研究テーマ

ひとりで、キャンプ。

新型コロナ感染拡大の終わりが見えないなか、窮屈な日常が続いています。その一方で、行動を制限されたからこそ目を開かれたことも。以前なら少し孤独なイメージのあった「ひとりカラオケ」や「ひとりランチ」、「ひとり映画鑑賞」などが、今やスタンダードになりつつあるのもそのひとつでしょう。ソーシャルディスタンスを保つためにやむなく始まった「おひとりさま」が、実際にやってみると意外と気楽で楽しいことに、多くの人が気づいたから。そんな流れの中で注目されているのが、今回ご紹介するソロキャンプです。

ソロキャンプとは?

soloは「単独の」「ひとりの」という意味で、ソロキャンプは文字通り「ひとりで」するキャンプ。大勢で楽しむことの多いキャンプを、あえてひとりで楽しむことからこう呼ばれます。人との接触を避けるためには外出を控えるのが普通ですが、ソロキャンプはあえて外へ出て自然のなかへ。ひとりで楽しむキャンプだから、「三密」の心配もなく、自分のペースでリフレッシュできるところが魅力だといいます。
キャンプ場までの移動は、クルマ、自転車、バイク、公共交通機関など。クルマや自転車、バイクなら、往復の三密も避けられるので、コロナ禍のレジャーとして人気が高まっているのでしょう。

「自分で」する楽しさ

ひとりでキャンプするということは、重い荷物を運んだりテントを張ったりするのも、当然ひとりです。それだけに男性向きのレジャーかと思っていたら、最近では女性のソロキャンパーも増えているとか。そのひとり、東京都在住・在勤のHさんに、ソロキャンプの魅力を聞いてみると──
「まずは、向き合う相手が"自然"だということ」「ひとりだから全部自分の思い通りに采配できて、失敗も成功もすべて自分次第というところが心地良い」という答えが返ってきました。そして、「目の前の課題をひとつひとつクリアしながら、小さな達成感や成功体験を積み重ねることで、経験値を高め、自信を深めていける」とも。「ソロキャンプから日常に戻ったときに、それまでより、ひとまわり大きくなった自分と向き合える」と言いますから、遊びを通して成長していくのは子どもだけの特権ではないようです。

自然と「生」で向き合う

複数で行くグループキャンプが親睦やコミュニケーションを重視するリクリエーションなら、ソロキャンプは自然や自分と向き合うもの。「焚火の炎や水際の波、風の向きや強さ、湿度や雲行きなど、自然現象そのものが"遊び"の対象になる」とHさんは言います。「対人のコミュニケーションが発生しない分、自分を取り巻く自然環境と"生"で向き合い、興味深く観察したり経過を記憶したりできる」とも。「自然のなかで、自然を観測し予測し受け止めて、発生する課題を自分ひとりでクリアしていく楽しさ」や「ひとりで夜を越し朝を迎えた先に見える景色の美しさ」に触れたら、たしかに病みつきになりそうですね。そしてそうした体験は、自然との関わりのなかで生きてきた私たち人類が「人間らしく」「自分らしく」いるために、とても大切なことなのかもしれません。

ひとり遊びを楽しむ

キャンプ場での過ごし方というと、テントを張った後の時間を想像しますが、実は場所決めの段階から既に「楽しみ」は始まっているのだとか。Hさんの場合、自然状況と自分が眺めていたい景色を観察した上で、テントの設営場所を決めるといいます。
その後の楽しみ方は、人それぞれ。ひたすら景色を眺める人、周囲を散策する人、焚火をする人、アウトドアクッキングをする人、ゆっくりコーヒーやお酒を楽しむ人、音楽を聴く人、本や漫画を読む人、事前にタブレットにダウンロードしておいた映画を観る人…中にはわざわざキャンプ場に行かなくてもできるのでは? と思うものもありますが、それは門外漢のセリフ。自然の中で、誰に気兼ねすることもなく自分のペースで「ひとり遊び」できるのが、ソロキャンプの楽しみなのだそうです。

ソロ焚火を楽しむ

「焚火がしたかったから、ソロキャンプを始めた」というHさんの「ひとり遊び」は、もちろん焚火。水や木材の準備をしたり、火種を準備したり、着火させたり、火吹き棒で熾火(おきび)から炎を立ちあげたり…日常ではできない遊びだけに発見も多く、毎回興味が尽きないと言います。
物理的に火を扱うおもしろさだけでなく、火そのものの魅力も大きいとか。「焚火の時間のなかで、ふと、人間はきっと太古の昔から火と向き合って生きてきたのだろうなと、美しいものに出合ったような感動に見舞われ」たり、「炎の揺らぐ光と熱で、自分自身が魂ごと浄化されていくような不思議な感覚に陥る」こともあるそうです。
そんな情緒に浸れるのも、きっと「ひとり」だから。もちろん人との絆も大切ですが、自分が自分らしくいるためにはたまにはひとりになる時間も必要で、それを叶えてくれるのがソロキャンプなのかもしれません。

ソロキャンプの楽しさをご紹介してきましたが、コロナ禍が収束するまでは、なかなか出かけることも難しいかもしれません。そうであれば、自粛の期間を準備期間ととらえて、知識や安全対策などの蓄積にあてる方法も。また事情が許すなら、庭先やベランダにタープを張って「庭キャンプ」を楽しむのも良いでしょう。
安心してソロキャンプに出掛けられる日が、どうか一日も早く訪れますように。

研究テーマ
生活雑貨