連載ブログ 音をたずねて

バルセロナのバル Cal PEP

2012年09月05日

ちょうどこのBGM収録のころ、無印良品では雑誌カーサ・ブルータス編集部とのコラボレーションで「無印良品の秘密」というムック本の編集制作をしていました。この本は皆様にとてもご好評をいただき20万部以上の販売を記録しました。この編集を一手に引き受けてくださったのが当時の編集長、吉家千絵子さんです。生粋のマガジンハウスの編集者らしく、おしゃれでとても幅広い知識とネットワークを持つ素敵な女性編集長でした。我々がスペインに音楽収録に行くとお話しをすると、それでは是非ここに行ったほうが良いとご推薦いただいたお店がここ「Cal PEP」です。

Cal PEP入り口

バルセロナについてさっそく現地のコーディネーター女史にお願いしたところ、予約がなかなか取れないので時間が欲しいとのことでした。さすが吉家さんのご推薦、ガイドブックには載っていなかったのですが地元ではとにかくうまいと評判の店で開店前から行列が出来るとのことでした。昼ならなんとか予約が出来ると連絡が入ったのでさっそく行ってみました。入り口を入るとカウンター席が20席ほどあり、我々が着いたときには満員の大盛況でした。人混みをかき分けながら奥に入ると8テーブルほどの席が、予約席になっています。予約席以外は早い者順のようで席を取るためにオープン前から行列が出来るようでした。

エビの殻付きボイル

スペインの朝食(デサユノ)はコーヒーと揚げパン(チュロス)に砂糖をふったものやペストリーなどフランス同じに簡単にすませるようです。スペインでは昼食(コミダ)が一日のメインの食事になり、一番ボリュームがあります。午後の2時から4時の2時間ゆっくりと時間をかけて家族と食事を共にするのが習慣で、シィエスタをとる習慣もあるようです。夕食(セナ)も非常に簡単にサンドイッチやタパスをいくつか食べる程度が一般的なようです。南イタリアととても似ている気がしましたがどちらが先なのでしょう。このタパス、日本では小皿料理と紹介されていますが、スペイン南部のセビリアから発祥した「間食」が起源のようです。様々な料理を少しずつ多くの種類が食べられるので食いしん坊にとっては最適ですね。今回お邪魔したCal PEPはその美味しいタパス料理の店として人気が高いお店でした。

スペイン、バルの文化とタパス

ハモン・セラーノ

初めて食べるタパス。メニューを見るとても沢山料理名が並んでいました。どれも値段は安く美味しそうでした。周りを見渡すとそれほど量も多くないことが分かりましたので、経験のため出来るだけ多くの料理を食べられるだけ、注文することにしました。新鮮な鰯をつかった・鰯の唐揚げ、同じように・タコのフライ、タマネギソースのアサリの煮込み、パプリカとニンニクが効いた・タコの煮込み、イベリコ豚の生ハム・ハモン・セラーノ、野菜のトルティーリャなどなど、テーブルが一杯なるほどお願いしてしまいました。どの料理も美味しく、胃にもたれない料理の数々、あっさりしていて素材の味が十分に楽しめるところは南イタリア料理にも似ていますし、魚介類の扱い方が日本料理にも似ているように思いました。我々が満足していると、厨房からオーナー・シェフらしい方が出てきて、各テーブルをまわってきました。我々のテーブルにも顔を出してくださって、我々が日本人だとわかるととても喜んでくださいました。シェフが厨房に戻るとき、店内から「とても美味しい」との声がかかりました。彼が大きな声で何かを言ったとたんに、店内に笑いの渦が起こりました。私には意味がわからなかったのですが、通訳いわく彼は「なに、全部缶詰さ」と言っていたそうです。この自信、うまい料理が出てくるわけです。

bar(バル)の風景

この気さくなシェフが代表するように、気楽に料理をつまみながら仲間と話を楽しむバルはBarと書きます。スペインの街を歩いているとこの文字を良く見かけます。日本でいう「小料理」「居酒屋」と同じだと思いました。このバル、イタリアではバールと発音します。英語ならバーになります。お酒を飲むだけの日本のバーとは異なり、スペインのバルは食事やおしゃべり、休息など様々な利用のされ方をします。子供連れからご老人まで年齢や性別も関係なくさまざまに楽しんでおられるように思いました。アイルランドやスコットランドのパブやフランスのカフェも同じような文化だと思います。日常生活の中に地元の人達が和気あいあいと楽しめる気楽なパブリックスペースがあることはとても素敵な文化だと思います。自分の町の顔見知りと小皿料理を楽しみながら過ごす時間、日本に少し前まであった屋台も同じような役割をしていたのかも知れませんね。吉家さんがバルCal PEPを紹介してくださった意味が少し分かったような出来事でした。次回はバルセロナのヌーベル・キュイジーヌ、少し高級な食をご紹介します。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    Y.Iさん

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