連載ブログ 富士山麓通信

かぼちゃのジャム

2011年08月31日

畑に蒔いたかぼちゃが、実をつけないまま枯れてしまいました。がっかりしていたそんな折り、近くの道の駅で珍しいかぼちゃを発見。「ジャム用かぼちゃ」とあります。ハロウィンかぼちゃのような鮮やかなオレンジ色をしていて、ラグビーボール形。ふだん見慣れたかぼちゃとは、かなり様相がちがいます。店の人に訊いてみると「普通のかぼちゃのように甘くないし、ほくほくもしていない」とのこと。「かぼちゃの常識」をくつがえすようなことを言われると、かえって興味をそそられます。大小どれも、1つ200円。とりあえず一番小さいものを買ってきて、「かぼちゃジャム」にトライしました。

どっかり胡坐をかいたような「座りの良さ」がかぼちゃの身上だと思っていましたが、ラグビーボール形のかぼちゃは、置くとごろごろ転がります。

できあがったかぼちゃジャムのお味は、ジャムと呼ぶにはほくほくしているいし、アンコと呼ぶにはジューシーだし...ちょうどジャムとアンコの中間といった感じでしょうか。パンに塗るのはもちろん、お菓子作りにも使えるし、赤ちゃんの離乳食にもなりそうな、やさしいおいしさです。
今回は、甘みのないかぼちゃだったので砂糖(きび糖)を加えましたが、普通のかぼちゃなら、かぼちゃの甘みだけでもいけそう。無添加・低糖のヘルシーなジャムも、意外と簡単に作れそうです。

  • タテ半分に割ったところ。
  • 皮をむき、種を抜いてスライスします。
  • 耐熱皿に入れてラップをし、電子レンジへ。
  • 柔らかくなったら、マッシャーで潰します
  • その後、さらに裏漉し。「やるとやらないでは、なめらかさがちがう」というので、一応やってみました。
  • お鍋に戻し、かぼちゃの重さの3分の1~半量程度の砂糖とレモン汁少々を加え、弱火で煮詰めます。仕あげに、塩をひとつまみ。

もっとも手間がかかったのは「裏漉し」作業。今回は息子が手伝ってくれたので難なくクリアしましたが、私ひとりでやるとしたら、この辺がハードルになりそうです。そんな思いもあって、半分は裏漉しなし(マッシャーで潰すだけ)で作ってみました。裏漉ししたものはたしかに口当たりなめらかですが、裏漉ししないものも素朴な手作り感があって、これはこれで「いい感じ」。作る人の事情や家族の好みなどに合わせて自由にアレンジできるのが、ホームメイドの良さなのでしょう。

道の駅で売っている農産物には生産者の名前が明記されていて、「作る人の顔」が見えます。「金の卵」というスイカや、よもぎのたっぷり入ったよもぎ餅もありました。
左・中:生姜やキュウリに合うという手づくり味噌は、新生姜の隣に並べられていました。
右:富士山頂からの「月の出」案内も。これぞ「旬」情報です。もちろん出かけてみましたが、残念ながら霧でほとんど見えませんでした。

旅行に行ったら、その土地の市場を探して覗きます。食べることは、そのまま生活を映していると思うからです。その意味で、近くの道の駅や小さなお店を覗くのも、私にとって小さな旅。そこに並ぶ食材を通して、その土地の生活や風土が見えてきますし、季節の変化を感じることもできます。夏野菜と冬野菜の区別もなくなってしまった現代ですが、探す気になれば、「旬」はいろいろなところに、都会のど真ん中にも、ありそうです。

  • プロフィール くらしの良品研究所所員
    M.Tさん

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