MUJIキャラバン

日本一短い手紙

2012年05月31日

突然ですが、みなさんは最近いつ手紙を書きましたか?

普段生活をしていると、手紙を書く機会や
手紙を受け取る機会はあまりないかもしれません。

そんななか、毎年秋になると、全国各地からの手紙が届く町が福井県にあります。

入試の日の朝御飯、
大きな大きなとんかつと母さんの笑顔。
緊張もふっとんだよ。
(富山県 16歳)

お母さん、八十二歳になりました。
よい爺さんで、世に尽くしております。
(鳥取県 82歳)

おかあさん ぶた
おかあさん ブス
おかあさん バカ
おかあさん…でもすき
(石川県 7歳)

これらは、1993年に福井県丸岡町に全国から寄せられた、
3万2236通の『母』への手紙の一部です。

「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」
これは、徳川家康の家臣・本多重次が長篠の戦いの陣中から妻に書いた手紙で、
日本一短い手紙と呼ばれています。
手紙中の「お仙」は息子・本多成重のことで、
彼は後の初代丸岡藩主になりました。

このことから、福井県坂井市にある丸岡町(まるおかまち)では、
「一筆啓上」の発信地として、手紙文化の復権を目指そうと
1993年から毎年、日本一短い手紙文のコンクールを行っているのです。

毎年テーマが決められていて、
条件は1~45文字(当初は25~35文字)で、手書きであること。

「手書きだからこそ、伝わるものってありますよね。
言葉は"ことだま"であり、言葉には魂がある。
人の想いを届ける手紙は、なくしてはいけない文化だと思うんです」
と、発起人の大廻さん。

丸岡町の子供たちは、小・中学校で毎年必ずこのコンクールに参加していて、
手紙の文化を継承しているそうです。

たしかに、その土地の言葉の中でしか
語り継げないことがあるのではないでしょうか。

ちなみに、今年度のテーマは「ありがとう

「"ありがとう"という言葉は美しい日本語のひとつだと思うんです。
"Thank you"は"No,thank you"と否定で使う場合もありますが、
"ありがとう"の場合は肯定、感謝の意味しかないですからね」

今年度からは、「美しい日本語を海外に伝えたい」と
"Arigatou"を含む1~25wordsの英語の手紙もWEB上で募集するそうです。

「ありがとう」

みなさんだったら、誰に、何の「ありがとう」を伝えますか?

あの時、手紙を書いてくれてありがとう。

私はこの一文を家族と友人に伝えたいです。
高校時代にアメリカに留学した時、
日本から届く家族や友人からの手紙にどれだけ支えられたか。
毎日、ポストをのぞいて、手紙を心待ちにしていたのを思い出します。
今でもそれらの手紙は私の宝物。

電話やメールがある昨今、なかなか手紙を書く機会はないかもしれませんが、
これを機に手紙を書いてみるのもいいかもしれませんね。
電話やメールは形に残りませんが、手紙はいつまでも
その時の気持ちを形に残しておいてくれます。

この一筆啓上の手紙コンクールを主催している、
(財)丸岡町文化振興事業団では、
時を超えて想いを伝えることのできる
おもひでカプセル便」なるものも実施しているそう。

これは、3~20年先の未来に、想いを伝えられる手紙のタイムカプセルです。
5年後の恋人に、10年後の自分に、20年後の生まれたばかりの我が子へ…
など使い方は様々。

私たちも、3年後の自分&お互い宛に手紙を書いてみました。

忘れた頃に届く、「おもひでカプセル便」。

MUJIキャラバン隊として過ごしている、今の素直な気持ちを
書き綴っておこうと思います。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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