電気機器の多くはコードを差し込んだ状態で、すでにわずかながらも電力消費の状態にある。通電を示すパイロットランプの点灯などに電気が消費されるからだ。コンセントからプラグを抜くことで機器は完全にOFFになる。しかしコンセントの周辺に「落ちている」プラグは中途半端で所在ない。金賞の作品はこの状況にポジティブな風情を与える視点がテーマに合致して新鮮であった。状況に意味を付与するコミュニケーションへの着眼に共感する。ページが付されて目次が書き込めるノートにも感心した。タイトルとなっている「読み返したくなるノート」というよりも、書いたはずのメモの場所を探す苦労がこの工夫で払拭される。反り返った画鋲にもなるほどと共感したが、差し込んでも完全にフラットにならない半端さが逆にやや気になる。PEN-PAPER-TRAYの率直さにも惹かれたが、審査の終盤までは当初の感動が持続しなかった。
