研究テーマ

地球温暖化は止められるのか?

私たちのくらしに甚大な被害をもたらす気象災害が急増してきました。つい先日も、九州地方をはじめ、岐阜県や長野県で大きな川が氾濫し、大勢の方が被災されました。前回、2016年4月に「地球温暖化がもたらすもの」というコラムを書きましたが、4年の歳月を経て、温暖化の問題はますます深刻さを増してきているようです。はたして地球の温暖化は、私たちの手で止められるのでしょうか。

上昇し続ける地球の気温

この冬の日本の平均気温は、平年に比べて1.66℃も高く、統計開始以来最も暖かい冬になりました。また、今年の2月には南極で20.75℃という"高温"を記録。南極で20℃超えをするのは観測史上初めてのことです。夏の暑さも異常です。一昨年(2018年)の日本は記録的な猛暑となり、東日本の気温は平年比で1.7℃も上昇。これまた統計開始以降、最も暑い夏になりました。今から四半世紀ほど前の1997年、日本の京都で、温室効果ガスの削減目標を定めた「京都議定書」が採択された頃には、まだ地球の温暖化に懐疑的な人もいました。でも、毎年のように起こる異常気象を見るにつけ、もはや温暖化の事実を疑うことの方が難しくなってきています。

頻発する気象災害

この異常な高温を裏付けるように、各地で気象災害が頻発しています。2017年7月には、福岡県と大分県を中心とする九州北部で集中豪雨が発生し、40名を超える死者・行方不明者が出ました。翌2018年には、6月末から7月初めにかけて西日本を中心に広い範囲で豪雨が降り、250名を超える死者・行方不明者が出ました。また、昨年9月には台風15号が関東地方を直撃し、千葉県を中心に強風で屋根の瓦が吹き飛ぶなどの被害が。その一カ月後の10月12日には、過去最強クラスの台風19号が伊豆半島に上陸。九州から東北までの広い地域で河川の氾濫などが起き、70名を超える死者・行方不明者が出ています。そして、今回もまた梅雨前線による集中豪雨で、大勢の人が命を落としました。そう、今や日本では、毎年のように"数十年に一度"の記録的な気象災害が起きているのです。

温暖化を止めるためには

地球の温暖化が、人類が排出するCO2の影響で起きていることは、ほぼ間違いなさそうです。問題は、このままCO2の排出が続いた場合、地球はどうなってしまうかということ。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年発表)は、このまま地球の気温が上昇を続けた場合、「海面上昇や沿岸での高潮被害」「大都市部への洪水での被害」「熱波による死亡や疾病」「干ばつ等による食糧不足」など、さまざまなリスクが生じると予測しています。
この予測を受けて、2015年にフランスのパリで開かれた「COP21」では、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して「2℃よりも十分に低く」抑え、さらに「1.5℃に抑えるための努力を追求する」ことが決まりました。「パリ協定」と呼ばれる努力目標です。しかし、地球の平均気温を「+1.5℃」に抑えるのは、言うはやすしですが、現実的には難しそう。IPCCは2018年の報告書で、この目標を達成するためには、2030年までにCO2の排出量を2010年比で45%削減しなければならないと述べています。2030年といえば、わずか10年後です。あと10年で全人類が出すCO2の量を半減させることなど、はたして可能なのでしょうか。

もし、温暖化が止められなかったら

もちろん、地球の温暖化は、人類が全力を尽くしてでも止めなければなりません。もし止められなければ、世界各地で今まで以上に大規模な災害が発生し、最悪、地球規模の大飢饉が起きるかもしれません。CO2の排出削減はもちろんですが、地球にある緑の量を増やしたり、空気中のCO2を除去する技術を開発したりするなど、さまざまな手段を講じる必要があります。
ただ、ここで心配なのは、仮に我々が手を尽くしても、もはや温暖化は止められない段階まで進んでしまった可能性があるということ。たとえば、気温の上昇によって、シベリアの永久凍土に閉じ込められていたメタンガスが放出されているという報告があります。メタンガスの温室効果は、CO2の数十倍。これがぜんぶ大気中に出ていったら、もう温暖化は止められません。たとえ今すぐCO2の排出をゼロにできたとしてもです。もしかすると人類は、地球温暖化という「パンドラの箱」を開けてしまったのかもしれません。
万一、地球の温暖化が止められないとしたら、どうすればいいのでしょう。私たちにできる唯一のことは、今後頻発するであろう気象災害から我が身を守ることです。先日も河川の専門家がテレビで話していました。昨今の雨の降り方は、国が想定している治水の能力をはるかに超えてしまっているのだと。いつどこで、今回のような大規模災害が起きても不思議のない状況に、我々は身を置いているのです。

もはや地球の温暖化は止められない? そんな最悪のシナリオを想定しながら、頻発する災害に備える方法を模索しなければならない時期に来ているのかもしれません。
では、どうやって災害から我が身を守ればいいのか。このテーマについては、また別の機会に考えてみたいと思います。

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