研究テーマ

定番を考える

「定番」とは、流行に左右されず使い続けられる商品。安定した需要があることから、商品番号(品番)を変える必要がないので、こう呼ばれます。もともとはつくり手側・売り手側から生まれた言葉ですが、生活者としての定番もあるはず。みなさんは、自分の中での「定番」を、どのくらい決めていらっしゃいますか?

老舗の定番と日用品の定番

ひとくちに定番と言っても、どこのお店でも売っているような日用品から、老舗が守り続ける定番まで、いろいろなレベルがありそうです。
定番は、つくり手の「変えない」という強い意志と、買い手の「買い続ける」という思いが一致するところに成り立つもの。つくる側と買う側の信頼関係とも言えます。特に老舗と言われるようなお店でのこだわりは、そうした双方の思いが一致していると言ってよいでしょう。ヨーロッパの老舗ブランドでは、バッグなどを購入した時点で顧客登録され、その商品に不具合が出た場合は、何十年たった後でも修理をしてくれるといいます。
しかし、日常のものの定番は、なかなかそういうわけにはいきません。手頃な値段で購入できることも大事な要素だからです。それらは、時代が決める定番と言えるかもしれません。

くらしの質を決める、日用品の定番

ふだん使いの食器やカトラリー、手になじむ調理道具や文具、毎日着るシャツや下着などなど......使い続けて便利なもの、自分の気に入ったもの、時代が変化しても変えてほしくないものは、人それぞれにあるでしょう。ずっと使い続けるとしたら、それは、その人にとってなくてはならないもの。それらのありふれた身の回りのものが「質の高い」定番であったら、くらしは豊かになるはず。日常に使うものの定番が、くらしの質を決めていくように思います。また、「いつもこれ」という定番を決めると、ものを選ぶ迷路からも抜け出すことができそうです。

「変えない」ということ

生活者にとって望ましいことと、売り上げをめざす売り手側の都合は、時として矛盾します。
生活者にとっての定番とは、永く持っていても飽きのこないものであり、いつの時代でも変わらずに買えるもの。高価なもの、特別なものだけでなく、日用品の定番こそ、時代の変化を越えて「在り続けて」ほしいと思うでしょう。
一方、つくり手側は、売るためには新しさが必要だと考え、常に新しいものをつくり出し、購買欲を刺激してきます。買い手も時々その誘惑に負けて、買ってみたりしますが、家に持ち帰ってみると、不似合いだったり使わなかったりするものもたくさんあることでしょう。

column101111_img03.jpg成熟した時代の中で、そろそろ「定番」ということを考え直す時期に来ているのかもしれません。つくり手には、売るためにではなく、永く使い続けてもらうためにつくるという意識が必要になってくるでしょう。日用品の定番こそ、強い意志で、かたちを変えずに質を上げていく。変えないためにも、目に見えない小さな改良や改善を積み重ねていく必要があることも、忘れてはなりません。
時代の変化に合わせて変えていくことと変えないことを、しっかりと見極めたいものです。

みなさんにとって、定番とはどのようなものでしょうか。
ご意見をお聞かせください。

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生活雑貨