボクシング・デイ」。でもリングで熱戦沸くスポーツのボクシングではありません。箱のボックスが主題の日で、ボクシングは"箱でする"感謝の行為と言えるかもしれません。
クリスマス・プレゼントの入っていた箱に、ディナーやパーティーのご馳走の残りものを詰めたり、ギフトのお裾分けをしたりする風習が「ボクシング・デイ」の名の由来ですが、古くは英国貴族の館などで、クリスマスも働いて主人や客に奉仕してくれたことや一年間の感謝として、使用人に実家での休日を与え、そのときにさまざまなギフトを箱詰めにして贈ったのが語源という説が有力です。
善意のギフトの循環、と現在の感覚で読み直すこともできるでしょうか。また教会に箱を置いて、金銭を少しでも寄付して困った方々に届けるなどの行為もキリスト教社会では自然に継承されてきました。このドネーション・ボックスは美術館などでも受け継がれているので、館の入り口に置いてある箱に気づかれたこともあると思います。
中世にさかのぼるというボクシング・デイの慣わしも時代とともに変化して、市民社会では郵便配達員や門番さん、牛乳配達の方など日頃お世話になっている人たちに御礼をする日となっていきます。

お正月の三日目などに

日本のカレンダーではウィークデイのクリスマスはお休みではなく特別の日でもありません。何だか実感がありませんね。それなのにクリスマス祭事とギフトや食習慣だけを受け継いで過ごすだけでいいのでしょうか。
イヴとクリスマスデイを楽しんだ三日目には他の人のために何かしてあげるという、気持ちの発露もともに受けとめ広げていきたいと思います。元日、二日、三日の祝日期間をまとめて「三が日」と呼んできた日本では、家族だんらんは元日。二日、三日は親類や友人を招き招かれる日とする方が多いようです。初詣や書き初めをこの二日間にするご家族も多くみかけます。そこで第三日目には、誰かの役に立つことを組み込んでみることはできないでしょうか。
日本の子供の7人に1人が貧困に苦しんでいるというデータが最近発表されました。アジアに、世界に目を広げればさらに辛い環境があることも事実です。
リアルなボックス詰めでなくても、ウェブでクラウドファンディングをサポートするのもいいかもしれません。
誰かに何かさせていただく幸せを休日の季節に思いたいものです。

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(このコラムは2014年12月24日掲載のコラムに加筆したものです)

関連サイト
[無印良品の募金券]
「途上国の給食支援」TABLE FOR TWO

[くらしの良品研究所過去のコラム]
子ども食堂
「ある」と「ない」をつなげる ─おてらおやつクラブ─
(関連外部リンク)おてらおやつクラブ

[ローカルニッポンの記事]
要町あさやけ子ども食堂
(関連外部リンク)豊島子どもWAKUWAKUネットワーク

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