研究テーマ

こどもと暮らす 2

「早く○○しなさい」──こどもに向かって、親がもっとも多く使う言葉だそうです。「待つことが親の仕事」とはよく言われますが、それは口で言うほどたやすいことではありません。「こどもと暮らす」シリーズ第2回目の今回は、こどもとの向きあい方について考えてみましょう。

見守るゆとり

「早くお着替えしようね」「早く片付けて」「早くご飯を食べなさい」「早く宿題をすませて」......表現方法や中身は違っても、こんなふうにこどもに言った経験は多くの方にあるでしょう。こどもが自分で考え行動するのを見守ってあげることが大切だとはわかっていても、実際には、なかなかむずかしいもの。大人の目線やペースで考え、ついつい、わが子を急き立ててしまいがちです。
親だけではありません。世の中のすべてがスピードアップして、社会全体にこどもの成長をゆっくり見守るゆとりがなくなっているような気もします。

プラスの言葉を

こどもが社会との関係を学んでいく上で、ベースになるのは、親との関係。まずは、絶対的に自分を受け容れてくれる人(親またはそれに代わる人)の存在を感じることが必要で、それがあって初めて、こどもは安心して行動を始めるようになると言われます。ところが親は、こどものありのままを受け止める前に、先回りしてあれこれ考えてしまいがち。親の言動が、こどもの心に大きな影響を与えることになります。
人の言葉には、褒めたり認めたりする肯定的なものと怒ったり批判したりする否定的なものがあり、プラスにもマイナスにも働きます。たとえ叱るにしても、大きな愛情をもってプラスの投げかけをしたいもの。こどもと向かい合う時にプラスの言葉で接することができれば、こどもはきっとそれを受け容れ、他人にもプラスの言葉を伝えられるようになるでしょう。

親の心の影響

こどもを受け容れ、見守るためには、その親である夫婦がお互いを十分認め合っていることが大切だという説もあります。両親の心が平穏で、満たされていれば、そこから発する言葉はプラスのものが多くなるのだとか。このプラスの言葉はコップの水のようなもので、コップに満たされた愛情がいつもいっぱいであふれるようになれば、それが自然にこどもにも向けられるというのです。
また、親自身がありのままの自分を受け容れられることも大切。親がありのままの自分を好きになれなければ、目の前のこどもをありのままに愛することもむずかしいでしょう。「見守る」ということは、こどもの力を信じて、条件をつけずに、そっくりそのまま受け容れることでもあるのです。

親も共に育つ"共育"へ

これまでの日本社会では、良い学校に入って良い会社に入れば幸せが約束される、という考えが主流でした。でも、いまはそんな時代ではありません。学歴や会社名、持っているものの量が、そのまま人としての豊かさに直結するとは言えなくなっています。ひとりひとりが自分の価値観に基づいて、幸せと感じられることを探し、つかんでいく時代。わが子とよそのこどもとを比べたりする必要がないとわかれば、こどもへの向き合い方も変わってくるのではないでしょうか。
子育てとは自分育て。こどもが成長する時間を見守る中で、親自身がどう成長していくのかが問われているような気がします。

みなさんは、こどもとどんなふうに向き合っていらっしゃいますか?
ご意見、ご感想をお聞かせください。

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