研究テーマ

眠りについてのアンケート結果報告

1 眠りについてのアンケート結果報告

2011年4月6日(水)~15日(金)に実施いたしました『眠り』についてのアンケート、1,166名の皆様から回答が寄せられました。

今回のアンケートで『よく眠れる』と答えた方は35.9%です。残りの64.1%の方が何かしらの眠りについての課題を持っていると答えています。さらに、何かしらの眠るための工夫をしているという方も54.1%もいます
よい眠りを手に入れたい、そうした想いは、反対に普段よく眠れない、質のよい眠りが確保できていないという裏返しとも言えます。
どうしたらよい眠りが手に入れられるのでしょうか、そして何が原因で眠れないのでしょうか。今回はアンケートをもとに、眠りに関してのみなさんの課題が見えてくればと思います。
(文中にNPO睡眠文化研究会 鍛治恵さんからのコメントをいれています。)

眠りの状態について

眠りのための工夫は何かしていますか

目覚めのための工夫は何かしていますか

目覚めの状態

眠りの工夫をしている人に比べ、目覚めのための工夫をしている人は少ないようです、しかしすっきり起きれることは、良い眠りとあわせて大事な事です。すっきり起きられないと答えている人が75%もいます。

眠るための工夫と眠りの状態の比較

眠りの工夫をしている人の31.4%の人だけがよく眠れると答えています、つまり残りの7割弱の人は工夫をしていると答えているにもかかわらず、なにかしらの課題があるということです。またよく眠れてなくても、特に眠りの工夫をしていない人も多くいる事が伺えます。

眠りのために効果的と思われることは?(複数回答)

多くの方が食事やお酒に注意しています、特に眠る前には食事をしないというのも多いです、眠る直前の食事は、眠りだけでなく、健康にもよくないといわれています。一方寝る前にアルコールを飲むというかたも、7.5%もいます。

NPO睡眠文化研究会 鍛治恵さんからのコメント 眠るためにアルコールを摂ると、寝つきはよいようでも、アルコールの分解のために内臓は休息できず、その後の利尿作用などで中途覚醒を促し睡眠のリズムを崩してしまいます。アルコールには深い睡眠を減らす作用もあるので睡眠の質も悪くなってしまうようです。眠ることを目的に飲まない方がよいでしょう。

みなさんからのご意見「食べるものについて」

  • 牛乳も体に合わないため飲めないですが、白湯やほうじ茶など温かいものを摂るようにしています

    (40代女性)
  • リラックス作用が期待できる食品をとります

    (40代女性)
  • カモミールティーのようなハーブティーを飲みます

    (40代女性)
  • 油っぽいものや甘いものを食べ過ぎない。

    (40代女性)

眠るための工夫:環境状態について(複数回答)

目覚めの工夫:環境状態について
(目覚めの工夫をされている人336名の複数回答)

完全に暗くしていくというのが最も多いのですが、目覚めのためには、必ずしも暗くない方がいいかもしれません。

NPO睡眠文化研究会 鍛治恵さんからのコメント 私たちの身体には体内時計がいくつもあります。その中でも主時計は脳の中にあり、目からの光刺激で起床時は明るい光を浴びることが望ましいです。2500ルクス以上の明るい光(曇りの日の戸外の明るさ)を浴びると、身体が朝だと感知し、生体リズムをリセットする効果があります。起床前の目を閉じた状態でも、目は光を感知しそれによって身体は起きる準備をしますので、遮光カーテンで真っ暗にするよりも、徐々に明るくなるような寝室環境で寝起きした方が、スムーズな起床につながります。

眠るために効果的か:入浴に関して(複数回答)

入浴は確かに一日の疲れをとってよい睡眠のためには良さそうです。

NPO睡眠文化研究会 鍛治恵さんからのコメント 睡眠は体温のリズムと連動していて、体温が下がるタイミングが眠りに就きやすいのです。
また、体温をいったん上げると、身体は元の状態に戻ろうとするため、体温はかえって低下しやすくなります。入浴で身体を温め一日の緊張をほぐしてあげると、その後の体温の下がりがスムーズになり、寝つきやすくなります。入浴は気分をリラックスさせるだけでなく、体温を下げるのに効果的なのです。

眠るために効果的か:寝具について(複数回答)

みなさんからのご意見「眠るための工夫、寝具について」

  • 枕の高さを調整するためにバスタオルで調整。腰の部分にバスタオルをたたんだ状態で敷いて高さ調整

    (30代男性)
  • できるだけ布団の湿気がとぶように、空気を通しておく

    (40代女性)
  • バスタオルをくるくる巻いて枕代わりにしている。布団を干す。

    (40代女性)

眠れない理由

NPO睡眠文化研究会 鍛治恵さんからのコメント 眠れない=ストレスという単純な図式ではないかもしれません。眠る環境や眠りに就く前の環境、食事などの生活習慣など様々なことが複合されて影響しています。

