今回の応募作品はレベルが高かったと思う。その理由は製品化を条件にしているからだ。プロのデザイナーからのエントリーも多かったようだ。
一般のデザインコンペは世の中にない奇抜なアイデアを競い合うが、Mujiの場合はむしろ生活用品の中で、「このままがいいんじゃないの」と思うようなものや、余計な意味をこじつけないものが選ばれる。コンペとしては特殊かもしれないが、創造という行為の価値観を変えなければなかなかMujiらしいものはできない。
金賞
金賞のタオルはMujiのメンバーから絶賛された。彼らはタオルの製造工程を熟知していて、手ぬぐいサイズのタオルは大きな一枚のタオル地でまずつくり、それを切り離すことでできている。まさにこのアイデアは製造工程に無理なくフィットするということだ。Mujiの製品は製造上で無駄と無理がないことが重要で、アイデアが先行して生産が難しい多くのコンペの応募作品からすれば、きわめて期待の的を射ているということである。
重なるハンガー
重なるハンガーは何本ものハンガーを重ねれば一つのハンガーとしても使えるから無駄がない。使わないときにはかさばらないということがすばらしい。薄い素材でも立体的な造形によって構造的な強さを確保している。難を言えば、フックの部分も重なるように設計されていないのが残念である
- 小池一子
- 杉本貴志
- 原研哉
- 深澤直人
- ジャスパー・モリソン
