MUJIキャラバン

こども通貨「まーぶ」

2013年02月12日

「地域通貨」ってご存じですか?
地域通貨は、あるコミュニティ内で循環するお金のこと。

以前、大分県の別府温泉で、入浴をはじめ、飲食や宿泊などに利用可能な
地域通貨「湯路(ユーロ)」を見たことがありますが、
大阪府北部の箕面市(みのおし)で
子ども向けの地域通貨が流通しているという話を聞きつけ、早速足を運んでみました。

そこは北芝エリアと呼ばれる閑静な住宅街。

昔から地域活動が盛んで、この道路も全国に先駆けて、
18年前に住民参加型で造ったそうです。
道路にある馬の蹄(ひずめ)のマークは、
かつてこのエリアを馬車が通っていたことからデザインとして採用し、
子どもたちが"けんけんぱ"をして遊べるようにつけられたとか。

そんな北芝エリアで2011年7月より発行しているのが、
こども通貨「まーぶ」です。

この地域では「人と人とをつなぐ支えあいのきっかけ」として
過去にも2回、地域通貨の活用をしてきましたが、
今回は「子どもたちの将来の選択肢を広げること」を目的に、
18歳以下を対象としているそう。

「山口県のデイケアセンター『夢のみずうみ村』を見学に行った時に、
高齢者向けの地域通貨『Yume(ゆーめ)』が流通していて、
リハビリになることをすると『Yume(ゆーめ)』が稼げて、
みんなが本当に生き生きとしていたんです。
それを見た時に、子ども向けの地域通貨ができないかなって思って」

「まーぶ」の開発者である、
特定非営利活動法人暮らしづくりネットワーク北芝の武田緑さんは
「まーぶ」発行のキッカケについてそう話します。

当初は、子どもに勉強を楽しくしてもらうことを目指して始めたそうですが、
「もっと人と人とがつながって何かを体験することで実現できないか」
「『まーぶ』を稼ぎ、使い、また稼ぐというプロセスを
子どもたちの日常に組み込めないか」ということで、
「まなぶ」と「あそぶ」をくっつけて「まーぶ」に。

では、実際にどんなシーンで「まーぶ」は使われているのでしょうか?

例えば、「まーぶ」を稼ぐ場としては、
地域のお祭りやイベントの準備の手伝いのほか、

イベント当日、地域のゆるキャラ「ゆずるくん」役を演じたり、

地域の草むしり、会報誌のポスティング、託児サポートに至るまで多岐にわたり、
大人が本当に助かる仕事を任せているそうです。

「"ままごと"だと持続可能じゃないと思うので。
いかにほんまもんの値打ちの仕事ができるかですね」

大人と子どもが対等にやりとりすることが重要だと、武田さん。

また、月1回、「こども風呂敷市」なるものが開催され、

出店料に100まーぶを支払うと、
子どもたちが自分でモノやサービスを売ることができるという場もあるそう。

それから、子どもたちが「まーぶ」を稼ぎたくなるこんな仕掛けも。

地域の大人が講師を務める「樂画喜堂(らくがきどう)」で、
パステルを使ったお絵かきや、造形など、
学校や家では使う機会のない画材を使って
1回100まーぶでアート体験を楽しめたり、

地域の駄菓子屋でお菓子を買えたり、漫画を借りられたり、
地域の塾の授業料の一部としても、「まーぶ」が使えます。

さらに、子どもたちが「まーぶ」を"みらいのじぶん銀行"に積み立てて、

「スタディツアー」に参加することも可能なんです。

昨年11月には、5000まーぶを預金した中学2年生が2人、
私たちも取材で訪れた、徳島県の上勝町に
地域の大人たちと一緒に訪れ、農家の民泊を体験。

また「夢コンテスト」という自分の夢の実現に使うという取り組みも行われていました。
10月には、3人の子どもが審査員の前で自分の「夢プラン」を発表し、

3つのプランがそれぞれ条件付きで採用となり、
夢の実現に向けて動き出しました。

みんな夢実現のために「まーぶ」を貯めるべく働いています。

「『まーぶ』を介して、子どもたちが自分に自信を持ち、
人とつながることで、未来に希望を持てるような社会を作りたい。
今後は、このプロジェクトへの協力者、共感者を増やして、
"地域の子どもたちを、地域みんなで支え育てる"
という地域文化を作っていきたいです」

地域の宝である子どもたちを地域で育てるということは、
もしかすると昔は当たり前に行われていたことかもしれません。

しかし、人と人との結びつきが弱くなってきているといわれる昨今、
地域通貨という仕組みを使ってそれを促進している箕面市の事例は、
他の地域のくらしにおける良いヒントではないでしょうか。

  • プロフィール MUJIキャラバン隊
    長谷川浩史・梨紗
    世界一周の旅をした経験をもつ夫婦が、今度は日本一周の旅に出ました。
    www.cool-boom.jp
    kurashisa.co.jp

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