研究テーマ

今年の節分は2月2日

もうすぐ節分ですね。豆まきの準備をされている方もいらっしゃることでしょう。ところで、今年の節分はいつもの年とちょっと違います。例年2月3日であったものが、1日前倒しになって、2月2日になるというのです。前回、節分が2月2日になったのは明治30年(1897年)だといいますから、実に124年ぶりのこと。なぜ1日早まるのか? その理由を探っていくと、太陽と地球をめぐる壮大な宇宙の営みが見えてきました。

節分とは

四季の移ろいとともに生きてきた日本人は、中国の古代に作られた「二十四節気」を暦のなかに取り入れて暮らしてきました。二十四節気とは、地球が太陽のまわりを回る1太陽年※を24等分したもの。なかでも重要なのが、昼夜の長さが最大になる夏至・冬至の二至と、同じになる春分・秋分の二分。そして、この二至二分の間にそれぞれ配置された季節の始まりの日が、立春・立夏・立秋・立冬の四立です。「節分」は四立の前日にあたる日で、「季節を分ける」という意味があります。だから、これは春だけのものではなく、立夏・立秋・立冬のそれぞれの前日にも節分はあるのです。節分とは何かについては、2016年のコラム「季節を分ける時」に詳しくありますので、こちらをご覧ください。
さて、話は今年の節分に戻ります。毎年2月3日であった節分が、なぜ今年に限って2日2日なるのでしょう。節分は立春の前日だから、当然、今年は立春も2月3日になります。この1日のズレはどこから生じてきたのでしょうか。

公転と自転の関係

皆さんご存じとは思いますが、地球は太陽の周りを1年という時をかけて回っています(これを1太陽年と呼びます)。そして、地球は自らクルクルと回転もしており、公転する間に365回自転をしています。だから1年は365日なのです。もし仮に、地球が太陽の周りを一周する間に、ぴったり正確に365回転してくれるのであれば、季節は永遠にカレンダー通りに進行するはずです。でも、残念ながら、自然界は人間の都合のいいようにはできていません。地球は太陽の周りを1周する間に365.2422回と、ちょっと多めに回転してしまうのです。つまり、1年365日を基準にして考えると、地球は太陽の周りを一周しきらずに、ちょっと手前で1年を終えてしまうわけです。その差は時間にして約6時間(5.8128時間)。毎年この時間分だけ、公転の"回り残し"が生じます。この6時間の不足分を放置しておくと、10年で60時間、100年で600時間、実際の季節とカレンダーの間でズレが生じます。600時間といえば25日ですから、たとえば東京だと、桜の花が2月終わりか3月初めに咲いてしまうことになります。これではマズイということで、設けられたのが閏(うるう)年。4年に一度、4で割り切れる西暦の年の2月の最後に1日付け足すことで、毎年生じる6時間弱の誤差を補正しているのです。
ただし、これでもなお食い違いは生じます。6時間弱の差といいましたが、厳密には5.8128時間であり、毎年0.1872時間(約11分)だけ補正しすぎてしまうからです。お金でいえば、借金の返しすぎという感じでしょうか。それが4年間で約45分。これが積もり積もっていくと、どこかで逆に1日分差し引かなければなりません。そして、その引き算をするタイミングが今年、2021年(令和3年)だったというわけです。

暦を決めるのは誰?

公転と自転の微妙なズレによって生じるカレンダーと季節の食い違い。それを補正しようとすれば、当然、地球や太陽など、天体の運行についての正確な知識と計算が必要になってきます。よって日本の場合は「国立天文台」がその誤差を補正する役を担っています。「暦計算室」という部署が国立天文台にあり、毎年2月の最初の官報で翌年の「暦要項」を発表しています。今年の節分が124年ぶりに2月2日になったのも、昨年2月3日の官報で発表されました。
さて、ここでひとつ疑問が残ります。日本の歳時記については国立天文台の方で正していますが、世界標準の暦ではこのズレをどうやって修正しているのでしょうか。調べてみると面白いことが分かりました。日本をはじめ世界の多くの国が採用している「グレゴリウス暦」では、「西暦が100で割り切れる年は閏年としない」とされているのです。ただし条件があって、「西暦が400で割り切れる年は閏年とする」とのこと。直近では西暦2000年が100で割り切れる年でしたが、2000は400でも割り切れるため、この年は閏年になりました。次回、西暦2100年は、100で割り切れるけれど400では割り切れないので、閏年ではなくなります。ちょっとややこしいのですが、このように閏年を間引くことで、グレゴリウス暦は天体の運行とのズレを微調整しているのです。

当たり前のことですが、暦(カレンダー)は太陽を巡る地球の運行に従って作られています。そして、自転の軸が23.4度傾いているため、この地球には豊かな季節が生まれます。124年ぶりの節分の日の移動は、そんな悠久の天体の営みを改めて実感させてくれるイベントです。そんなことに思いを馳せつつ、今年の節分は豆まきをしてみませんか。念のため、日付は2月2日ですので、お間違えのないように。

※1太陽年は春分点を基準として、地球が太陽の周りを公転するのにかかる時間のこと。約365.2422日。

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