MUJIキャラバン

手前みそ

2013年03月29日

海外へ行くと、いつも恋しくなる日本の味、
「味噌汁」。

私の生まれ育った関東では「米味噌」が主流でしたが、
九州では「麦味噌」、愛知界隈では「豆味噌」と、
地域によって味噌の味も様々でした。

そして、終盤に訪れた山梨県では、
これまでに味わったことのない味噌に出会います。

「甲州味噌」

米と麦を用いた、いわゆる「調合味噌」です。

「これらの地域性の違いは、"主食が何か?"で決まってきたんですよ」

甲州味噌の蔵元のひとつ、五味醤油(株)の6代目、
五味仁(ひとし)さんに、分かりやすく解説していただきました。

「大まかに米どころでは米麹、麦どころでは麦麹を味噌づくりに用いましたが、
甲府は狭い盆地で斜面が多く、稲作には適していませんでした。
ですので、米の不足分を、田畑の裏作で作った麦で補ったんでしょう」

時はさかのぼること、戦国時代。

たんぱく質と塩分が賄える味噌は、陣中の兵糧としても重宝され、
各地の戦国武将は、こぞって味噌づくりを推進したそうです。

甲斐の国を治めていた武田信玄も同様で、
冬にほったらかされていた田畑で麦を作ることを指示。

こうして世にも珍しい米麹と麦麹を用いた
甲州味噌が誕生したといわれています。

五味醤油では、今も代々引き継がれてきた製法で、
甲州味噌が造られていました。

「発酵のスピードが違うので、米麹と麦麹は別々に仕込まなくてはなりません」

そう五味さんが語るように、
米麹と麦麹はそれぞれ別々に仕込まれていました。

一般の味噌と比べ、麹の種類が多い分、手間もかかりますが、
それでも、五味さんは甲州味噌を造り続けていきたいと話します。

「甲府の人たちにとって慣れ親しんだ味ですからね」

山梨名物のほうとうも、この甲州味噌が用いられていました。

ほうとうもまた、米飯が食べられなかった甲州の庶民にとって、
収穫量の少なかった小麦を補うために、
かぼちゃをはじめとした多くの野菜を加えた郷土料理でした。

「先代から引き継がれてきた甲州味噌。ずっと造り続けていきたいんです」

そんな想いの五味さんは、甲州味噌を広く伝えていくために、
「手前味噌づくり教室」も開催していました。

そのために「手前味噌づくりキット」も開発。

さらには、なんと「手前みそのうた」まで!

「味噌 味噌 味噌 味噌 手前味噌~♪」

この曲、繰り返し聞いていると、
思わず味噌づくりをしたくなってきますよ!

YouTubeでもアップされていましたので、
よろしければお聞きください♪

YouTubeリンク「森ゆに-手前みそのうた 」

思えば、昔は各家庭で味噌が造られていたわけでして…。
私たちも帰京したら「手前味噌づくり」にチャレンジしようと思います!

山梨県の意外な県民性

山梨では、無印良品「ラザウォーク甲斐双葉」を訪ねました。

果樹王国の山梨県、さぞかしフルーツ系の食品が人気と思いきや、
スタッフさんの持っているこちらの人気商品は、なんと…、

海産物系のおつまみでした!

島国日本において、海に面していない県は山梨含め8県ですが、
山梨県民は実は、無類の海の幸好き!

マグロや貝類の消費量は、毎年上位にランクイン(総務省「家計調査」)しており、
「あわびの煮貝」なんかも名産品として数えられるほどです。

駄菓子「よっちゃんいか」で有名なよっちゃん食品工業株式会社も、
山梨県内にありました。

意外なる山梨県の県民性…。

ただ、海産物でしたら、
山梨生まれの白ワイン「甲州」にも合いますものね☆

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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