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防災の日

来る9月1日は「防災の日」です。この日がなぜ「防災の日」になったかというと、理由はふたつあるそうです。ひとつは1923年(大正12年)に起きた関東大震災の発生日であること。もうひとつは台風が襲来しやすいとされる「二百十日」の近辺だからとのこと。今回は、その大切さは十分に承知しているものの、つい忘れがちな「防災」について考えてみました。

関東大震災

2011年3月に起きた「東日本大震災」や、去年の4月に起きた「熊本地震」など、このところ日本は大きな地震に立て続けに見舞われています。こういう自然災害は、発生した当初は大きく取り上げられ、私たちもそれなりに緊張して次へ備えようとしますが、しかし、何事もない平穏な日々が続くうちに、いつしか緊張はゆるみ、備える気持ちも薄れていきます。それを防ぐために、1960年、国会の閣議了解によって設けられたのが「防災の日」でした。そう、9月1日は「関東大震災」の発生日。史上最大の被害をもたらした震災を忘れないために、暦に刻み込まれた日なのです。
関東大震災が起きたのは1923年9月1日の正午前。その日は土曜日だったので、多くの家庭でお昼の支度をしていました。震源は相模湾の北部で、地震のエネルギーを示すマグニチュードは7.9。神奈川県の小田原から鎌倉にかけての相模平野一帯と、横浜、東京、房総半島の南部など、広大な地域で震度7の揺れを観測しました。もちろん被害は甚大で、10万人を超える死者・行方不明者が出ました。そのうちの9割が火災によるものだったそうです。台所で煮炊きをしていたところを、突然の大揺れが襲ったのだから無理もありませんね。当時はまだ東京市だったのですが、市内の136箇所で火災が発生し、40時間以上燃え続け、旧東京市の面積の約43%を消失させ、ようやく鎮火したのは2日後の9月3日だったそうです。

変わる防災の常識

ひと昔前まで、地震といえば「揺れが来たら、まず火を止めよ」と教わったものです。たぶん、関東大震災の死因のいちばんが火災だったという教訓があったからでしょう。でも、今はちょっと違って、「まずは自分の身を守れ」が優先だとか。火を止めに行くのは揺れが収まってからでいいそうです。たしかに火事は恐いのですが、激しく揺れている最中に火のそばに近づくのはかえって危険。それに、1995年の阪神淡路大震災では、ほとんどの人が火事ではなく、家屋や家具の下敷きになって亡くなりました。地震の起きる場所、時刻、人口密度など、そのときの条件によって「一番恐い」ものは変わるのです。そして今はガス器具が進化して、ガスの元栓も揺れを感知すると自動的に止まります。なので、グラッときたら、まずは「家具」や「落下物」から身を守ることが優先されています。そして、揺れが収まってから落ち着いて、火を消すなり、逃げ道を確保するなり、次の行動に移るといいようです。

新しい防災訓練

防災訓練も新しいものが生まれています。「シェイクアウト」といって、2008年にアメリカで始まったもの。「シェイクアウト」では、決められた日時に大地震が発生したという想定で、各人がその場で「1.まず低く」「2.頭を守り」「3.動かない」という1-2-3の行動を起こします。
「なんだ、日本の防災訓練と同じじゃないか」と思われるかもしれませんが、でも、ちょっと違うのです。「机の下に頭を隠す」などの行為は同じですが、誰かの指示に従ってやるのではなく、一人ひとりが自主的に参加して、自らの意志でそれをやるのです。その日その時刻、室内にいたら室内で、屋外にいたら屋外で、車を運転していたら車の中で、それぞれ取るべき適切な行動を取ります。もちろんそのためには予習が欠かせません。「シェイクアウト」では、事前学習、当日の情報共有、事後の報告や反省が重視されます。団体でぞろぞろと人の後をついて行動する「やらされた感」のある防災訓練とは違った視点で、防災を学び、リスクに備えることができるのです。
日本では「日本シェイクアウト提唱会議」が2011年に発足し、2012年3月に初めての「シェイクアウト」が東京都の千代田区で実施されました。今では全国に広がり、2016年の登録者数は600万人を超えました。「シェイクアウト」は各自治体、企業や団体、学校などで行っています。パソコンやスマホから簡単に登録して参加できるので、興味のある人は「シェイクアウト提唱会議」のホームページをご覧ください。

台風は天気予報があるのでまだ予想できます。でも、地震は本当にいつ来るか分かりません。今、これを読んでいる最中に来るかもしれないのです。とはいえ、よくよく考えてみれば地面が揺れるだけのこと。正しく恐れて身を守る方法を知ってさえいれば、助かる確率は高まります。
無印良品に「いつものもしも」というプロジェクトがあります。備えは日常のなかにあることが大切であり、それらを「使いこなせてこそ本当の防災力になる」という考え方。9月1日の「防災の日」をきっかけに、改めて防災に目を向けてはいかがでしょうか。

日頃、あなたはどのような防災の備えをしていますか。ご意見、ご感想をお寄せください。

参考サイト:日本シェイクアウト提唱会議

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