くらしの良品研究所 > Found MUJI > MUJI×JICAプロジェクト キルギス編

共同プロジェクト概要

MUJI×JICAプロジェクトは、2010年末に無印良品がクリスマス商品の企画で協力できないかとJICAに打診を行ったことがきっかけで始まりました。打診を受けたJICAが全世界の事務所に呼びかけたところ80を超えるアイデアが寄せられましたが、その中で最終的に選ばれたのがケニアとキルギスの一村一品プロジェクト(注1)からの提案でした。採用決定から商品化までは、生産体制や輸出手続きの確認、品質テスト、デザインの検討など、一つひとつ丹念に段階を踏んで進められ、ケニアからは石鹸のようにやわらかい特性の石、ソープストーン製の置物が5種類、牧畜が盛んなキルギスからは、めがねケースなどのフェルト製品が3種類開発されました。無印良品は、この取組みで開発する商品について、通常の商品と同様の品質およびデザインのレベルを適用しましたが、それぞれの村の皆さんの努力とJICAによる生産管理体制づくりや品質管理体制づくり等の支援によって商品化が可能になりました。2012年も引き続き、この活動を現地とJICAと共にプロジェクトを続けています。 注1 JICA(独立行政法人国際協力機構)の一村一品プロジェクト 大分県で始まった一村一品運動は、地域資源を生かして特産品を育てることにより地域活性化を目指す取り組みです。開発途上国の農村部での生活は都市部との格差が大きく、また、現金収入の機会は多くありません。そこでJICAは、日本の一村一品運動の経験に基づき、途上国の農村部を対象に、一村一品運動を通じた農村開発に取り組んできました。具体的には、地域の観光資源の活用や、地元の原材料を使った製品開発・販売による地場産業の振興を通じた地域の活性化を支援するプロジェクトを、アジア、アフリカ、中南米の国々で実施しています。

国情報(キルギス共和国Kyrgyz Republic)
※外務省ホームページ、キルギス共和国データより

基本情報

面積 19万8,500平方キロメートル(日本の約2分の1)
人口 540万人(2011年:国連人口基金)
首都 ビシュケク(Bishkek)
民族 キルギス系(75%)、ウズベク系(14.3%)、ロシア系(7.2%)、ドウンガン系(1.1%)、ウクライナ系(0.3%)、その他ウイグル系、タタール系など(2011年:キルギス統計委データ)
言語 キルギス語が国語。(ロシア語は公用語)
宗教 主としてイスラム教スンニ派(75%)、ロシア正教(20%)、その他(5%)

経済

主要産業 農業・畜産業(GDPの約3割)、鉱業(金採掘)
GDP 46.15億ドル(2010年:IMF)
一人当たりGDP 842.58ドル(2010年:IMF)
経済(実質GDP)成長率 -1.4%(2010年:IMF)

JICA(独立行政法人国際協力機構)のキルギスにおけるプロジェクト

キルギスでは、都市部を中心として市場経済への移行が順調に進み、中央アジアで最も市場経済化が進んだ国と称されています。一方、経済体制変革の中で、地域の社会経済活動などの基本単位である村の「コミュニティ」が崩壊したまま放置されてきました。そのため、農地の私有化が進められ自由に生産活動が行える環境が整ったものの、生産および流通を共同で効率的かつ効果的に実施する人々の結びつきやコミュニティがないため経済活動の活性化が妨げられており、地方の経済・産業が停滞し、貧困問題が深刻化しています。このような背景からキルギス共和国政府はコミュニティの重要性を再認識すると共に、経済活動活性化のためのコミュニティ組織の再構築を目指しています。
本プロジェクトの対象地域であるイシククリ州では、人口の約半数が貧困層となっている(2009年時点)ほか、若者が職を求めて国外に流出しています。JICAは、このような問題を解決するため、観光産業や農業など最も開発のポテンシャルが高い産業に注目し、日本発祥の一村一品運動をベースとした活動を行っており、発展から取り残された内陸部や農村部等を対象に、地域の資源を活かした産業を振興する他、農産物の付加価値を高めて農民の収入向上を図ること等を通じ、産業振興、コミュニティの活性化を支援しています。
具体的には、一村一品の対象となる可能性のある製品を発掘し、共同で製品を生産するためのコミュニティ組織の立ち上げ、製品の改善、販売等を支援しています。さらに、製品を売ってその結果を生産者にフィードバックする仕組みや、ブランド認定の仕組みにより官民の支援によって生産者のモチベーションを上げる仕組み作りを行い、JICAの支援終了後も、生産者団体が自分たちの力で顧客を獲得し、その要望に合った製品を作れるようになることを目指しています。

JICA 共同プロジェクトで無印良品が考える支援のかたち

  • 女性に職が、家庭にお金が。 キルギスの農村部では女性が現金収入を得る機会は多くはありません。フェルトづくりが産業として軌道にのれば、女性の雇用が生まれます。また、こうして得たお金は、子供たちの養育費などに充てられやすくなります。
  • ストップ!若者の海外流出。 キルギスには、仕事を求めてロシアへ出稼ぎにいく若者がたくさんいます。キルギスだけでなく、ロシアに隣接している国では同じような事態が起こっているようです。自国に産業が生まれることで、こうした現象を防ぐことになります。
  • ものづくりにおける良好な関係。 今回、現地の方々からは労働力を、無印良品は販売に向けての技術指導を提供し合いました。このようなものづくりを通し、生産者は対価を得るだけでなく産業としてのノウハウを、無印良品は良質な製品を得られるという、互いに恵まれた関係を築くことができます。
  • コミュニティ間の活性化。 イシククル湖の周りにはいくつもの村々が散らばっており、またフェルトづくりは家庭内で作業する人が多いことから、今回のように女性がひとつの場所に集う機会が少なかったそうです。職場での共同作業などから、互いの信頼関係を高め合うことができました。

フェルト商品のできるまで(ひとつひとつ、手作りで丁寧に作っています)

  1. 1.フェルトの準備(汚れ落とし、洗浄、乾燥:1週間)
  2. 2.形作り(約1.4倍のフェルトの型を準備して、縦と横にそれぞれ各2回のせて、石けん水でぬらして抑える)
  3. 3.形作り(2の手順を両面とも3回ずつ、毛を乗せて作業を行い、形を作る:1時間)
  4. 4.サイズの調整(フェルトの縮絨(しゅくじゅう)大きさが1.4倍の大きさから指定のサイズに手でひたすらこすって、毛を絡ませて縮ませる工程:3時間)
  5. 5.毛羽落とし(サイズが揃ったら毛羽を丁寧に取る。)
  6. 6.天日干し
  7. 7.模様の刺繍/ボタン付け

※2011年キルギスのプロジェクト内容については、JICAホームページをご覧ください
JICA 独立行政法人国際協力機構「MUJIとの提携プロジェクト-手作りのフェルト製品を海外の市場へ-」