各国・各地で 素材を求めて
無印良品は、世界中に足を運んで選んだ素材でできています。
できる限り産地や工場を直接訪ね、品質や生産工程を細かく点検し、その土地の特徴や生産方法を尊重しながら、原料調達を行う。その姿勢は、無印良品が誕生した当時から現在まで、そしてこれからも、変わることはありません。無印良品の品質は、産地とそこに生きる人々との交流を通して、つくられていくのです。
このシリーズでは、こうした産地との取組みをご紹介しながら、「良品」が生まれる背景をお伝えしていきます。

ホワイトオーク ─樹齢100年の生命をいただく─

2014年08月20日

無印良品は、テーブルやチェア、ベンチなどの無垢材の家具に、樹齢100年近くのホワイトオークを使用しています。ホワイトオーク(white oak)はブナ科の落葉広葉樹の総称。英国では「キング・オブ・フォレスト」と呼ばれるように、数世紀を生き続けて巨樹となり、豊かな森をつくって生きものを育む森の王者です。その強度と耐久性、しなやかさで、古くから高級家具や船舶、車両などの素材として使われてきました。

同じ思いを持つFSC( 森林管理協議会)本部といっしょに北米の森へ

無印良品は、家具づくりのための木材を探すにあたって、その木がどこで育ちどう運ばれてくるかをトレースできること、そして伐採後の森林環境のことも考えました。木の生命を家具として生かすには、森と人との良好な関係が永く続いていくことが大切だと考えるからです。
良質なホワイトオークの産地を知るため、私たちがまずコンタクトしたのは、ドイツに本部を置く森林管理協議会(Forest Stewardship Council:以下、FSC)。持続可能な森林管理を目的に、1993年に創設された国際的な非営利組織です。
ここでは「森林管理のための10の原則」を設け、それをもとに、適切に管理された森林と、そこから切り出され適切に流通加工された木材を認証。伐採しても永続する生態系や地域社会への配慮、素材に混じりもののない完全なトレースなどが監視されています。
無印良品は、同じ思いを持つFSC本部と一緒に北米の森に足を運んで現地を調査し、FSCも最高品質と認めるお墨付きの森を選定しました。

アパラチア山脈の麓 ケンタッキー州サマセット

良質のホワイトオーク産地には、「アパラチア山脈」南側の麓という共通点がありました。そこは、カナダから北アメリカ東部を南西に、全長約2,600kmに及ぶ広大な山麓地帯。長い年月にわたって栄養分を蓄えた火山灰地質で、石灰質を多く含む土壌がホワイトオークを育み、他の地域と比べて樹木の寿命も永くなります。
その中でも私たちが注目したのは、ケンタッキー州サマセット。冷涼な気候の中でゆっくり成長するため、木目がしっかり詰まった美しい木材になるのです。ケンタッキー州はバーボン・ウイスキーの名産地としても世界に知られますが、この地の良質な材で作ったホワイトオーク樽がウイスキーの熟成に一役買っているのは言うまでもありません。

自然循環の森から

無印良品が手を結んだのは、ケンタッキー州東部サマセットに2200ha(東京ドームの約500個分)の森を自ら所有し管理する会社です。そこは、人の手で植林しなくても、落ちたドングリが芽吹き、育つという大きな自然循環が成り立っている森。樹齢約100年の木を伐採するために、孫の代まで考えた100年〜150年という長期的なスパンで成長や環境を見守ります。木の一生や森の生態系という大きな自然の力にゆだねるようなスケール感です。
自然にゆだねるといっても、もちろん、放置するわけではありません。森林管理を学んだ専任者が、森のすみずみまでを熟知して記憶。枝ぶりや直径から未来の巨木となる若木を見極め、選ばれたその木が太陽光を浴びてまっすぐ伸びられるように、周囲の木を間伐するなどして環境を整えます。こうして管理された森は、倒木が少なく、生態系も豊か。ホワイトオークの他にも、レッドオークやチェスナットなど多様な樹木が混在し、たわわに実るドングリは生きものを養い、清水をたくわえて肥沃な土壌をつくります。

余すところなく木を使う

環境に配慮しながら上質な家具を量産できるよう、木材産地からの直接買い付けによる品質と供給量の安定化だけでなく、加工や流通段階での工程の見直しにも着手しています。製材した材木をグレードごとに仕分ける「グレーディング」作業は、乾燥前だけでなく乾燥後にも実施。この道30年を超えるベテランのプロの目で、注意深くていねいに品質を選定します。また、パーツの加工後には端材になるものにまでかかっていた輸送コストを抑え二酸化炭素の排出量を削減したいと考え、伐採から家具のパーツ加工までを産地で行うというアイデアの具現化に向けたチャレンジもはじめています。製材中に出る端材や木屑は、木製の小物やおもちゃ、ペレット燃料などに製品化することを検討中。素材を熟知するパートナーと、顔の見える信頼関係の中で、木のすべてを使って材料ロスを減らすためのアイデアを出し合っています。

樹齢100年に近いホワイトオークでつくる家具の背景には、広大な森があり、愛情を持ってそれを管理する人々や、そこで暮らすたくさんの生命があります。上質な木の家具が人の暮らしになじむのは、そんな自然の息づかいを感じられるからかもしれません。大切に使い込まれる上質な家具を適正な価格でつくるため、素材を求める私たちの旅はこれからも続きます。