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飫肥杉世界の仕掛け人、齋藤さんにインタビュー 「あなたは、いったい何者なんですか?」

2015年04月29日

東京から宮崎に移住し、地域活性化の活動をする齋藤さん。前回紹介した『飫肥杉デザインプロジェクト』の代表を務め、宮崎で地域資源を活かした街づくりに奔走しています。実際に地域が元気になっていくのをみていると、日本の地域活性化のヒントが齋藤さんの中に沢山あるように思えます。

国内外で成功を収め宮崎県でも活躍中の斉藤さんに、これからの飫肥杉デザインプロジェクトや宮崎の活性化について、地域への想いを聞いてきました。

「あなたは、いったい何者なんですか?」

抜群の行動力や異色の経歴を聞き、たくさんの人から尋ねられるのだそう。そんな状況に、「僕は宮崎の魅力を活かした街づくりが1番大切だと思っていて、そのために必要だと思うことをやっているだけなんですよ」と不思議な様子の齋藤さん。

「いま思えば、アメリカでの勉強はやっていて良かったです」と振り返るのは、斎藤さんが大学生だった頃。英語も話せないままに1人渡米をし、シリコンバレーのお膝元でインターネットの凄さを体感したときのことだと言います。

卒業後はシリコンバレーのITベンチャー企業でディレクターとして開発に携わり、日本に帰国。そして起業。新しい会社でも大きな仕事を手がけるようになり、起業家として大成功を収めたのです。

そんな経歴を持つ齋藤さんが東京から宮崎に移住し、地域活性化に奔走するのはどういうわけなのでしょう?

きっかけは「すごく感謝されたから」

日本に帰国後に立ち上げた会社は、見事に大成功。しかし、ルーチンワークのような仕事に面白みを感じなくなってきたある日、とある地方の仕事を手がけ、これが転機になったのだと言います。
「お金は少ない仕事だったんですけど、地域の人から凄く感謝されて。自分の仕事がお金以外の価値を生み出す喜びを知るきっかけになりました。」それから街づくりに傾倒しはじめた齋藤さん。

2007年に世界中のまちづくりを見てまわり、特に民間一体で街を作っているドイツの街が印象的だったと目を輝かせます。
第二次世界大戦で教会以外すべて焼け野原となったフライブルク。街の人は伝統や文化を伝えるため、あえて全く同じ建築を作りなおしたそうです。「先代から受け継いできたモノを、次の世代に受け継いでいくのは当前のことだ。」この言葉が自分の人生を変えたのだと齋藤さんは言います。

僕らはスパイス。宮崎人の地力こそスゴイ!

発信を続けていく中で感じるのは、情報と経済が街を変えていくという手応えだそうです。特に、メディア関係に宮崎が協力してくれたのは大きな変化。と語る齋藤さん。
そのためには沢山イベントをやったとのことで、「選挙活動のようなものでした」と振り返ります。活動を知ってもらうことは凄く大切で、地道に活動したチームメンバーや、なにより宮崎の人がスゴイ!と賞賛しきり。

その成果のひとつとして、2014年の8月に飫肥杉デザインプロジェクトがニューヨークへ行ってよかったのは「宮崎の人がお金を出してまで現状をよくしたいと思ってくれたこと」。そして、これまでの行政・民間・NPOが連携した活動が実を結び「飫肥杉の市場価格が上昇したこと」なのだと言います。

地道に理解者を増やすことが大切だと考える齋藤さん。そこまでしていても「僕らはスパイスをつけただけ」なのだと遠慮気味。「ぼく以外は純粋な宮崎人で、代表を名乗っているけどその名の通り代わりに表に出ているだけで。中身はぜんぶみんながやってくれました。」

僕らがやるべきはPR

やっぱり宮崎人は凄いですよ。と感慨深そうにしながらも、他の地域でも再現性はあると言う齋藤さん。うまく街のニーズを聞いて情報発信をしていけば、仲間が集まって課題を解決できるようになると考えているそうです。

そのためには、情報とお金をちゃんと動かさないといけないと言います。まちづくりのために人が育って、地域の経済が動き出すようなことを目標に現在の活動を発展させていくそうです。

それでは今後、飫肥杉デザインプロジェクトの舵取りはどうしていこうと考えているのか? 齋藤さんは「僕らは市場の価値を高めるようなことをできればいい」と目標を教えてくれました。

プロジェクト後、商品の売上はあがり、全国から視察も増加しました。今度は一緒に宮崎県の魅力をPRをしていく人材を育成する事に、斎藤さんたちは動き出しています。

  • 齋藤 潤一氏 NPO法人まちづくりGIFT 代表理事 地域資源を活かしたまちづくりを使命に活動する
    「まちづくりGIFT」
    http://giftstotheearth.com/
    宮崎の伝統工芸である飫肥杉産業を支援する人々から、325万円の支援金をいただき、宮崎県日南市の地元工芸品「OBISUGI-DESIGN」や関連する木工製品を開発し、ニューヨークで開催される世界最大級のギフトショー「NY NOW(ニューヨークナウ)」に出展。
    また、トーマツベンチャーサポートと協力し、天照大御神(あまてらすおおみのかみ)が身を隠された時に、神様が企画会議を行った伝説が残る天岩戸神社(宮崎県高千穂町)にて、「宮崎ワケモン会議(http://visit.miyazaki.jp/?PAGE_ID=11926)」を開催するなど、スタートアップ支援も行っている。また、2015年5月からは、人材育成事業「宮崎スタートアップバレー」を開始し宮崎のために日々奮闘中。
  • プロフィール 久志尚太郎
    音楽やアート、旅や食が好きです。
    高校時代のアメリカ留学を経て、20代前半に世界25カ国放浪。
    25歳から宮崎県串間市で人口1000人高齢化50%の村での田舎暮らしを経験し、現在は東京を拠点に都会と田舎、世界と日本を行ったり来たりしています。

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