みなさんからのご意見「眠れない理由」

  • 仕事のストレス、心配事でアドレナリンが出過ぎてまう

    (30代女性)
  • 環境(仕事も家庭も)ストレスと枕などの寝具が合っていないと思う

    (30代女性)
  • 子どもが一緒なので、寝返りなどのたびに起きてしまいます

    (40代女性)
  • 寝る直前に長いメールを打ったりして、寝る機会を逃したとき

    (40代女性)
  • カフェインを摂ると時々眠れなくなります

    (40代女性)
  • 東日本大震災後

    (30代女性)
  • 花粉症で鼻が詰まって目が覚めてしまいます。

    (30代女性)

昼間眠くなりますか

80%近い方が昼間眠くなる、睡魔に襲われる、昼寝をすると答えています。昼寝をするという人12.3%も興味深い数字です。
どこで昼寝をしているのでしょうか。

NPO睡眠文化研究会 鍛治恵さんからのコメント 午後1時から3時くらいの眠気は、体が本来持っている3つの周期の眠気のリズムのひとつです。24時間周期、12時間周期、2時間周期の3つのうち、二番目に強い12時間周期のリズムで、昼食をとるとらないには関係なく、単調な刺激の中にいたり、前夜の睡眠が足りなかったりすると眠気となって現れます。仕事の効率が落ちたり、居眠り事故を起こす可能性が高いこともあり、20分くらいの昼寝をとるのは体のためには良いと言われています。

昨日は何時に寝ましたか

今朝は何時に起きましたか

就寝時間は遅く、69%の人が12時以降に眠っています。
眠りの周期を超えてしまうと、寝付きも悪くなると言われており、質のいい睡眠が確保しにくくなります。
一方、起床時間は、朝7時前に起きる人が64%です。
寝る時間と起きる時間をクロスさせてみると、睡眠時間は5時間~6時間半になりそうです。
11時台の割と早い時間に寝る人でも、6時以前に起きる人が圧倒的に多く、決して睡眠時間が長いとはいえません。

眠りの状態と眠っても疲れが取れない人の比較

「あまり眠れてない」と答えてる人は87%、「時々起きる」と答えてる人で74.5%が疲れが取れないと答えており、やはりという感じがします。
一方で「よく眠れている」と答えている人で疲れが取れない人が44.6%もいます。
なんらか課題が潜んでるのかもしれません。

まとめ

ねむりについては多くの方が課題を持ちながら、どのような方法でそれを解消していけばいいのか具体的にはわかっていないようです。特によい眠りを確保したいと思いながら、様々な工夫をしてもそれが実際にどの程度役に立っているのか、自分自身で判断するのは難しいものです。
また眠りは、寝ている環境だけでなく、昼間の出来事や運動、食事など様々なことが複合的に絡み合って影響しているのでしょう。
昼間運動を心がけている方や、寝る前にストレッチなどをするという人も多くいらっしゃいました。こうしたことはよい眠りには効果があるでしょう。また睡眠環境にも気を配っている方も多く、夜暗くなるようにしている方や、徐々に暗くしていくなどの工夫をしている方もいらっしゃいました。
それでも、よい眠りがとれないと答えている方も多く、自分の意識として眠りがとれていないのか、それとも本当に眠れていないのかということも気になりました。
また、昼間眠くなる方が多い事も興味深い事実でした。実際、昼寝をする方が12%もいますが、だれでも昼寝をできる環境ではありません。
日本人は眠りを削って勉強や仕事をする事が良い事と言われてきましたので、そうした文化的背景もあってか睡眠時間が少ないようにも思えます。今回の結果を見ても、眠りの最適な時間を7時間から8時間とするならば、日本人は全体的に少ないと言えそうです。
しかし睡眠時間の確保はとても重要です。眠りの研究分野では眠りは記憶を定着させるとも言いますし、本当は質の良い眠りは仕事を効率的に進められます。

今回のアンケートを通して眠りについていろいろ考えさせられました。人間は3分の1の時間は眠るのですからその時間をもっと積極的に考え、眠りについてもっと深く考えていきたいとも思います。
さらに眠りは、国や文化といったことによっても違いがありそうです。日本人のもってきた文化や価値観を見直して、眠りを楽しんでみるというのもいいかもしれません。

昼間のために眠るというのもありますが、眠るために昼間を過ごすという考えもありそうです。

次回以降、どうしたら質のいい眠りを得られるのか、さらにみなさんと一緒に考えてみたいと思います。
アンケートへのご協力ありがとうございました。
なお補足資料として、今回はすべてのアンケート結果を掲載しておきます。どうぞご活用ください。またご意見などあればぜひ教えてください。

[補足資料]

眠りについてのアンケート結果一覧(PDF:602KB)