MUJIキャラバン

「茨城」カテゴリーの記事一覧

"業"としての有機農

2013年09月04日

「私たちが実践しているのは有機栽培ではなく、有機"農業"。
つまり"業"として、それを生業にしているのです。
食べていける農業でなくちゃ、人に勧めることはできませんから」

モアークグループ代表の西村松夫さんは、開口一番そう切り出しました。

モアークグループは、
茨城県つくば市に本拠を置き、長野県佐久市、パラオにも農園を構える、
有機野菜の生産・加工・流通までを手掛ける企業グループ。

安全安心の作物の流通および、
汎用性の高い有機農業の普及活動にも取り組んでいます。

「日本の有機野菜の流通は全体のわずか0.2%。
これは由々しき事態です」

そう話す西村さんはもともと、アメリカの大手穀物商社に勤務。
そこで、品種改良に改良が加えられていく農作物の実態に危惧を覚えたといいます。

「改良され生産しやすくなった農作物は、生産者にとっては都合が良いかもしれません。
ただ、生態系を壊しながら作られるような農作物が、消費者にとっても良いわけがない。
目先のことしか考えずに、次の世代に残そうという気がないんですね」

こうした問題意識の芽生えた西村さんは、その後、大手金融機関勤務を経て、
消費者にとって本当に良いものを追求すべく、
18年前にパラオへと渡り、農業の実証実験を始めました。

なぜ、パラオだったのか?
それは、地球全体の温暖化から、と西村さんは話します。

「日本も既に亜熱帯化し始めていますが、やがて熱帯になる可能性もある。
そのためには、熱帯地方での農業の技術を学んでおく必要があると思ったんです」

こうして始まった西村さんのパラオでの挑戦は、
現在では「パラオ・オーガニック・ファーム」として、
つくばと同様、葉物類や日本では作れないノニを生産しているそうです。

そして、西村さんがたどり着いたのが、"草農法"でした。

自然界では、植物は枯れた後、微生物によって分解され、
腐葉土と呼ばれる土に還っていきます。

草農法とは、この自然界の循環に従い、草を主原料とした堆肥づくりを行うもので、
農薬や化学肥料が使用されるより以前より
世界中で古来より行われてきた伝統的な農法だそう。

草が腐葉土になるという話には一瞬、首を傾げましたが、
モアークの堆肥場には、河川敷で刈られたという草が大量に置かれていました。

切り返しを行いながら半年間寝かされた草は、
実際に土へと変化していることがうかがえました。

河川敷の刈り草を使用するのは、
河川の水が飲用にもなるため、農薬などの散布が禁止されているから。
これまでは大量に廃棄処分されていたものの再利用にもつながっているそうです。

「この草はやがて分解され、やがて+と-のイオンへと変化します。
-イオンは主に微生物が食べ、+イオンを野菜が吸収するんです。
この+と-を掛け合わせると"土"という字に変わるでしょう。
昔の人は知っていたんだと思いますよ。草さえあれば、農作物は作れるんです」

西村さんのいう、汎用性のある有機農業とは、このことでした。
草をベースにした堆肥づくりは自然循環そのもので、
除草剤など使用していない土地であれば、どこでも実現できることでもあります。

こうして土壌に有機物をきっちりと供給してできた野菜は、
ミネラルを多く含み、作物から作られるビタミンの含有量も多くなるそう。

こんな野菜のおいしさを、ごく一部の人のみならず、
多くの家庭で味わってもらいたいと、
モアークの培養土と草堆肥などをセットにした
「有機野菜栽培キット」も作っていました。

さらに、"業"として成り立たせるためには
「加工」も大切と、西村さんは語ります。

「加工品を作るのは、昔でいう"保存"の目的です。
どうしても出荷できない分の野菜ができてしまうこともありますからね」

旬の野菜を収穫後すぐに加工できるよう、農園内に併設された加工工場では、
合成人工添加物を一切使用せずにジュースやドレッシングが作られていました。

試しに有機トマトジュースを味見させていただくと、
その濃厚さと、自然の優しい甘みに驚かされました。
トマトジュース嫌いのキャラバン隊も、思わず「おいしい!」と驚愕したほどです。

