連載ブログ 音をたずねて

音楽の都プラハ

2012年01月18日

中央ヨーロッパの生活や音楽をBGMとして紹介したいと考え始めてから、3年が経ちました。様々な音楽を収集し調べていくうちに、どうしても避けて通れないのがクラシック音楽でした。クラシック音楽はある意味でヨーロッパ全体の音楽で、地域を特定することがとても難しく、各地域の生活音楽を紹介する無印良品BGMシリーズとしてどのように地域特定するかで悩みました。そんな中、D.Jグラウド、C.Vパリスカ両氏による「新西洋音楽/A History of Western Music」に出会いました。読み進めてみるといわゆるクラシックという音楽の範囲はそれほど広くはなく、時代を遡れば地域の音楽としてとらえることが可能であることがわかりました。そこでスメタナ、ドヴォルザークなど多くの作曲家を生んだ、チェコに焦点を当て探してみることにしました。さっそくロンドンのコーディネーター真理子さんにプラハでこの企画に賛同してくれる演奏家を探して欲しいと連絡し、数週間のちに、元チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のコントラバス奏者イジー・ローハンさんとコンタクトがとれたとの連絡が入り、このプロジェクトが生まれました。

修道院の図書館

相談をする中でやはりバロック音楽という選択肢が生まれました。ただ古い楽曲はそれぞれの演奏家が独自に譜面化して演奏しており、楽譜をもらうのには多額の費用がかかることがわかりました。そこで出た案が古い楽曲を図書館で調べ、チェコらしい良い曲を選び、新たに譜面化する案でした。バロックとされる時代は1600年~1750年とされますが、生活や庶民の息づかいという点に於いて、出来るだけ初期の頃のものを探す事にしました。インターネットで楽曲やアレンジの打合せをし、半年の準備時間をおいてのプラハ入りとなりました。

博物館のように貴重な街並み

プラハの街

プラハに入って驚いたのは、街ごと博物館のような街並みでした。二十年ほど前まで社会主義国だったこの国は、大きな開発もされず、長い歴史がそのままで残っていました。第二次大戦中も大きな空襲はなく、それぞれの時代の建物が残り、建築を志す人には貴重な街だと思いました。ヨーロッパの街を俯瞰して見た時にいつも思うのですが、屋根や壁の規制による調和と美しさは、すばらしいと思います。

街の中の広場

観光用馬車ですが街に馴染んでいます。

街頭風景

懐かしいトロリーバス

ストリート・ミュージシャンまでクラシック

時差を調整するために初日はイジー・ローハンさんとの打合せ以外なにもないので、時間まで市内を散歩することにしました。ぶらぶらと散策をしていますと、街のあちらこちらにストリートパフォーマンサー達が演奏をしているのが見えました。海外ではよく見かける風景なのですが、近づいてみると普通ロックやジャズを演奏していることが多いのですが、ここプラハではクラシック音楽であることを知りとても驚きました。

カレル橋のミュージシャン

こちらでもストリート・パフォーマンスが行われていました。

日本でクラシック音楽スタイルのストリートパフォーマンサーを見かけることはほとんどないと思います。目の前のストリート・パフォーマンスを見ながら、いかにチェコではクラシック音楽が生活に密着しているか改めて実感しました。いっそう明日からのレコーディングに期待をしながらホテルにもどり、今回サウンド・プロデュースをお願いしたイジー・ローハンさんを待つことにしました。

木造平屋建てのスタジオ

軽く打合せをしようとそのままスタジオに向かい。スタジオ前で記念撮影

写真の後ろに見えているのがスタジオです。プラハ市内から車で30分ほど離れ、田園に囲まれた住宅街にある木造のスタジオでした。次回ブログで詳しくご紹介しますが、スタジオの演奏ブースからは外が見え、窓ガラスも二重にはなっていない普通の家とも思えるスタジオにとても興味が湧いた、第一日目でした。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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