連載ブログ 音をたずねて

イタリア民謡で有名な ソレント

2012年05月02日

ちょうどナポリ湾を挟んで南対岸にコムーネ・ソレントがあります。日本で有名なイタリア民謡「帰れソレントヘ」の生まれた場所です。海沿いの断崖に寄り添うように走る狭い道を南に下るとすばらしく青い海が見えてきます。ここには六つ星のホテルがあります。六星など聞いたことがありませんが、最高という意味でイタリア的な表現のようです。歌手のマドンナなど有名人が常連のホテルだと地元の方から聞きました。この崖の真下の海岸にホテルはあり、駐車場脇にあるホテル専用のエレベーターで下に降りるようになっているようでした。見学をしたいと思ったのですが、どうやら予約を入れていないと見ることは出来ないようでした。さすが有名人御用達のホテルです。

ある日の昼食です

ナポリからソレントに向かって車で走ること20分、撮影の合間をぬって昼食によったレストランのテーブルです。なんとも剛胆な盛りつけですが、味は最高でした。生ハムもスペインのハモンセラーノのように少し堅めで良い香りがしていました。たこも蒸した物をそのまま、いつもはトマトと一緒にカプレーゼという名前で出てくるモッツアレラも切らずに皿に盛られて出てきました。なすを焼いてオリーブオイルにつけたものやムール貝、レストランとは思えないほどの気取りのなさなのですがどれもとても新鮮でした。

モッツレラ

だいぶ前から、日本でも袋入りのフレッシュなモッツアレラが売られていますが、本来は日本の豆腐と同じで朝早く作って昼までには売ってしまうと聞きました。新鮮なものほど柔らかくふくよかな香りがします。ナポリではどこでもこの形で出してくれました。気に入ってしまい毎日食べていました。

鰯のオイル付け

この鰯も新鮮な物を小鰭のように酢で締めオイルに漬けただけのものだと思います。素材の新鮮さを大切に余計な料理をしていないことに、ナポリの食文化の豊かさを感じました。

ポテトをつぶしてフライにしてある料理

この料理も美味しかったのです。ポテトをオリーブオイルでフライにしてあるだけのようなものですが、他の素材そのままの料理に少しボリュームのある付け合わせとしては抜群な取り合わせでした。

ここが素っ気ないですが大変美味しいレストランです

肉が食べたい

スタッフの一人が肉が食べたいと言い出しました。考えてみたらナポリに来てからピザやパスタ、魚介類ばかりを食べていることに気づき、それでは肉を食べに行こうということになりました。地元のコーディネータに連れて行かれたのがナポリとソレントの中間距離にある、畑の中のレストランでした。こんなところにレストランがあるのかなと思うような山の中にぽつんとありました。

運ばれてきたのがこの肉の塊です

テーブルに座ったとたんに運ばれてきたのがこの大きな肉のブロックでした。いくらなんでもこれは大きすぎると思いましたら「どこを食べる」ということのようでした。経験がないことでしたので、スタッフ全員、目が丸くなっているだけでどうしたら良いかわからず、結局シェフにお任せすることになりました。

パンとピザの生地を焼いたものです

待っている間にパンが出てきました。それもステンレスの皿にこのような形です。

別の建物から持ってきた腸詰めです

外から声がするので出て行ってみるとオーナーシェフが別の建物から腸詰めを持って来たところでした。野菜も腸詰めもすべてご自身で作っているそうです。イタリアの腸詰めは、さしずめ日本のカラスミや塩辛のような物なのだと納得しました。

アンティパストです

メインの前に生パスタ

そして焼き上がった肉

取り分けていただいた肉です

そして先ほどの腸詰めです

いやはや大変な贅沢をさせていただきました。日本でこれだけの料理を食べたら大変な金額になると思うのですが、会計をしていただだいてまたもや驚きました。食材が豊かで気取りがないということが値段にも出ていました。ナポリに住みたいと思いました。

ポンペイの遺跡から出てきたセラミックのモザイク壁画

この写真はポンペイの遺跡から出てきた壁画です。生き生きとした魚たちが描かれています。ナポリはローマ時代ローマの高官や裕福な市民達の避暑地として栄えたようです。ナポリが栄えた理由は温暖な気候もあったと思いますが、食の豊かさが大きかったのではないかと思います。今回のシェフがイタリア料理には「レストラン料理」と「ママンの料理」がある。自分はママンの料理を目指しているとおっしゃっていました。豊かな食材とママンの愛情、素っ気ないほど素材を生かした料理は日本料理と同じ考え方のように思いました。イタリア人カメラマンの友人がイタリアを離れるとパスタは食べないと言っていました。なぜならアルデンテがわかる国は他にはないから美味しくないとも言っていました。ただし日本では安心して食べる。なぜなら日本人の蕎麦はアルデンテだからだそうです。ファーストフードや高名なシェフの名前のレストランが多い現在、新鮮な素材とお母さんの味を追求するナポリ料理はなぜか日本にとても似ているような気がしました。美味しいものばかり食べて仕事をしていないように思われてしまいますので、次回は陽気なミュージシャン達との陽気なレコーディング風景をご紹介いたします。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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