こうした旬の野菜や加工品を基に食事療法を意識した店舗・レストランが、
今年秋、東京都目黒区にオープン予定。

これまで培ってきたノウハウを普及するための講座も開催し、
より多くの人に食べていける有機農業を教えていく予定だそうです。

「経済優先を変えられない世の中だけど、
一人ひとりが歴史から学び、太陽と対話しながら、
自然になじんでいくことが大切だと思うんです。
それを伝えていくことが、私にできる最後の天命だと思っています」

20人もの若者を雇用しているのも、
後世につないでいける農業を普及したいという、
西村さんの想いの表れのように感じました。

地球にも人間にも優しい農業と、現代社会で生き残っていくための経済活動。
一見、両立しにくいこの両輪を見事に回していきながら、
西村さんは自身の天命を追求し続けています。

茨城の郷土料理

2012年04月27日

常陸大宮市でお世話になったお宅では、
茨城県のこの地方で食べられている郷土料理を
一緒に作らせていただきました。

「豆腐もち」(くるみもち)と呼ばれるもので、
お正月の三が日に、お雑煮の代わりに食べるのだそうです。

まず、くるみを割りやすくするため、温めます。

そのくるみを叩き割って、

中の実を取り出します。

ちなみにくるみは裏山で拾ったといいます。

くるみの実を軽く火で炙って、

自家製豆腐(市販の場合は木綿豆腐)と混ぜ合わせ、

砂糖適量と塩少々を加えてミキサーにかけ、くるみと豆腐のソースを作ります。

その間にお餅を焼いて、ソースを絡めれば完成です!

味は甘いスイーツそのもので、
くるみ風味のなめらかな豆腐ソースがとても美味しいのですが、
これをお雑煮代わりに食べるというのは、少し想像がつきにくい…かもしれません。

でも、ソースのベースが豆腐というヘルシーさがまたうれしいですよね。

また、「豆もち」と呼ばれる、あおのりとピーナッツの入ったおもちを
日常的に食べると聞いて、スーパーに行ってみると確かに置いてありました。

他にも茨城県は、そば粉の産地としても知られ、おそば屋さんも多く見かけます。

そばは痩せた土地でも育つため、
農業の盛んな茨城県では二毛作にうってつけなのだそう。

写真は「けんちんつけそば」と呼ばれる、郷土料理。

野菜や山菜がふんだんに入った、けんちん汁につけて食べるそばは、
農業大国の茨城県ならではの感じを受けました。

こうして見ていくと、食はまさにその地の特徴を表していますね。

皆さんの地域の独特な食べもの、食べ方など、情報をお待ちしています!

エビデンスのある野菜

茨城県取手市にある「シモタファーム」。

40年以上、ハーブを中心とした生野菜を生産している農家さんを訪れました。

「日本は先進国の中で、最も安全性に遅れている国です。
肥料と土づくりが遅れている」

そう語るのは、オーナーの霜田増雄さん。

霜田さんはもともと農家に生まれ、高校卒業後、農業の道に進みました。
その後、昭和41年にヨーロッパの有機農業とハーブを視察し、
それ以降、独自の栽培方法で野菜を育てています。

その方法とは、1つの作物を作る間に4回成分を調査するというもの。
まず、作物を植える前に畑の土の数値を測り、次に肥料を入れてまた測る。
今度はそうして出来上がった作物の数値を測り、
最後に作物を収穫した後の土を測るんだそう。

