研究テーマ

小さな保険

「保険」と聞いてまず思い浮かぶのは、生命保険や火災保険、自動車保険などではないでしょうか。万一、病気や事故、火災などに見舞われたときに、その損失に見合うだけの大きな金額を受け取ることが保険をかける目的です。ところが最近は、もっと身近な暮らしの中にある小さな"災難"に対してもお金の出る保険が出てきました。今回は、そんな「ミニ保険」と呼ばれている小さな保険にスポットを当ててみました。

ミニ保険とは

一家を支えている大黒柱である人間が死亡したり、事故や火災に見舞われたりした場合には、家計に大きな損失が生じます。その損失を補うために、生命保険や損害保険などがあるわけです。月々いくばくかのお金を払えば、万一のときに何百万円、何千万円という大きなお金を受け取ることができます。でも、そんな大金ではなくとも 、日々の暮らしの中で、思いもしなかった予想外の出費を強いられるケースもあります。たとえばスマホを落として壊してしまったとか。病気や怪我をして、楽しみにしていたコンサートに行けなくなってしまったとか。そういう不慮の災難による"手痛い出費"に対してお金が出る保険、それが「ミニ保険」です。
ミニ保険は2006年に保険業法が改正され、生命保険、損害保険に次ぐ第三の保険として誕生したもので、正式には「少額短期保険」といいます。その名の通り、掛け金と保障(補償)額の小さいことが特徴で、受け取れる最高の金額が生命保険で300万円、損害保険で1000万円と決められています。掛け金や保障(補償)額は商品によって違いますが、たとえばスマホに掛ける保険の場合は、月々数百円の掛け金で数万円程度まで補償されるものが多いようです。

ユニークな保険の数々

ミニ保険の中には、特殊なニーズに特化したユニークなものも少なくありません。たとえば、チケットぴあが取り扱っている「チケットガード」という保険は、コンサートやスポーツイベントなどを対象に、急な病気、けが、家族の入院や交通機関の遅延、突然の出張などでやむを得ずイベントの観覧・参加等ができなかった場合に、チケット代金を補償してくれます。また、ジャパン少額短期保険の「お天気保険」は、旅行先で雨が一定期間降り続けた場合に、旅行代金を旅行者に還元してくれます。また、日本少額短期保険の「HARLEY|車両+盗難保険」は、補償の対象をハーレーダビッドソン社製のバイクに絞ったニッチな車両保険。事故率の低いハーレーオーナーの特性を活かした安価な保険料も魅力のひとつだそうです。

おもしろミニ保険大賞

ミニ保険を扱う会社が集う「日本少額短期保険協会」では、2015年から「おもしろミニ保険大賞コンテスト」を実施しています。ユニークなミニ保険のアイディアを広く一般から募るもので、毎年3月2日の「ミニ保険の日」に優秀作品を発表しています。2020年(第6回目)の最優秀賞に選ばれたのは「産後ママ保険」。これは新米ママさんの不安を解消するために考えられた保険のアイディアで、産後からこまめな育児相談サービスダイヤル(電話)が受けられたり、ベビーシッターや家事代行の割引サービスが付いていたり、万一、産後うつと診断された場合には、ベビーシッターや家事代行などの費用を保険がカバーするという内容です。
ちなみに第1回コンテストの佳作作品は、実際に「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険」という商品になりました。「それでもボクはやってない」という映画をヒントに生まれたもので、痴漢に間違われたときに弁護士にヘルプコールできるほか、弁護士費用も補償してくれます。発売は2015年ですが、その後に痴漢に間違われて駅のホームから逃走する事件が多発したことから、契約件数が大幅に伸びたそうです。

ミニ保険は自分のニーズに合ったピンポイントの保障(補償)を手頃な保険料で得られるというメリットがある反面、注意すべき点もあるという専門家もいます。理由のひとつは、ミニ保険が「保険契約者保護機構」の対象外になっていること。生命保険や損害保険は、取り扱う会社が倒産しても契約が消滅することはなく、一定の契約者保護が図られます。でも、ミニ保険は対象外であるため、会社が破綻した場合の契約者保護はありません。また、年末調整や確定申告時に支払った保険料を所得から差し引ける保険料控除の対象にもなりません。

そもそも保険は自分では賄いきれない大きなリスクに対して掛けるもの。貯金のレベルで払えるかもしれない少額のリスクに対して、保険に入る必要があるかどうかはよく考えてみる必要があります。また、生命保険や損害保険と違って、ミニ保険を扱う会社は資本金1000万円からの小規模な事業社が中心です。加入する際は、どんな会社のどんな保険なのかをよく調べたうえで、上手に利用するといいかもしれません。
日々の小さな"災難"に備える「ミニ保険」、あなたは利用してみたいと思いますか?

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