研究テーマ

わたしの記録帳

誕生日、旅行、入学式や卒業式などのファミリーイベント、日常の何気ないワンシーン、季節の風景や趣味の作品…思い出を残すために、人はさまざまなシーンでシャッターを押します。でもその整理や保管となると、上手にできている人ばかりではなさそうです。今回は、記録の残し方について考えてみましょう。

写真メディアの変遷

日本に最初に写真機材が持ち込まれたのは江戸時代末期。以来、写真は、湿版から乾版、フィルム、そしてデジタルへと変遷してきました。2002年にはデジタルカメラの出荷台数がフィルムカメラを上回り、世はデジタルカメラ全盛。それに伴い、写真の撮り方も大きく変化してきました。
フィルムカメラの場合、プリントするまでは、どんな写真が撮れているのかわかりません。すべてプリントアウトした上で、そこから残したいものを選ぶので、シャッターを押すにも慎重になったものでした。一方デジタルカメラは画面で確認できるので、どんどんシャッターを押すことができます。旅に出ると1日に100枚は写真を撮るので、一度の旅で1000枚くらいの枚数になると言う人もいるほど。フィルム代やプリント代を気にすることなくシャッターを押せる、デジタルカメラならではの現象でしょう。

デジタル時代の写真の残し方

デジタル写真はデータを自分で編集できますので、写真の使い方の応用範囲も広がっています。
くらしの良品研究所で写真の残し方を尋ねたところ、みなさん、いろいろな方法で楽しんでいることがわかりました。
例えば、写真データを製本するフォトブック。旅の記念や初めてのお誕生日などの思い出を、一冊の本にして残すのです。インターネット上で公開するブログやSNSなど、写真を多くの人と共有する人も増えています。デジタルになってから、基本的にプリントアウトはしなくなったという人も。そんな人は、写真を見たい時はフォトフレーム(デジタル写真用ディスプレイ)やパソコンを利用してデータを表示しているようです。

記録帳として残す

一方、大事な写真はプリントして残すという人も、まだまだ多数派です。家庭のプリンターで印刷する人も多くなっています。年に一度、その年の写真からファミリーアルバムを作る人。写真と一緒に思い出の品やメモも貼り込み、20年で100冊以上のアルバムになったという人。楽しみ方は、人それぞれです。
思い出ばかりでなく、さまざまな情報を一緒に残したアルバムを作っている人もいます。例えば、趣味の草木染めで作業工程の写真とともに染め上がった糸を貼りつけて残している人。勉強中の陶芸で、作品の写真とともに先生の講評などもメモして並べ、スキルアップに役立てている人。家のリフォームや修理時の業者名や費用などを写真とともに残し、家のメンテナンス記録とともにアルバムに貼り込んでいる人もありました。
これらは、従来の「写真帳」とは趣の異なる「わたしの記録帳」とでもいうようなアルバムの作り方でしょう。

写真の整理と保管

フィルム代やプリント代を気にせず気軽に写真を撮れるようになった一方、写真データの整理や保管はどうなっているのでしょう?多くの人はパソコンに取り込んで整理しているようですが、2011年に行った「旅の楽しみ方」の調査では、「カメラのメモリに入れたまま」という人も3割弱ありました。
写真データの保管で推奨されている方法は、パソコンや外付けハードディスク、クラウド(インターネット上のデータ保管サービス)などにダブル保管すること。その際、不要なものは削除し、「○○結婚式」「○年運動会」といったようにフォルダ毎に整理しておくと見やすく、後から探しやすく、うっかり失うという危険も避けられるといいます。
パソコンが苦手という人には、撮影した日付ごとに整理してくれるソフトもあるようです。データ整理ができていれば、見たい写真をスライドショーで楽しんだり、インターネット上で家族や友人知人と共有したり、ブログとして残すこともできるでしょう。
写真は、単に保管することが目的ではありません。後で見返し、楽しんでこそ、撮った意味があるというもの。パソコン、クラウド、プリントアウトなどを上手に使い分けながら整理保管することで、後から見返す頻度も上がるでしょう。

この夏の思い出を、皆さんはどんな形にして残しますか?
ご意見、ご感想をお寄せください。

研究テーマ
生活雑貨

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