「すべてのデータを取っていれば、良いか悪いかが分かる。
悪ければ改善すればいいし、
数値を出さないと良いか悪いかが分からないからね」
と霜田さん。

実際にその味を試してみると、
これまで食べたことのある野菜とは全く違う、
口の中で野菜の存在感がバツグンに広がる味でした。

30年かけて土壌改良を続けてきた、霜田さんのデータ分析方法を用いれば、
どこの畑においても、美味しい野菜づくりができるそうです。

そして、霜田さんはこの技法をみんなに広めていきたいといいます。

「食べ物は、生きる権利がある人は誰でも食べるものだから、
みんながちゃんとした野菜を食べられないと意味がない」

この霜田さんの言葉を聞いて、特許は取っていないのか?
と、浅はかな質問をしてしまった自分が恥ずかしくなりました。

そんなシモタファームに行って、最初に感じたことは
「若い人が多いなぁ」ということです。

データ分析を担当している鈴木さんは、知人の紹介で霜田さんと知り合い、
農大卒業後、シモタファームに就職したそう。

他にも霜田さんの所には、若者たちが働きたい!と志願してくるというから、
農家=若手不足、後継者不足という、これまで思い込んでいた方程式が崩れました。

また、シモタファームでは、12年前からインドネシア国立大学の農学部の学生を
研修生として受け入れているそう。
彼らは単位を取るために住み込みで働いているのです。

1年間霜田さんのもとで学んだ学生たちは、インドネシアに戻り、
卒業後、農業の指導者や大学の教授になったりしているといいます。

霜田さんが生み出した栽培方法が、インドネシアでも実行されている
というから驚きですよね!

霜田さんが大切にしていることは、
「自分が作った野菜を食べた人が健康になること」

味はもちろんのこと、成分が数値によって立証されている野菜、
これこそが安心・安全、そして健康につながる野菜なのではないでしょうか。

里山のくらし

2012年04月26日

つくばエクスプレスの開通によって、
秋葉原から45分で県南のつくば市には着けてしまう茨城県。

農業産出額は北海道に次ぐ日本第2位を誇り、
豊かな自然が残るこの地では、様々なライフスタイルを知ることができました。

まずは、セカンドライフの地として、
筑波山麓の石岡市八郷地区へ移住されてきた、
「cottage wood castle」のオーナー永田さん。

1000坪の敷地にオーダーメイドの輸入住宅を建て、
今はそれをコテージとして貸し出していらっしゃいます。

吹き抜けの木の家は、雰囲気から温かみがあり素敵です。

寒い季節には、裏山から雑木を拾ってきて、暖炉に薪をくべれば、
家全体が温まる仕組み。

火で暖をとると、なぜか心まで和らぎます。

裏の竹林へ行くと、

春の息吹を見付けることができました。

その正体は…

筍です!

さらにこちらは、シメたばかりの新鮮な軍鶏肉。

これらをさばいて、調理します。

筍は生で刺身とホイル焼き、それからすき焼きにも加え、
軍鶏は、すき焼きとグリルで頂きました。

どれも自然の恵みそのままの味で絶品!
都会ではなかなか味わうことのできない、贅沢すぎる味でした。

「僕も以前は都会ぐらしだったんです。
でも、密集した住宅事情のなか、隣人を気にしながらの生活から脱却し、
もっと人間らしく生きたいと思うようになりましてね。
満天の星空の下、自然の恵みの食材を食べる生活は豊かですよ」

永田さんは、薪をくべながらそう言いました。

新鮮な烏骨鶏の生卵と、八郷地区の納豆を朝ごはんに頂いた時には、
この味を毎日味わえる地元の人を、心底うらやましく思いました。

「都会じゃこんなに新鮮なモノは滅多に食べられない。
さらに空気まで美味しいのは、田舎の特権です」

都会のくらししか経験したことのない私たちでしたが、
永田さんの言葉によって、豊かさとは何だろうと考えさせられました。

確かに都会は便利かもしれませんが、
自然や自然の恵みを味わえることは多くありません。

豊かさの基準は人それぞれでしょうが、
私たちにとっては、こうした里山ぐらしの価値を感じるきっかけになりました。

「安いから、効率が良いから、ブランド名があるからという基準で選ぶのではなく、
自分や環境にとって、良いか否かを判断基準に生活する。
いわゆるLOHASな生活を追求した結果、ここに辿り着いたんです。
ただ、生涯ここで生活するつもりじゃない。そこは気楽に考えていいと思っています」

自らの道を自らで選んでいる永田さんは、
人生そのものを楽しんでいるように見えました。

豊かなくらしとは?

