各国・各地で「千葉・鴨川 ─里山という「いのちの彫刻」─」
棚田の村へ入ると、まるで時計の針を戻していくように過去へとタイムトラベルしていきます。しかし、ここでの暮らしから見えるのは、過去を突き抜けた「未来の風景」です。

地球にEARTHする

2018年06月13日

今年も「無印良品 鴨川里山トラスト」の活動が始まりました。
5月19日土曜日は、天水棚田でつくる「有機米の会」の田植えを約50名の参加者と行いました。美しい天水棚田で多くの人と田植えをすることは、僕にとって楽しい野外フェスです。

田植えでは、子供たちが重粘土質の深く柔らかい田んぼにどっぷりと浸かり、「田んぼ温泉」と言って遊んでいました。
うちの息子も小学生の時、田んぼで泳いで遊んだことがありますが、大人に怒られずに思いっきり泥んこになるのは子供にとって貴重な原体験です。

毎年、お受けしている良品計画さんの新入社員研修でも稲作を行っていますが、素足で重粘土質の深い田んぼにムニュリと足を踏み入れると、歓声が上がります。
「うお~!」
「キャ~!」

その時、僕は大きな声でこう伝えます。
「みんな、地球にEARTH(接地)してー!」
すると、里山に笑い声が響きます。
柔らかい泥の感触には「宇宙の情報」が詰まっていて、素足で田んぼに入ることでこの情報を頭ではなく、五感を通して全存在で受信します。

情報が洪水のようにあふれる情報化社会に暮らす僕らにとって、天水棚田で地球にEARTHする 体験は、「宇宙の情報」を受信し、心身を浄化させ、豊かな感受性を育む貴重な「リセット・ボタン」なのだと思っています。

「里山オフィス」で市民・大学・企業・NPO・行政の連携

今年から僕たちのNPO法人うずは千葉大学国際教養学部のローカルパートナーとなり、釜沼北集落に「千葉大天水棚田」を持ち、毎月学生たちが研修合宿に通ってくることになりました。
千葉大の最初の授業には約15名の学生が田植えに訪れました。
翌日は大山不動尊を見学し、総代長の小川さんにお話を伺い、この地域の歴史や課題をお聞きました。その後、古くからあった直売所が併設された総合交流ターミナルをこの春から良品計画さんが指定管理者として引き受け、リニューアルした「里のMUJI みんなみの里」へ見学に行きしました。

ここは、無印良品の店舗、地元食材を使ったオリジナルメニューのCafé&Meal MUJI、農産物・物産品の販売所、地元農家とコラボして加工食品をつくる開発工房、多目的スペース、セミナールームからなる総合交流ターミナルとして生まれ変わりました。

開発工房では、地域の資源を活かして、ここにしかない商品を地元の人たちと一緒につくることを目指しています。
これからが楽しみです。

最後は「里山オフィス」にて、良品計画ソーシャルグッド事業部の高橋哲さんに「良品計画のローカルでの取り組み」について講義してもらい、学生たちとディスカッションしました。色々と質問が出て、活発な意見交換ができました。
この「里山オフィス」とは旧大山小学校をリノベーションしたシェアオフィスです。

旧大山小学校は10年前に僕の息子が小3、娘が小1の時に廃校となってしまい、地域の中心にぽっかり穴が空いてしまったような寂しさを覚えました。また、東日本大震災の時には仲間たちと「大山支援村」という東北支援の拠点をつくった場所でもあります。
それが「里山オフィス」となって再び蘇ったことは、僕にとって感慨深いものがあります。「里山オフィス」には僕たちNPO法人うずも千葉大学国際教養学部とシェアする形で一部屋お借りし、良品計画さんや他のNPOや企業も入居しました。
これから、ここを拠点に市民・大学・企業・NPO・行政の垣根を超えて連携し、地域を活性化していきたいと思っています。

農家には農家の得意分野、大学には大学の得意分野、企業には企業の得意分野、NPOにはNPOの得意分野、行政には行政の得意分野があります。それぞれがつながることで、相乗効果が生まれ、化学反応が起き、単体では出来なかったことが可能となるでしょう。

つながりを取り戻す

ゴールデンウィークから始まり、毎週のように行ってきた田植えが一段落しました。そして、やっとこれから自分の田んぼです。
5月は、釜沼北棚田オーナーで100名、千葉大学の研修で15名、良品計画さんの新入社員研修で60名、鴨川里山トラスト「有機米の会」で50名、そして鴨川里山トラスト「自然酒の会」で15名と、この一カ月で約240名もの人たちと田植えを行いました。
まるで長い野外フェスが終わった時のような感覚で、"僕の中に田んぼがいます。"

でも、まだ終わりではありません。6月には某企業やアメリカの大学の研修もお受けし、僕はまだまだ多くの人と地球にEARTHします。
現代社会は多くの問題を抱えていますが、その根本的な原因は「つながりが絶たれている」からだと思います。人と人、人と自然、都会と田舎、暮らしと社会、私と地球・・・。
つながりが絶たれている現代社会が再びつながりを取り戻せば、もっと平和で持続可能な社会になるでしょう。
新しい共生社会の誕生に向けて、これからも垣根を超えて多くの人と「地球にEARTHする」楽しい場をつくっていきたいと思っています。

Photo by Shouichi Nakamura・Yoshiki Hayashi

イベント情報

天水棚田でつくる「有機米の会」(NPOうず・無印良品共催)第3回「田の草取りとすがい縄づくり」

「有機米の会」は、無農薬栽培のため除草剤を使いませんので、草取りを行います。
午前中は、稲わらを使って簡単なわら細工のすがい縄をつくります。すがい縄とは稲刈りの時に、刈り取った稲を束ねるために使う伝統的な縄です。

開催日:2018年7月7日(土)
開催時間:11:00~15:30(予定)
開催場所:千葉県鴨川市
詳しくはこちら

「鴨川里山トラスト」今後のスケジュール
有機米の会

2018年5月19日(土)第1回「田植え」
2018年6月9日(土)第2回「田の草取りとごはん茶碗づくり」
2018年7月7日(土)第3回「田の草取りとすがい縄づくり」
2018年9月8日(土)第4回「稲刈り」
2018年10月13日(土)第5回「収穫祭」
2018年12月22日(土)第6回「注連縄づくりとみかん狩り」

手づくり味噌・醤油の会

(年会費(3,000円):味噌1kg、麦醤油500ml、米醤油500ml)

2018年7月21日(土)第1回「大豆種まき」
2018年8月18日(土)第2回「大豆畑の草刈り」
2018年12月1日(土)第3回「大豆収穫」
2019年1月19日(土)第4回「大豆脱穀・選別」
2019年2月16日(土)第5回「味噌仕込み」
2019年3月16日(土)第6回「醤油しぼり

自然酒の会

(年会費(10,000円):720ml×4本)

2018年5月26日(土)第1回「田植え」
2018年6月16日(土)第2回「田の草取りとすがい縄づくり」
2018年7月14日(土)第3回「田の草取りとぐい呑みづくり」
2018年9月15日(土)第4回「稲刈り」
2018年11月17日(土)第5回「収穫祭」
2019年1月26日(土)第6回「寺田本家蔵見学」

※天候不良などによる予備日はすべてありません。

  • プロフィール 林良樹
    千葉・鴨川の里山に暮らし、「美しい村が美しい地球を創る」をテーマに、釜沼北棚田オーナー制、無印良品 鴨川里山トラスト、釜沼木炭生産組合、地域通貨あわマネーなど、人と自然、都会と田舎をつなぐ多様な活動を行っています。
    NPO法人うず 理事長
    T&T研究所 研究員

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