連載ブログ 音をたずねて

カルナックからカンペール

2013年03月13日

カルナックの取材を終えてカンペールに帰ることになりました。途中に石のクロスがあるという事で寄り道をしながらの帰路でした。

この辺りということで幹線から横道にはいりましたら、住宅地のような場所に迷い込みました。狭い道を車で走っていると、なぜか周りの雰囲気が気になり始めました。

うまく言えないのですが、高級住宅地の雰囲気を感じました。どの家も建物や庭がとても贅沢な作りになっていて、それがエリアを形成している感じでした。

それぞれの家が古い家を直し、古さを大切にしてモダンに仕立てたという印象でした。一様に古いタイプの家なのですが、同じ形の建物はなくそれぞれの年代の特徴を生かした伝統的な建物に見えました。まるで建築博物館のような様相です。

不思議に思って、通訳の和さんに聞いたところ、カンペールは昔から商業が盛んで、近年は金融関係の成功者たちが多く移り住んでいるとのことでした。思った通り、裕福な人々が古い建物を設備や細部、デザインをし直しわざとカントリー風な建物で構成し総合開発した高給住宅地でした。ただ道も周辺の環境もそれまで通ってきた地域と特別変わった感じはなく、むしろ牧歌的ですらするエリアに突然現れた高級住宅街とそのテイストがとても印象的でした。

大きな都市カルナックの郊外で、近代的な設備を伝統的な建物に納めた美しい家。それらを取り巻く広い庭と周辺の牧歌的雰囲気そして豊かな海。ノンビリと楽しむ生活スタイルには最高の場所に思えました。住宅街をウロウロしていると販売看板がありましたので和さんに値段を聞いたところ、巻頭写真の豪邸でも東京郊外の4LDKクラスのマンション程度でした。スタッフ全員がうらやましそうな目をしていたのがとても印象的でした。結局古い十字架は見つからず、ひょんなことから現実にもどってしまった私たちですが、とても貴重な体験でした。

カンペールのブラッセリ

カンペールで指よりのブラッセリ Brasserie de L'Épée

道草で時間をとってしまいましたが、渋滞することもなく19時頃カンペールに無事到着しました。朝からの撮影で少し疲れた我々を、相変わらずのんびりとしたカンペールの町並が暖かく迎えてくれました。今晩は案内をしてくださったミュージシャンのトーマスさんへのお礼もかねて、カンペールで一番由緒正しいという、ブラッセリ・ド・レペ(Brasserie de L'Épée)で食事をすることになっていましたのでホテルにも寄らずさっそく店に向かいました。

ワインの相談をしています

L'Épée(剣)のマークが特徴的なこのブラッセリは1830年にホテルとして開業したそうですが現在はブラッセリのみ営業しています。普段我々が利用するお店とは違いさすがに高級感が漂っていました。予約の時にドレスコードがある店かとトーマスさんに聞いたところ、僕もこの格好と笑われてしまいました。(写真左がトーマスさんです)格式は高いのですが気さくな営業スタイルのようでした。

トーマスさんが頼んだカンペール盛り

トーマスさんへのお礼でしたが注文はすべてお任せすることにしました。もっともフランス語以外があまり伝わらないのでお願いしたほうが無難です。その結果最初に出てきた品はカンペールの魚介類オードブル盛り合わせです。日本の新鮮な魚介類を食べている日本人にとって、海外での海鮮料理はオーダーしていつも後悔するメニューです。今回トーマスさんお奨のこの一品はとても新鮮で日本ではなかなか味わえないカンペールらしいおいしさでした。塩味とレモンでいただきました。市場で魚介類を見た時に我々が食べたそうな顔をしていたのをトーマスさんが気遣ってくれたようにも思いました。

定番のムール貝のワイン蒸し

これもヨーロッパでは良く出てくるムール貝のワイン蒸しです。おきまりのバケツのような容器で出てきました。このムール貝も絶品でした。

ワインはやっぱり地元産が一番です。海に近く魚介類を多く食するカンペールらしい、ドライですっきりとした飲み味でした。値段も地元産ということもワインリストの中でも一番手頃な値段でした。

牛肉のカルパッチョ

牛肉のカルパッチョです。あまり印象に残らなかった品です。やはりカンペールでは海鮮料理が一番のような気がしました。

海鮮づくしの品々です

私は手前の鰯のグリルを頼んだのですが量を見てびっくり、真鰯だろうと思うのですが新鮮なものを塩焼きにして、ご飯が添えてあります。右はグリルした茄子です。お茶碗と和皿に盛ったらそのまま日本食だと思いました。海の料理は洋の東西を問わず、同じような食べ方をするものだと妙に親近感が湧いてくる美味しい一品でした。

街をぶらぶら

お腹が一杯になりトーマスさんも喜んでくださったので、一杯になったお腹を抱え全員でぶらぶらと街の探索を始めました。時間も遅く店は閉まっていましたが美しいショーウインドウに感心しながらホテルに向かいました。明日はスタジオのあるブレストに移動です。明日の出発までの間に日本へのカンペール土産を買わなくてはならないので皆それぞれ目当ての品を探していたようです。

陶器店のカンペール陶器の絵付け行程

ショウウインドウを見ながら強く感じたのは雑なものがないということでした。どの店もとても素敵なディスプレーをしていました。今回の撮影の旅ではカルナックを始め様々な場所を撮影しましたが、市場、街、建物、店舗、道路などすべてのものが人の手によって丁寧に整えられていることが驚きでした。漁師や農夫、職人の多いこのエリアは手仕事をする、それぞれの方々の精神と美意識によってすべて作られているのではないかとさえ思えるほど美しく整えられていました。一様に華美ではなく誰でもが丁寧にすれば出来る清楚な美しさであったことが、とても強い印象として残りました。次回は出発前の数時間の買い物街探索をお伝え致します。どうぞお楽しみに。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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