杉本貴志(無印良品アドバイザー、インテリアデザイナー)

総評

このコンペティションも回が重なり、応募作品を次々と見ていて、それぞれの思考から思考への流れを受け止めながら、そのウェーブに淀みがない事に気付く。
審査側にも理由があるのだろうが、ある程度の思考の慣れのようなものを感じてしまうのである。言い換えれば、無印という考え方が大きく一回転したのかも知れないし、今我々が認識している社会感、時代感のせいかも知れない。
あえて私の持論を持ち出すと若干の違和感、或いは異論、つまり淀みがないと全体の魅力は持続出来ずに“衰退”するし、無印も又同様である。
無印という概念は、今明解ではない。その境界は振動しながら拡大しようとしているのである。その境界上への発言が欲しいのである。

金賞コメント

我々が子供であった頃、ストローは麦わらであった。
多分、その次に蝋で処理された紙パイプに代わったし、その新しいストローはとても美しく見えた事を憶えている。
しかしその事を懐かしんでいるのではなく、今の生活状況の中での「わら」は昔と違って鮮烈な存在なのである。
我々が変化しているのである。
この「麦わらストロー」を指で摘まんでみる。そのちょっとした肌触りに、今のモノの有り方が伝わってくるように思える。

審査員コメント