くらしの良品研究所 > Found MUJI > MUJI×JICAプロジェクト ケニア編

共同プロジェクト概要

MUJI×JICAプロジェクトは、2010年末に無印良品がクリスマス商品の企画で協力できないかとJICAに打診を行ったことがきっかけで始まりました。打診を受けたJICAが全世界の事務所に呼びかけたところ80を超えるアイデアが寄せられましたが、その中で最終的に選ばれたのがケニアとキルギスの一村一品プロジェクトからの提案でした。採用決定から商品化までは、生産体制や輸出手続きの確認、品質テスト、デザインの検討など、一つひとつ丹念に段階を踏んで進められ、ケニアからは石鹸のようにやわらかい特性の石、ソープストーン製の置物が5種類、牧畜が盛んなキルギスからは、めがねケースなどのフェルト製品が3種類開発されました。無印良品は、この取組みで開発する商品について、通常の商品と同様の品質およびデザインのレベルを適用しましたが、それぞれの村の皆さんの努力とJICAによる生産管理体制づくりや品質管理体制づくり等の支援によって商品化が可能になりました。2012年も引き続き、この活動を現地とJICAと共にプロジェクトを続けています。

国情報 ケニア共和国(Republic of Kenya)
※外務省ホームページより抜粋

基本情報

面積 58.3万平方キロメートル(日本の約1.5倍)
人口 3,980万人(2009年:世銀)
首都 ナイロビ(Nairobi)(約310万人 2009年:ケニア統計局)
民族 キクユ人、ルヒヤ人、カレンジン人、ルオ人等
言語 スワヒリ語、英語
宗教 伝統宗教、キリスト教、イスラム教

経済

主要産業 (農)コーヒー、紅茶、園芸作物、サイザル麻、綿花、とうもろこし、除虫菊
(工)食品加工、ビール、タバコ、セメント、石油製品、砂糖
(鉱)ソーダ灰、ほたる石
名目GDP 324億米ドル(2010年:世銀)(※日本55035億ドル日本の0.6%)
※統計局データ「世界の統計」より抜粋
一人当たりGDP 802米ドル(2010年:世銀)(※日本$42,983 日本の1.8%)
※統計局データ「世界の統計」より抜粋
経済成長率 約5%(2010年:世銀)

ケニアにおけるJICAの一村一品プロジェクト

ケニアでは投資や産業の多くが都市部に集中し、地方における資源が十分に活用されておらず、農村部に多く存在する中小零細企業、ビジネスグループの競争力強化は、雇用を通じた収入向上・貧困削減の観点から重要な課題となっています。そこで、ケニア政府は地域資源を生かした日本の一村一品運動(注1)に注目し、ケニア産業化省内に一村一品事務局(OVOP事務局)を設置し、One Village One Product Programme(OVOPプログラム)を実施しています。
OVOP事務局は、地域資源の活用や付加価値向上等のOVOPコンセプトの普及、同コンセプトに合致する対象グループの発掘、グループの能力強化のための研修機会の提供、展示会や見本市への出展支援を通じて、地域のビジネスグループ支援を行っています。JICAは、OVOP事務局によるOVOPプログラムの円滑な実施および提供するサービスの向上のための技術支援を行っています。OVOPプログラムが対象とするビジネスグループの多くは、蜂蜜やヨーグルトなど農産加工品を生産していますが、かごバッグ、ストールなどの伝統的な織物のほか、切株を使った家具などユニークな産品を生産しているグループもあります。
MUJI×JICAプロジェクトで製品化されたソープストーンの生産者グループは、1990年に設立されヨーロッパへの輸出を行うなど、既に輸出の経験がありましたが、日本の大手企業を相手とした取引は初めてでした。日本企業から求められる商品のクオリティは非常に高いものでしたが、プロジェクトを通じて、品質、生産管理体制、輸出に必要な手続きなどを、生産者グループが実践しながら学んでいきました。また、生産者グループはJICAが中小輸出業者向けに行っている貿易や輸出手続きに関する研修に参加するなど、他のJICAプロジェクトとの相乗効果も生まれています。 注1 JICA(独立行政法人国際協力機構)の一村一品プロジェクト 大分県で始まった一村一品運動は、地域資源を生かして特産品を育てることにより地域活性化を目指す取り組みです。そこでJICAは、日本の一村一品運動の経験に基づき、途上国の農村部を対象に、一村一品運動を通じた農村開発に取り組んできました。具体的には、地域の観光資源の活用や、地元の原材料を使った製品開発・販売による地場産業の振興を通じた地域の活性化を支援するプロジェクトを、アジア、アフリカ、中南米の国々で実施しています。

ケニアのソープストーン商品情報

ソープストーンとは、石鹸のようにやわらかい材質の石のこと。ケニア西部にあるキシイ地方はその産地です。この石を使って彫刻を作り、海外などへ出荷することが、現地での貴重な現金収入の手段です。品質向上へのつながることを願い、無印良品はこの工芸品を仕入れることとしました。生産者グループは、利益の一部を保育所や情報センターの建設にあてるなど、地域コミュニティへの還元も行っています。

ソープストーン商品のできるまで(ひとつひとつ丁寧に手作りでつくっています)

  1. 1.石を切り出す。
  2. 2.大きく石から小さく石を割っていく。
  3. 3.おおまかに形をつくる。
  4. 4.細かい部分まで細部を職人さんが削っていきます。
  5. 5.4段階の目の違うヤスリをひとつひとつ丁寧にかける。
  6. 6.水で洗ったあとに、天日干しをします。
  7. 7.その後サイザル麻で、商品を磨いていきます
  8. 8.梱包して完成