研究テーマ

外ぐらし ―キッズキャンプ―

夏休みまっただ中のこの時季、各地のキャンプ場はアウトドアを楽しむ人で賑わっています。ファミリーキャンプ、夫婦キャンプ、仲間キャンプ、女子キャンプ、バイクツーリング愛好者のバイカーキャンプ......いろいろなスタイルがありますが、今回は、子どもだけで行く「キッズキャンプ」について考えてみましょう。

アソビはマナビ。

子どもはどんなものでも遊べる「遊びの天才」と言われます。その一方で、最近の子どもは用意された玩具や遊具がないと遊べないとも言われます。「キャンプは初めてなのですが、キャンプ場に遊び道具はありますか」と、キャンプ場に問い合わせをしてくるお母さんもあるそうです。
まだ日本が貧しかった時代、どこの家庭にも子どもの玩具や遊具にお金をかける余裕は、そんなにありませんでした。では、その時代の子どもたちが遊んでいなかったかと言えば、その逆です。子どもたちは、空き缶を蹴って鬼ごっこをしたり、木の枝でパチンコを作ったり、雑草の茎で草相撲をとったりと、さまざまな遊びを生み出して毎日たっぷり遊んでいました。いまの子どもたちには、そういった「場」はほとんどありません。ゲーム機の普及、塾通いなど、生活環境も大きく変化しています。子どもにとって「アソビはマナビ」ですが、いまの子どもたちが本当の意味で遊んでいるかどうかには、疑問符が付くことでしょう。子どもを取り巻くこうした状況の中、子どもたちだけで体験するキッズキャンプに注目が集まっているのは、自然の流れかもしれません。

自然は、たっぷり教えてくれる。

最近のテレビゲームは、良いシナリオと技術の発達で、疑似体験としては素晴らしいものがあります。でも、シナリオの多さでいけば、とても大自然にはかないません。
自然の中で生活し、さまざまな事柄から刺激を受け、問題を解決していかなければならない環境では、その場その場での対応を迫られます。知識や技術だけでなく、総合的な判断が要求されるのです。
キャンプは遊びですが、人間の脳は置き換えができるので、その遊びを通して、さまざまな問題を能動的に解決するスキルが育成されます。たとえば、夜の暗さ。都市生活の中では「夜は暗いから怖い」と思いがちですが、月明かりで影が出来ることを知ると、「暗い・明るい」の概念が変わってきます。静寂の明るさの清々しさや、ほの暗い光で見る自然の美しさに驚くことでしょう。「暗いから怖い」と切り捨ててしまえば、深い思考は生まれません。
また、人間社会における知恵は、人間を知らなければなりません。大自然の中で共通の環境に置かれ、共に同じ困難を乗り越えたとき、人と人の関係が生まれてくるでしょう。

知恵を育てるために。

これからの時代は、知識を知恵として活用していく時代とも言えます。知識は知恵に変えなければ、ただの情報でしかありません。子どもが持つ豊かな可能性を伸ばすには、ひとりひとりの子どもの個性的な知恵の発育が大切です。科学や技術の発展で、物事が細分化され、プロセスが画一化されてきた近年。誰がやっても答えは同じで、また、その制度を優先してきた傾向にあります。国際化と共に教育や制度が共通化してきた今日、重要なのは、その上に立脚した発想や知恵ではないでしょうか。その意味でも、キッズキャンプは大きな役割を果たしてくれそうです。
キッズキャンプを体験した子供は、見違えるように成長して帰路に着くと言います。それは「自信」という大きな成果を得た結果であり、自分の能力の気づきの始まりでもあるでしょう。

アウトドアをしていると、「子供は小さな大人」だということに気づかされます。体力や知識は未熟ですが、好奇心という素晴らしい可能性を持っています。この好奇心が高いうちに、子供だけで行くキッズキャンプを体験させてあげたいものですね。
みなさんは、キッズキャンプについて、どう思われますか? ご感想、ご意見をお聞かせください。

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