茨城県北部では、常陸大宮市で「響」という名の農家民泊を営む、
堀江さんご夫妻にお世話になりました。

こちらの農園では、あらゆる野菜を栽培なさっていて、
もぎたてのネギから、

アスパラガスまで

新鮮な採れたて野菜を頂きました。

やっぱり自然の恵みは味わい深いです。

また、驚きだったのが、お風呂です。

木の家らしい、木でできたお風呂だったのですが、
なんとその沸かし方は…

薪をくべる形の五右衛門風呂だったのです。

「薪は炭となって、温度が長持ちするから、次の日の朝までお湯は温かいよ」

事実、次の日の朝までお風呂の湯は温かいままでした。
これも、自然エネルギーを使った、生活の知恵ですね。

さらに驚いたのが、お風呂場が木造だと、壁に結露しないこと。

木が呼吸してくれるため、湿気は吸い込まれ、
乾燥してる時は、逆に湿気を吐き出してくれるんだそう。

木の家の力を目の当たりにしました。

堀江さんになぜこの民泊を始められたのかを尋ねてみると、
「都会の人に、豊かさとは何なのかを知ってもらいたい」
という答えが返ってきました。

確かに、このような自然の恵みに囲まれたくらしを体験してみると、
豊かさとは何なのか…と考えさせられます。

進化し続ける、酒造り

2012年04月25日

茨城出身の無印良品スタッフに勧められて、訪れた先。

そこは、地元茨城県を盛り上げたいと、
東京で経験を積んだ後に帰郷されたオーナーが運営するお店でした。

立ち飲みコーヒー屋のバールとイタリア食堂をひとつにした、
「トラットリア ブラックバード」では
魚介、野菜などの食材は地元産のものを使っているといいます。

オーナーの沼田さんに今回の取り組みを話すと、
「世界に誇る、日本の酒蔵がありますよ」
と教えてくださいました。

地元の情報は、やっぱり地元民に聞くに限りますね!

さて、紹介の、これまた紹介で訪れたのは
180年以上続く「木内酒造」さん。

彼らの元には、創業当時から変わらないものがあります。

それは、原料の水。
酒蔵内の深井戸からは、那珂川水系の伏流水が湧き出ているといわれています。

変わらないものがある一方で、時代の移り変わりとともに
進化していくのが、木内酒造のすごいところ。

日本酒に加え、地ビールの生産を始めました。
ネストビールは、早くから海外でも販売し、数々の賞を受賞しているのですが、
その進化は止まりません。

はじめのうちは、海外のビールを参考にしていたそうですが、
それでは現地のビールには勝てない。
そう考えて、日本ならではの、オリジナルビールの開発をしました。

こうして生まれたのが、「NIPPONIA」

昭和30年代で栽培が終了となった"金子ゴールデン"というビール麦を
地元農業後継者団体と共同で復活栽培するところから手がけ、
さらにホップは、昭和50年代に日本で開発された"ソラチエース"という
北海道で育種された品種を使用するなど、
日本の素材に、とことんこだわったビールが出来上がりました。

また、木内酒造には、本格的手造りビール工房があります。

この工房では、お客様が自分好みのレシピで、
 ビール造りを体験できるのです!

