研究テーマ

ひとり旅について

「旅は、孤独になるための装置だ」と言った人がいます。見知らぬ街の駅に降り立ち、幸せそうな家族連れや再会を喜びあう恋人たちをよそ目に、ひとりでホームを歩くとき、旅への期待と不安をない交ぜにしながら、人は何を思うのでしょう。今回は、ひとりで出かける旅について考えてみたいと思います。

寂しさの中で感じるもの

人間は本来、孤独なものです。でも、ふだん多くの人に囲まれていると、そんなことは意識しなくなります。この「孤独」を思い出させてくれるのが、ひとり旅。ひとり泊まる部屋で街の景色を見ながらもの思いにふけったり、ひとりで食事をしながら寂しさを噛み締めたり......孤独な時間を過ごすとき、それまで空気のように思っていた人の温かさを、あらためて感じたり懐かしんだりするのでしょう。

孤独という名の自由

その一方で、孤独は、自由で創造的な自分を見つけ出してもくれます。
ホテルや旅館の窓辺に座って時の流れにゆったり身を任せると、普段は耳に入らない風のそよぎや鳥の声が聞こえてくるでしょう。感性が研ぎすまされて、見るもの聞くものすべてが新鮮に飛び込んできます。
朝市などに出かけるのも、楽しみのひとつです。市場には、その土地やそこで暮らす人々のエネルギーが凝縮されています。ちょっとした会話を交わしたり、見慣れない食べ物を発見したり、買った食べ物をその場で頬張りながらひとり歩きする。自分を解き放ったときに感じる晴れやかな気分は、ひとり旅ならではのものと言えましょう。

こうして、たくさんの時間を「自分」と向き合って過ごす、ひとり旅。そこでは、日常では意識しないことが呼び起されるかもしれません。自分のことを知る人が誰もいない土地で、「わたし」という自分を見つめ直せるような気もします。

ひとり旅で「わたし」を感じる

人は社会の中で生きています。人との関係によって、自分のアイデンティティーを確立しています。しかし、ひとり旅にはそれがありません。地位も肩書きも脱ぎ捨てて、ただの自分に帰っていく時間。「私は、ただ私である」ということを感じられるのが、ひとり旅です。

忙しい日常を過ごしている現代人にとって、ひとり旅に出かけることは、そう簡単ではないかもしれません。それなら、何年かに一度でもいいから、見知らぬ土地でひとりの時間を過ごしてみる、というのはいかがですか?
ほんの数日間でも、「ただの自分」に帰ることで、見えてくるものがあるかもしれません。多くの人がひとり旅に魅了されるのも、きっと、そんな理由からなのでしょう。

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