連載ブログ 富士山麓通信

アニマル・トラッキング

2012年02月22日

家も木々も時には道までも・・・何もかもを覆いつくす雪ですが、逆に、銀世界になったからこそ目立つものもあります。それは、森に棲む動物たちの足跡です。
小動物たちは臆病で動きも素早いので、普段はなかなかその姿をじっくり見ることはできません。でも雪の季節だけは、雪の上にはっきりとその痕跡を見ることができるのです。

リスの足跡。

アニマル・トラッキングとは「アニマル=動物」+「トラッキング=追跡」という意味で、動物が歩いた足跡、食事をした跡、糞など、残された痕跡から、野生動物たちの行動や生活を読み取るもの。もちろん、素人の私には「生態を読み取る」ことなどできませんが、「寒い中、みんな元気に動き回っているんだなぁ」と思うだけで、なんだか、ほっこりしてきます。

夜間に雪が降りしきった翌朝は、新雪の上で、特にはっきり見つけられます。

初めてウサギの足跡を見つけた時は、あまりの大きさに「すわっ、熊が出たか!」とヒヤリとしたものですが、考えてみれば熊は冬眠中。前足を軸にいわゆるウサギ跳びをすると、逆三角形のような形になり、ウサギの足4本分の足跡が熊の1足分に見えた、というお笑い話でした。

野ウサギの足跡。前に並んだ2つが後ろ足で、下の前後が前足です。これは前足部分が少し広がっていて、やや変形。

一方、まっすぐ一直線に歩くのは、キツネ。「一直線の足跡をたどっていったら、その先にキツネが死んでいた」という話を管理人さんから聞いた後、気にかけていたら、見つかりました。結構、近くでウロウロしているようです。

キツネの足跡は、前足と後ろ足がほぼ同じ位置で連なります。

わが家の猫には家出癖があり、時々ふらりといなくなり、長い時は3週間も帰ってこないこともあります。「そのうち帰ってくるだろう」と思いつつ、帰ってくるまでは、やはり心配。特に氷点下10℃を下回る真冬になると、凍死しかねません。家出中の居場所だけでも知りたいと思っていたところ、この冬はじめての雪が降った翌朝、「行き先」が判明しました。
猫は例によって何事もなかったような顔をして帰ってきたのですが、家人が雪の上の足跡を見つけ、それを逆方向にたどっていったのです。猫の足跡は、わが家から100mばかり先の別荘からスタートしていました。
寒さに懲りたのか、それとも根城がばれて面白くないのか、あれ以来、猫は出かけていく様子もなく、室内の温もり場所でおこもり中。一方、犬の方は雪が大好きで、雪に埋もれながらもルンルンで走っています。

左:家の前から点々と猫の足跡が続いていました。 右:猫は炬燵で丸くなる、の図。

こちらは、雪へっちゃらの柴犬。得意技は、鼻で雪かき。

キジの足跡は、松葉を3本にした形。

これは、多分、鹿の足跡。

草木が雪に埋もれてしまう冬場、動物たちは何を食べて生きているのでしょう。豪雪だった何年か前、食べ物を求めて里に下りてきた鹿が国道で車に撥ねられるという事故が相次ぎました。厳しい季節の中でも、動物たちはけなげに生きています。

極寒の時期だけ、ベランダにひまわりの種を置きます。前の人(?)が終わったら次の人、と順番をきちんと守るのがリスのお食事。
  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    M.Tさん

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