もちろん、ラベルもオリジナルにできますよ。

代々引き継がれている、伝統の技がありながらも
そこに新しいアイデアを加えながら常に進化している。

それが180年以上の間、お客様に愛され続けている秘訣なんだなと感じました。

山と川の恵みでできた、お線香

「ゴトン…ゴトン…」

筑波山麓の渓流に鳴り響く音。
そう、この音の正体は「水車」でした。

しかも、この水車は観賞用のものではなく、
今でも現役で働いているものなのです。

水車の持ち主は、100年以上もこの場所で杉線香づくりを続けている、
駒村清明堂の駒村さん。

すぐそばを流れる川の水を引いた、水車の動力を使って、
地元で採取した杉の葉を原料に、まずはそれを砕きます。

小屋の中には杉の香りが充満していました。

機械を使ったら、それだけ早く、大量に粉にすることができますが、
じっくり砕いていかないと、杉の葉が熱をもってしまい、
香りがとんでしまうそうなのです。

1日半から2日間かけて砕き、粉状にしたものに
釜で熱した筑波山の伏流水を加えて、練り上げます。

杉線香を作るのに使う材料は、杉の葉と水だけというから、驚きですよね。
杉に含まれているヤニがつなぎの役割をしてくれるのだそうです。

「これを最初に見つけた人がすごいですよね。
ヒノキの葉でもできるけど、それだと油が多すぎて
逆につなぎを入れないとできないから」
と駒村さん。

練り上がった原料を、今度はこの機械を通し成形していくのですが、
ところてんのように出てくる棒状のものを、横から板で受けるのだそうです。

真っ直ぐなお線香の形状を作り出す、職人の腕のなす業です。

ところで、もともとこのご近所では、
みんなが川の水を使った水車を使い、商売をしていたそう。

隣はうどんの粉を挽いたり、また別のところでは菜種油を絞ったり、
同じ水を順繰り順繰りと、使い回していたといいます。

しかし、だんだん合理化を求めて、
周りは水車を使わなくなってしまったんだとか。

「エコ社会が叫ばれていますけど、私たちは昔から自然エネルギー。
大変なこともありますが、自然と共存できれば電気はさほど必要ないんですよ」

電力があって当たり前じゃない時代に生まれた製法は、
今となっては、電力がなくても作れる製法として価値が見直されているのです。

昔から、お墓や仏壇にお供えするものとして使われてきた、お線香。
きっとこの先もずっと使い続けられていくものだと思います。

自然の恵みによる、先祖伝来のお線香づくりを
これからもぜひ、続けていっていただきたいものです。

茅葺き屋根の家

2012年04月24日

茨城県石岡市八郷(やさと)地区、
筑波山の麓には茅(かや)葺き屋根の家が約70棟点在し、
現在も人々が暮らしています。

さらに、江戸時代から守り続けられている、この茅葺き屋根の家のいくつかは
国指定の有形文化財にも選ばれています。

この辺りでは農地だけでなく、きれいな水にも恵まれて、
豊かな暮らしが営まれてきました。

その証は、屋根の造りに表れています。

グラデーションに重ねられた屋根の層や、

屋根の上の飾りは、「筑波流」と呼ばれる装飾の特徴で、
家にお金をかけることができたからこその造りだそうです。

そんな茅葺きの屋根ですが、
空気層を持つ自然素材が50cm以上も重ねられているがゆえ、
水はけをよくするために屋根の傾斜が急になっていて、
その結果、屋根裏に大きな空間があるんだとか。

このため太陽からの熱を室内に伝えにくく、風通しも良いため、
夏はとっても涼しいそうです。

さらに写真を見て分かるように、
すべてのドアが引き戸で、窓も大きいのでこれは涼しいですね。
でも逆に冬はかなり寒そう…。

そう思って伝えると、
「"火のこたつ"があるから平気ですよ」
と家主の大場さんが教えてくれました。

一見普通のこたつと同じように見えますが、その中を覗いてみると…

炭がありました!

こたつというと、当たり前のように電気ごたつを思い浮かべましたが、
こたつの原型はこれだったのですね!!

