研究テーマ

卒業

春は、「卒業」の季節。惜別の情、解放感、達成感、希望と不安など、さまざまな想いを胸に、次のステージへ向かう巣立ちの時です。学校の卒業だけではなく、「ある段階を通り越す」のも「卒業」。今回は「卒業」について考えてみましょう。

子どもの卒業は親の卒業

幼稚園、小学校、中学校......と卒業を繰り返しながら、子どもは成長していきます。卒業は、子どもの成長の節目。そのたびに「ここまで育ってくれた」という感慨に浸るのが親心ですね。
そんな感慨の中でつい忘れがちなのが、子どもと共に親も卒業するということ。もちろん、親業そのものに卒業はありませんが、子供の成長に合わせて親としての次のステージに進むために、親自身もその都度「卒業」を意識してみてはいかがでしょう。
「赤ちゃんが0歳なら、そのお父さんやお母さんの親年齢(親としての年齢)も0歳です」とは、ある小児科のお医者様の言葉。子どもの成長の歩調に合わせて、親も親として少しずつ成長していくんですね。子どもが小学校を卒業するころは、親もそろそろ「小学生の親」を卒業するころ。と言っても、子どもに対して急に厳しくなるとか、要求ラインを高くするといったことではありません。例えば、これまで素直だった子どもが急に反抗的になったりするようなことがあっても、怒ったりたじろいだりせず、ありのままの姿を受け止め、子どもの「いまの気持ち」に寄り添っていこうとすること。親としての課題は子どもの年齢に応じて異なりますが、子どもに合わせて親も一課程ずつ卒業していけば、ストレスの少ないハッピーな親子関係が築けそうな気がします。

「定年」という名の卒業

永年にわたって勤めてきた会社を辞める「定年」は、学校の卒業以上に感慨深い「卒業」でしょう。
かつては「定年=老後」という感覚がありましたが、戦後のさまざまな流行をリードしてきた団塊世代の人たちは、もっと前向きにとらえているようです。フィールドを変えて仕事をする人、ボランティアに励む人、趣味に没頭する人......これまでの肩書きを脱ぎ捨てて、新たな場で輝いている多くの人に出会います。こうした人たちは、定年という「卒業」をきっかけに、会社人間としての自分から個人としての自分を生かす次のステージへ上手に移行したのでしょう。彼らは「会社はもう卒業したんだ」と楽しそうに言います。それは、かつてゲームや漫画に熱中していた子どもが「あれはもう、卒業した」と爽やかに言う姿と、どこか似ている気がします。

次のステージへ

「卒業」は、新しい世界の入り口に立つこと。これまで着ていた制服(考え方や習慣など)を脱ぎ捨てる、「脱皮」のチャンスともいえるでしょう。
さて、いまこの時代の日本に住む私たちも、価値観という点において、そろそろ「卒業」の時期を迎えているのかもしれません。もちろん経済の再建は国としての大事な課題でしょうが、「夢よもう一度」とばかりに、経済が右肩上がりに発展する時代の再来を待っていても始まらないような気がします。
モノやお金を持つことだけが、本当の豊かさだろうか? 便利なこと、速いこと、合理的なことだけに、価値があるのだろうか? そんな本質的なことを、もう一度、じっくり問い直してみてもいいのではないでしょうか。
低成長だ不況だと言われ続け、希望が持ちにくくなっている現代。現実はたしかに厳しいのですが、私たちがこれまでの価値観を卒業して次のステージに立つための卒業試験だと思えば、また違った角度から新しいものが見えてくるかもしれません。

みなさんは、卒業について、どんな風にお考えですか?

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