MUJIキャラバン

蛇紋岩米

2013年10月23日

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

新緑の季節に植えられた稲の苗もすくすくと育ち、
田んぼもすっかり黄金色へと変わりました。

※写真左は5月上旬の田植え期、右は今回訪れた9月中旬の収穫期

新米、収穫の季節です。

Café&Meal MUJIで使用しているお米、
「蛇紋岩米(じゃもんがんまい)」の収穫のため、
兵庫県養父(やぶ)市を訪れました。

ご案内いただいたのは(有)浄慶米穀の代表、淨慶俊一さん。

冒頭のことわざは「人格者ほど謙虚である」というたとえですが、
そんな表現がぴたりと当てはまるような方です。

「蛇紋岩とは、表面に蛇のような紋様が見られる岩石のことをいいます。
尾瀬や遠野などでも見られる岩石で、宮沢賢治なんかも好んで集めていたそうですよ。
そんな蛇紋岩が広がりまとまった土壌は、全国的に見てもここだけなんです」

そう教えていただいた浄慶さんの背景に広がる岩石こそが、蛇紋岩。

近くで見ると確かに蛇の紋様のような、遠くから見るとキラキラ輝く岩石で、
とてももろくて崩れやすいんです。

この蛇紋岩を、養父市を流れる八木川が削り、
土壌にマグネシウムとカリウムなど、多くのミネラル分をもたらします。

田んぼの水源である八木川に流れるのは、
氷ノ山や鉢伏山系からの清らかで冷たい水。

加えて、適度な日照時間と、昼夜の高い温度差が、
おいしいお米が育つ絶好の環境なんだそうです。

稲刈り当日も、日差しは強いけれど風は涼しい、
絶好の刈り取り日和。

Café&Meal MUJIの店長たちとともに、鎌を片手に刈り取り開始です!

「体は稲に向かって真っすぐ!鎌は手前に引くように!」

農家の方々の的確なご指南を仰ぎながら、
次々と稲穂を刈っていきました。

実際にやってみると、その鎌の切りやすさに驚かされながら、
刈り取った稲穂を握りしめていると、なんともいえない喜びの感情が湧いてきます。
昔から五穀豊穣を祈願するのも、分かるような気がします。

足腰が堪えはじめたところで、今度はコンバインの登場。
刈り取りから脱穀までを一気に行える文明の利器です。

こちらも農家の方の丁寧なご指導のもと、
徐々にスタッフたちも自身で操縦できるようになっていきました。

少々、表情が硬めですが…(笑)

こうして収穫された稲は、
次々とコンバイン内で脱穀されていきました。

収穫に参加したCafé&Meal MUJIの店長は、

「普段、なにげなく提供していたお米のルーツが知れて、
お米を炊く時も、提供する時も、気持ちが変わりそうです」

など、感想を述べていらっしゃいました。

Café&Meal MUJI、Found MUJIを扱う一部のお店でも、
蛇紋岩米の新米が並び始めています!

帰りがけ、ご指導いただいたJAたじまの堀田和則さんに、
この辺りにしか生息しない生物がいると聞いて、ご案内いただきました。

コウノトリです。

「日本においては、一時絶滅したコウノトリでしたが、
兵庫県では、1989年に旧ソ連からもらい受けた幼鳥から人工繁殖に成功。
それからというもの、コウノトリが生息しやすい環境を取り戻そうと、
但馬地区では、無農薬・減農薬栽培に取り組んでいるんです」

堀田さんがそう語る通り、
車中から眺めた、野生のコウノトリがのびのびとエサを取る姿からは、
多様な生き物が生息する様子がうかがえました。

近くにコウノトリも生息し、
全国的にも希有な蛇紋岩土壌で育まれた、蛇紋岩米。

炊きあがりのふっくらとした少し大きめの粒は、
冷めてももちもちとした食感でおいしいんです。

その甘く優しい味わいは、
それを育んできた環境から生まれるものなのだと感じました。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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