ところで、そもそも「茅」とは屋根を葺く材料の総称で、
筑波周辺ではススキが最もよく使われているそうですが、
他にも藁(わら)や草など様々な材料が使われるそう。

天然素材なので、雨や虫などの被害はないのでしょうか?

その昔は囲炉裏やかまどなどを使って、家の中で火をたいていたため、
煙の燻蒸効果で虫を抑え、屋根を守っていたといいます。

それでも25年前後で葺き替えの必要があった茅葺き屋根ですが、
現代では屋根の寿命が縮み、15年前後で葺き替え時期を迎えるのだそうです。

しかし、そこには「職人不足」という深刻な問題があります。

昭和20年代には、石岡市内に80人以上の茅葺き職人がいましたが、
今では1人にまで減ってしまったとのこと。

また、集落内の家屋の多くが茅葺き屋根だった時代は、
共同の茅場を持って、各家の葺き替えを順番に手伝うなど、
近所や親戚同士による「結い」が営まれていましたが、
今では職人や業者に葺き替えを頼むしかないため、お金がかかるそうです。

それでも、ぶどう園を運営しながら、茅葺き屋根の家に住む大場さんは
「自分が生まれ育った場所だし、この家をきっかけにみんなとつながれるから」
と、この家を大切に想う気持ちを話してくれました。

3年前からは、この八郷の茅葺き屋根の家と田園風景に魅了された、
武蔵野美術大学の学生たちが、冬の休耕田をアートサイトに、
現地の里山から調達した間伐材や竹で制作した作品を展示するイベントを
毎冬行っているそうです。

現地を訪れて、実際にその風景を目にすると分かるその魅力。

少しでも多くの人が、この地を訪れ、
この魅力を継承していく大切さが伝わるといいなと思います。

茨城の無印良品

茨城では、イオンモール水戸内原の無印良品に行ってきました。

笑顔で迎えてくれた、スタッフさんにこのお店の人気商品を伺うと…

それは「レトルトカレー」だそうです!

さらに、それぞれのお気に入りを聞くと
"グリーンカレー"と"10種類の彩り野菜カレー"を紹介してくれました。

グリーンカレーのように、5辛の辛いカレーもあれば、
10種類の彩り野菜カレーのように、1辛のまろやかなカレーもある。
選べるバリエーションがあるのがうれしいですよね。

イオンモール水戸内原店のスタッフの中には、
実際にこのカレーが作られている工場を見学に行った人もいて、
その製造工程を知ったことで、
益々お客様に自信を持ってお薦めするようになったのだそうです。

また、このお店で目に留まったのがこちら。

子供たちの遊び場所です。

百貨店やモールなどでは見かける遊び場ですが、
無印良品のお店にもあったのですね。

無印良品の木のおもちゃで楽しそうに遊んでいる、子供たちの姿が印象的でした。

最後に、地元茨城出身のお2人の、
とっておきの場所を教えてもらいました。

「偕楽園と千波湖」

早速行ってみると、そこは至るところで桜の咲き誇る、とても大きな公園でした。

それもそのはず、偕楽園と千波湖を合わせた偕楽園公園は、
合計面積が300ヘクタールあり、都市公園としては
ニューヨークにあるセントラルパークに次ぐ、世界第2位の広さなんだとか。

お花見をする人、犬の散歩をする人、通学路として自転車で走る学生、
そしてランニングをする人など、
この場所が地元の人に愛されていることがよく分かりました。

こんな素敵な公園が近くにあったら、毎日通ってしまいそうです…。

水戸の美味しい納豆

2012年04月23日

水戸といえば納豆を思い浮かべますが、
事実、納豆の生産量全国1位は茨城県です。

そんな茨城県に、2012年納豆鑑評会で優秀賞に輝いた、
納豆の生産者がいると聞きつけました!

