研究テーマ

収納について ―広い家は狭く、狭い家は広く、使う―

もう少し家が広ければ、片付くのに......なかなか片付かない家の中を眺めて、ため息まじりにこんなことを思ったことはありませんか? ところが、収納の達人に話を聞くと、片付くか片付かないかは家の広さの問題ではないと言われます。ポイントは、「広い家は狭く、狭い家は広く、使う」こと。禅問答のようにも思えるこの言葉を解明していくと、収納のコツが見えてくるようです。

狭いスペースは、立体的に使う

この写真は、収納の達人のご自宅廊下にある、奥行きの浅い壁面収納の写真です。調味料などのストック場所として使われています。
小さな収納スペースを効率よく使うには、徹底して高密度に利用すること。収納スペースによっては、奥行きが極端に浅かったり、逆に深すぎて中途半端に空間が余ってしまったりして、使いづらいこともあります。そのまま何もしないで収納すると空間にムダが出やすく、高さや大きさの違うものを入れると、その上部が空いてしまいます。無理に詰め込んだり重ねたりすると、いったんは納まるものの、出しにくかったり、出したものがしまいにくかったり、というのも日常よくあることです。
そうした収納スペースをムダなく使うには、立体的に使う工夫をすること。この写真では、突っ張り棒を渡して、そこに小瓶を置いています。さらに、ひと目でわかるように置くこと、また元に戻しやすいように収納することも、整理整頓のコツだそうです。
この達人のお宅では、写真のように、ストックしている調味料なども瓶やケースに詰め替えてあります。さらに、キッチン用には何日分か使う量を小分けして、小瓶だけを置くことにしています。そうすれば、キッチンでのスペースもとりません。収納をするとは、すぐに使える状態にしておくことなのだと感心させられます。

何も置かない部屋をつくる

一方、広い家はまったく逆だということです。家の中にひとつ、何もない部屋をつくる。そこにはものを置かないと決めて、あらゆる工夫をします。多くの人は、家の大きさに比例して、ものがどんどん増えていくものです。広い家だからといって、もので空間を占領してしまっては、部屋も狭くなってしまうでしょう。
達人のお宅では、リビングがそうした部屋でした。特に広いスペースではないのに、ものが少ないのでとても広く見えます。リビングにものを持ち込まないためには、水際作戦を実践しているとのこと。家に戻ったら、本は本棚に、書類は書類ケースにと、所定の位置にすぐに収納します。また郵便物などは、玄関先でいるものといらないものを選別し、いらないものはその場で玄関先の小さなゴミ箱へ直行。玄関先の収納棚の中には、まだ行き場所の定まらないものを一時的に置いておく場所も確保してありました。こうして、リビングにものが潜入してくるのを防いでいるわけです。
「リビングには家具以外のものは置かない」と決めることで、ほかの部分の収納効率を上げることができます。そして所定の位置を決めることで、無駄なものを買わずにすみ、いちいち探しものをすることもなくなります。そして、あふれたものは、潔く捨てる。なかなか難しいことですが、収納スペースを決めることが、「捨てる」という決断を後押ししてくれるでしょう。

「広い家を狭く、狭い家を広く使う」とは、「小さなところは大きく使い、大きいところは小さく使う」ということ。名言ですね。みなさんも、小さなところを効率よく使う工夫をしてみませんか。きっと、新しい収納への発見があるでしょう。

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