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旬を味わう ―秋茄子―

新聞の見出しに「酷暑」の文字が何度も登場した、この夏。暦の上では、秋涼が間近い「処暑」を過ぎたものの、まだ残暑は続きそうです。食欲も衰えがちな時季ですが、ひと足早く、おいしい秋を先取り。今回は秋野菜の代表、秋茄子で、旬を味わってみましょう。

夏も秋も、茄子の旬

秋茄子は嫁に食わすな──有名な諺です。「おいしい秋茄子は、憎らしい嫁に食べさせるな」「茄子は体を冷やすから、大事な嫁に食べさせてはいけない」と両極の解釈がありますが、いずれにせよ、秋茄子がおいしいからこそ生まれた諺。
一方で、茄子は夏野菜のイメージもあります。いったい茄子の旬はいつだろう? という素朴な疑問もわいてきますが、実は、どちらも旬。夏の茄子は水分がたっぷり詰まってみずみずしく、秋茄子は果肉が締まってなめらか。夏と秋それぞれの味わいがあり、季節ごとのおいしさを楽しめます。

茄子のいろいろ

茄子の色は「茄子紺」のひと言で表現されますが、形と大きさは品種や土地によってさまざまです。
関東から東北地方にかけて多いのは、中長の卵形をした「千両茄子」。漬物・焼き物・煮物と、なんでもござれの万能選手です。ひょろりと長い「長茄子」は、西日本の人気者。皮がやわらかいので漬物や塩もみに適し、加熱料理にも。九州を中心につくられているのは、長さ30cmから40~45cmにもなる「大長茄子」。皮がかためで果肉はやわらかいので、焼きなすや煮なすなどの加熱調理向きです。京都の加茂なすに代表される丸形のものは「丸茄子」。果肉の締まりがよいので田楽や煮物に向いています。丸形もグンと小粒になると、「小丸茄子」または「ひと口茄子」。皮がやわらかく種も少ないので、そのまま漬物にされることが多く、辛子漬けなどでおなじみです。
アメリカの品種を日本で改良したのは「米茄子」。茄子の英語名「エッグプラント」そのままの大きな卵形で、皮がかたく、果肉も締まっています。加熱しても崩れにくいので、煮物や焼き物に。ほかの品種と異なり、へたが緑色をしているのも特徴です。

おいしく食べるには

茄子は約170種類もあるといわれ、形が変われば味も異なります。おいしく食べるには、それぞれの個性を上手に生かして調理するとよいでしょう。
味が淡白で他の食材と合わせやすく、和・洋・中華と多彩な調理方法に応えられるのが茄子の得意技。あっさりと味わいたいときは焼き茄子や蒸し茄子などそのまま味わう料理で、ボリュームたっぷりにしたいときは揚げ物や炒め物にと、食べる場面や体調、好みに合わせて選べるのもうれしいところです。
また、インド原産といわれるだけに、茄子は寒いのが苦手。冷蔵庫に入れると果肉も皮もかたくなり、風味も落ちてしまうので、常温で保存して2~3日で食べきるのがおすすめです。

みなさんは、秋茄子をはじめとする秋の野菜をどんな風に楽しんでいらっしゃいますか? ご意見、ご感想をお聞かせください。

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食品

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