水戸納豆製造株式会社。

藁で包まれた昔ながらの「水戸納豆」の生産者です。

納豆鑑評会で評価されるポイントは、
「色」「形」「香り」「糸引き」「味」の5項目。

今年、全国から224点出品された中から、「大粒・中粒部門・国産大豆使用」で
見事、この水戸納豆製造の生産する「雪あかり」という納豆が優秀賞を獲得しました。

大豆が納豆菌に雪のように包まれていることから
「雪あかり」と名付けられたようです。

国産大豆の中でもワンランク上といわれる、宮城県産ミヤギシロメ大豆が使われ、
茨城県工業技術センターと共同開発した納豆菌を利用したことで、
見た目・味・糸引きが向上したとのこと。

確かに、今まで食べたことがないようなしっかりとした粒で、
糸引きも抜群でした。

そんな水戸納豆製造さんのこだわりの製造工程は、
蒸し上げた納豆に、じょうろで独自の納豆菌を植菌し、

手作業によって、独自のパッケージに詰められていきます。

昔ながらの「水戸納豆」は、風味にこだわり、一つひとつ藁に包んでいます。

そして、微妙な温度調整をしながら発酵させます。

大豆の品種やパッケージによって温度をコントロールするのが、
美味しい納豆を作るコツだそうです。

「菌は生き物なので、同じように作ったとしても、変わってしまうこともあるんです」

そう語るのは、四代目となる専務の高星さん。

納豆菌は、微妙な環境の違いで、活動具合が変わってしまうそうです。
豆の顔色をうかがい、豆と対話しながらの納豆作りは、まさに職人技です。

思えば、しょうゆにしても納豆にしても、
大豆を発酵させて作るという工程においては同様ですね。

ちなみに、納豆は混ぜて糸が引けば引くほど、美味しくなるといいますが、
実際は、ある程度混ぜたら、そう変わらないそうですよ。

日本の誇るべき食文化「納豆」は、
こうした職人たちによって作られていることを知りました。

ほしいも学校

ちょっとお腹がすいた時、
思わず食べたくなってしまう干しいも。

写真は、干しいもを作る際に出る切れ端を集めた、
無印良品の「スティック切れ端干しいも」です。

実は茨城県が国内産干しいもの9割近くの生産量を誇っていること、ご存じですか?

「茨城県でも、ひたちなか市を中心にした地域だけが、
干しいもに向いたサツマイモの品種を栽培するうってつけの土壌なんです。」

そう教えてくださったのは、
無印良品の干しいもの監修も務めている鬼澤さん。

甘くてやわらかい干しいもができる「玉豊」と「いずみ」という品種の生産は、
日本では、ひたちなか市界隈の黒土の土壌が、最も適しているそうなんです。

さらに、海が近いため、潮風に含まれる塩分(ミネラル)も高く、
芋を干すには最高の環境だそう。

5月に苗を植えて、10月に収穫したいもを、
約1ヶ月間貯蔵し、デンプンを糖化させます。

その芋を洗い、ふかし、皮を剥き、干すという、至ってシンプルな製造工程ですが、
芋は形が不ぞろいで機械化が難しく、すべて手作業で行わなくてはならないそうです。

そのため価格は高くなりますが、その分、愛情はこもっているとのこと。

「カリウムや鉄分、食物繊維、さらにはポリフェノールが多いんです」

おやつでも健康に良いものとして食べられるのは、うれしいですよね。

この伝統食のことをきちんと伝えていこうと、
この地域の干しいも生産者と、デザイナーの佐藤卓氏が共同で、
2年ほど前、『ほしいも学校』という本を出版しました。

干しいもの歴史から、成分、人体や環境との関わりまで、
徹底的に干しいもについて書かれた本です。

地域の学校にも置かれており、一部東京の本屋さんでも購入可能だそうです。

こうした取り組みで、
地域産業について多くの人に知ってもらい、地域の人が誇りを持つ。

これからの時代へのヒントを得たような気がします。

ちなみに、今年の干しいもは、例年にない良い出来のようですよ。

私たちも、道中のお供にしたいと思います♪