各国・各地で「千葉・鴨川 ─里山という「いのちの彫刻」─」
棚田の村へ入ると、まるで時計の針を戻していくように過去へとタイムトラベルしていきます。しかし、ここでの暮らしから見えるのは、過去を突き抜けた「未来の風景」です。

人と自然が織りなす「いのちの彫刻」

2017年10月04日

9月9日土曜日に鴨川里山トラスト・有機米の会の稲刈りを行いました。
当日は秋晴れの気持ちの良い日となり、46名もの方が参加してくれました。
今年はだいぶ楽でしたが、それでも先週の雨で水の抜けない箇所もあり、苦労する田んぼもありました。

去年この地域は記録的な雨が降り、水が抜けないぬかるんだ田んぼでの稲刈りとなり、大変苦労しました。去年の稲刈りで高齢者の農家は疲れ果て、とうとう山間部の棚田がいくつも放棄されました。そして、また僕の棚田が増えました。でも、そろそろ僕1人では限界です。気候変動とグローバリゼーションは、ダイレクトに農業や暮らしに影響を及ぼしています。社会の毛細血管の末端のような過疎の農村にいると、政治経済から自然現象などを含め、世界の動きをリアルに肌で感じます。

1週間だけの「はざかけ」風景

日本人はお米を主食としていますが、現代では都会の人のみならず田舎の人でさえ、稲をさわらずに暮らしています。また、近代農業は機械されているため、農家でさえ田んぼに入らずスニーカーで稲作が出来ると言われています。

そんな現代人にとって、天水棚田で汗をかき、泥だらけになって稲刈りをするのは、「生命感覚」を呼び覚ます体験になっているのかも知れません。

刈り取った稲は「すがい縄」でしっかりと縛り、「はざかけ」と言って田んぼに組んだ竹に天日干しをします。
この「はざかけ」にも技術と美意識があり、長老たちは実に美しい「はざかけ」をつくります。僕に教えてくれた百姓の師匠である故きんざさんの作る「はざかけ」は、惚れ惚れするほど本当に美しかったです。

晴れの日が続けば約1週間、「はざかけ」で自然乾燥させてからいよいよ脱穀となります。
無農薬栽培でお米を育て、天日干しでゆっくり乾燥させたお米は美味しいと言われていますが、スピードと効率の時代に、こんなに手間のかかる稲作をしている人はほとんどいません。
そして同時に、この「はざかけ」風景も農村から消えてしまいました。

しかし、こうやって都会に暮らす人々と大勢で作業するから、昔ながらの稲作を復活させることが出来、1週間だけ棚田に「はざかけ」風景があらわれるのです。
僕はこの風景が大好きで、実はこの風景が見たくてお米づくりをしているのかもしれません。

稲刈り後、台風が関東を横切り、雨と強風のため「はざかけ」はすべて吹き飛んでしまいました。これを、1人で直すのは大変な作業ですが、ありがたいことに友人2人が1日中手伝ってくれ、なんとか直すことが出来ました。
一千年の時をかけて、人と自然が織りなす里山風景は、日々ていねいに手入れをしているからこそ、美しい「いのちの彫刻」となるのです。

収穫を祝いましょう!

10月14日(土)は、いよいよ収穫祭を行います。
おかげさまで、今年も都会に暮らす人々とお米を育て、約1200年前から作られてきたと伝えられているこの美しい天水棚田を保全することができました。
水と空気と太陽と大地と、すべての生命に感謝し、皆さんと共にお祝いしたいと思います。
今年のお米づくりに参加された方は新米をお渡ししますので、是非いらしてください。
昼食は里山里海の旬の食材を使った「こころ」の木村夫妻のお料理です。食後のおやつは「鋸南のおやつユニット・藁珈琲洞&るんた」がつくるノンシュガーで動物性を使わないおやつから、コーヒーに合わせたバターや卵をつかったリッチなおやつを一口サイズで盛り合わせた季節のおやつです。

また棚田のウッドデッキにて「里山里海の暮らし」をテーマに、房総半島に移住して暮らす「こころ」の木村夫妻・「るんた」の米山美穂さん・「藁珈琲洞」の生田夫妻・「無銭経済宣言」を翻訳したばかりの半農半翻訳者の吉田奈緒子さんらとトークを行います。

ミニコンサートでは、アイルランドなどの音楽をコンサーティーナとギターでお届けします。
美味しいモノを用意して、秋の里山で待ちしております!

Photo by Shouichi Nakamura・Yoshiki Hayashi

イベント情報

天水棚田でつくる「有機米の会」(NPOうず・無印良品共催)第5回イベント「収穫祭」

10月14日土曜日、「鴨川里山トラスト・有機米の会」の収穫祭を行います。
おかげさまで、今年も都会に暮らす人々とお米を育て、約1200年前から作られてきたと伝えられているこの美しい天水棚田を保全することができました。
水と空気と太陽と大地と、すべての生命に感謝し、皆さんと共にお祝いしたいと思います。
今年のお米づくりに参加された方は新米をお渡ししますので、是非いらしてください。

開催日:2017年10月14日(土)
開催時間:11:00~15:30(予定)
開催場所:千葉県鴨川市
詳しくはこちら

2017年度「鴨川里山トラスト」スケジュール
有機米の会

2017年5月13日(土)第1回「田植え」
2017年6月10日(土)第2回「田の草取り」
2017年7月8日(土)第3回「田の草取りとすがい縄づくり」
2017年9月9日(土)第4回「稲刈り」
2017年10月14日(土)第5回「収穫祭」
2017年12月23日(土)第6回「注連縄づくりとみかん狩り」

手づくり味噌・醤油の会

(年会費:3,000円:できあがった味噌1kg、麦醤油500ml、米醤油500mlをお渡し)

2017年7月22日(土)第1回「大豆種まき」
2017年12月16日(土)第2回「大豆収穫」
2018年1月20日(土)第3回「大豆脱穀・選別」
2018年2月17日(土)第4回「味噌仕込み」
2018年3月17日(土)第5回「醤油しぼり」

自然酒の会

(年会費:10.000円:できあがった自然酒720mlX4本をお渡し)

2017年5月20日(土)第1回「田植え」
2017年6月17日(土)第2回「田の草取りとすがい縄づくり」
2017年7月15日(土)第3回「田の草取り・陶芸体験」
2017年9月16日(土)第4回「稲刈り」
2017年11月18日(土)第5回「収穫祭」
2018年2月4日(日)第6回「寺田本家蔵見学」

※天候不良などによる予備日はすべてありません。

  • プロフィール 林良樹
    千葉・鴨川の里山に暮らし、「美しい村が美しい地球を創る」をテーマに、釜沼北棚田オーナー制、無印良品 鴨川里山トラスト、釜沼木炭生産組合、地域通貨あわマネーなど、人と自然、都会と田舎をつなぐ多様な活動を行っています。
    NPO法人うず 理事長
    T&T研究所 研究員

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