研究テーマ

親バカは、悪くない?

ピカピカのランドセルを背負って登校する子どもたちを見かける季節になりました。新入学・進学・進級など環境の変化が大きいこの時期、ハラハラドキドキしながらわが子を見守っていらっしゃる方も多いでしょう。「何があっても、ウチの子が一番」とゆったり構えていられれば楽なのですが、何かあるたびに一喜一憂してしまうのも親心。でも、「親バカ」が子どもの安心感や自信につながるという話もあるようです。

親のチカラ

かけっこが速ければ「将来はオリンピック選手!」野球が上手なら「将来は大リーガー!」可愛くて歌が上手なら「将来はアイドル!」…親が子どもに寄せる期待には限りがありません。はた目には単なる「親バカ」にしか見えないことも多いのですが、子どものできたこと、やったことを過大に評価できるのは、親なればこそ。「親バカは、実は子どもの能力や心の発育にとても良い影響を与えている」と言う専門家がいるのも、「親が認めてくれている」ことが子どもの喜びと自信につながっていくからなのでしょう。それは小さな芽が大樹になる可能性を信じること。たとえ途中で失敗しても挫折しても、ひたすらわが子を信じ続けられるのが、親というものなのかもしれません。

ひなを育てるように

「親バカ」を辞書で引くと、「親が子に対する愛情に溺れ、はた目には愚かなことをして、自分では気づかないこと」(『広辞苑』)とあります。建前と本音を使い分ける日本社会の中では、「わが子が可愛い」と大っぴらに表現することは珍しく、愚かなこととされたのでしょうか。
そうした文化のない西欧では、わが子の長所を誉めたり自慢したりするのはあたりまえのことだといいます。フランス人男性と結婚してフランスに在住する日本女性の話によれば、フランス語に「親バカ」という表現はないのだとか。でも、「PAPA POULE(パパプル)、MAMA POULE(ママプル)」という言い方があって、親が雌鳥(POULE)のようにヒナ(子ども)を庇護し、甘やかすという意味で使われるそうです。子どもが安心して育つための親の役割を言い表しているようにも思えますね。

親の愛情は無条件

他の人と比べてどうなのか、全体の中で自分はどの程度なのか…人は生きていくうえで、否応なく「客観的な」評価にさらされます。学校という社会でも、点数をつけられ、優劣をつけられることに変わりはありません。でも親が子に抱く愛情は、そうした客観的な評価とは無縁のもの。成績が悪くても、美人でなくても、失敗しても、無条件に愛してくれる人がいるからこそ、人は安心して生きていけるのでしょう。SNSなどでわが子の写真を載せて喜ぶ人も、そしてそれを見て「可愛い!」と共感する人も、「親」というものの性質をよくあらわしているといえそうです。

親バカとバカ親

とはいえ、親バカも度を過ぎればはた迷惑ですし、子どもをつぶしてしまいかねません。実際にあった例としてネット上で紹介されていたのは、学芸会でわが子が主役にならなかったからといってクレームをつける、運動会のかけっこでわが子が一番にならなかったからとやり直しを頼む、心配だからと子どもの遠足や修学旅行にこっそり付いていく…といったもの。そうした過度の親バカと区別するために、最近では「バカ親」という言葉も使われているようです。両者の境界線をどこに引くかは難しいところですが、いい結果が出なかったからといって、あるいは失敗するのが心配だからといって、親が口や手を出すことは、本来育まれていくはずの能力を親が阻んでいるといえるかもしれません。

「いい親」って何でしょう?

世間一般では、わが子を客観的に見ることのできる人が「いい親」であるとされています。多くの人が「親バカにならないように」と頑張ってしまうのは、きっと、こうした世間の期待に応えようとするから。でもそれは、子どもにとってのいい親というより、世間の目で見たときのいい親になっているかもしれません。「先生は学校の中にいればいい。お母さんは、何かを教え込もうとするより、無条件に子どもの味方をする存在でいてください」──「いい母親」であろうとして頑張ってきたあるお母さんが、小学校のベテラン教師に言われた言葉です。「あ、それでいいんだ」と思ったら肩のチカラがスッと抜けたといいますから、頑張りすぎている人は多いのでしょう。

要領は悪いけど陰ひなたなく頑張る子、不器用だけどやさしい子、速くはないけどじっくり考える子…学校や社会でいうところの「出来のいい子」とは違っても、子どもにはそれぞれの美点があります。そうした美点を見つけ信じてあげられるのは、親だけ。親バカになるということは、結局、世間の物差しとは違う基準を持って、わが子の良さを認められるということなのかもしれません。
元気に生まれてきただけで、ほほ笑んでくれただけで、幸せ。わが子が小さかった頃にさかのぼって記憶をたぐりよせてみると、親としての「幸せ」の原点が見えてくるような気がします。そして、その幸せ感こそが、「親バカ」の原点。
何があっても、「親バカですから」と笑ってわが子を信じることができたら、とても素敵な親子関係だと思いませんか?

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