研究テーマ

オーガニックコットンについて

オーガニックコットンとは、農薬を使わない土地でできた、つくる人にも大地にもやさしいコットンのこと。土中から農薬の影響を抜くため、「3年以上、無農薬の土地で」つくられたものだけが、そう呼ばれます。

収穫にも使われる農薬

農薬使用の有無を語るとき、私たちは作物が育つ間のことだけを考えがちですが、話はそれだけにとどまりません。
みなさんは、綿を収穫するのに大量の農薬が使われていることをご存知でしょうか? もともと綿の収穫は、葉や茎が自然に枯れるのを待って摘まれていました。しかし現在では、早く効率的に収穫するため、大量の薬品を散布して葉を落とす、ということが普通に行われています。
さらには、害虫から綿花を守るためにも、また農薬で痩せてしまった土地でより収穫量を増やすためにも、多くの農薬や化学肥料が使われていきます。

働く人への悪影響

こうした農薬を、生産者が素手で触ったり、素足で踏んだり、また散布時には直接皮膚に触れたりしているのです。その結果、ひどい皮膚病になったり、たくさんの奇形児が産まれたりという事態が生じました。生産者のみならず、大地にしみ込んだ農薬は地下水を汚染し、周囲の生活者へも影響していきます。
農薬を使っても使わなくても、できた製品には、科学的に分析できるほどの大きな違いはありません。でも、綿を育て収穫する人のボロボロになった手を見ると、こうした生産体制に疑問を持たざるを得ません。

みんなが幸せになるには

これまで私たちは、できたモノさえ良ければ、その生産過程にまで目を向けることはありませんでした。綿の市場も、原産国の安い労働力を使い、先進諸国が大量に安価に買い付けることで成り立ってきました。でもこれからは、誰かの犠牲の上に成り立つような経済発展は望まれていません。
関わる人すべてが幸せに、そして豊かになっていけるように。生産者の健康はもちろん、フェアトレードという観点からも、生産者の暮らしを守っていくことが必要です。また環境汚染の観点からも、自然を守り安全な土壌を取り戻していくことは、私たち人類の未来に向けての使命でもあります。

いま、できることから

オーガニックコットンは、手間と時間のかかる分だけ、コストとしては高い物になります。だからといって、製品の値段があまり高くなると需要が減ってしまいます。需要が減れば、生産者を守ることもできなくなってしまいます。いいことをしているのだから高くなって当然、というわけにはいかないのが実状です。
現状、「オーガニックコットン」と表示されている商品には、オーガニックコットンが100%使用されています。値段もかなり高いのが普通です。そこで、コストと安定供給のバランスを考えて、多くの製品に何%ずつかでもオーガニックコットンを混ぜていく、という現実的な方法での活動も始まっています。需要を確保することで、生産者と長期契約を結び、安心して生産できる環境をつくっていこうというものです。なにしろオーガニックコットンをつくるには、最低でも3年以上の時間がかかります。まず「できること」から、一歩ずつ歩を進めていくことが求められているのでしょう。

オーガニックを生かす

綿を摘んだ後の加工工程も、考える必要があります。大切に育てられたコットンだからこそ、紡績や縫製など最後までオーガニックにこだわり、自然の風合いを生かしていきたいものです。市場に出ている商品は、必ずしも、すべての加工工程がオーガニックであるとは限りません。でも、関わる人たちの思いを製品に託して、ていねいに、それぞれの綿の持ち味を最大限引き出そうと取り組む努力は、今後ますます必要になってくるでしょう。オーガニックコットンだからといって原料に違いがあるわけではありませんが、こうした取り組みによって生まれる製品には、目には見えない、人々の思いが込められていくはずです。

(今週のコラムは、過去にお届けしたコラムをコラムアーカイブとして、再紹介します。)

研究テーマ
衣服