ジャスパー・モリソン(特別審査員|プロダクトデザイナー)

無印良品のスピリットを充分理解した、本当にたくさんの作品が寄せられました。しかし残念ながら、わずか15作品しか選ぶことができませんでした。どの15作品を選ぶべきか審査員のあいだで実に活発に論議を行い、金賞の作品に関してはより熱心に話し合いをしました。金賞作品は、私個人が気に入ったものではありません。他の審査員方がその作品を推したことについては支持をしますが、真の機能性に欠けていると感じ、その作品の象徴的な機能は、無印良品が取り組む「日用の実用性」からはかけ離れていると感じました。もし私が決めるのであれば、金賞は「SORI 画鋲」を選んでいたでしょう。これは、到底改良の余地が無いと思われていた製品を、もう一度発明し直したものです。固い素材に対して画鋲を刺す時、不快感を持たない人はいないでしょう?表面のカーブ(反り)はその不快感を和らげます。さらに優れている点は、何かを画鋲でとめたあと、そこに何かを引っ掛けることができるのです。外す時も、より簡単に外すことができるようになっています。次点は、私がいつも使っているスタンダードな無印良品のノートに、全ページの隅に小さな正方形を印刷したものです。ここに数字や日付、タイトルを書いたり、チェックをしたり、好きなように使うことができる。余計なコストをまったくかけることなく、ノートに改良を加えたという点こそ、私が思う「Mujiness(無印良品らしさ)」のもうひとつの完璧な例と言えるでしょう!

審査員コメント