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#06 キルギスから生産者・事務局リーダーが日本にやってきました。

今年の夏にキルギスへ私たちが訪問した際に、キルギスの一村一品プロジェクトの事務局メンバーとのミーティングを持ちました。その際に、今後の課題や夢などを話し合いましたが、彼・彼女たちより、「マネジメントを学びたい」というリクエストを受けました。毎年、生産者の方々に向けては、品質やデザインに関する考え方などレクチャーをしていましたが、今回は事務局メンバーが、だんだんと大きく育ってきた組織をまとめ運営をしてくために必要なマネジメント・スキルを身につけたいという事でした。

私たちは、このリクエストに対して、運営をする事務局のメンバーが、自分たちの事業として大きく育てたいという意思を感じ、実現させたいと考え、ついに12月にJICA本部と協力して、キルギス人の生産者団体のリーダー(マハバットさん)と事務局リーダー(ナルギザさん)が研修のため来日となりました。
またこの機会に、是非お客様にも、このプロジェクトやフェルト作りの技術を紹介したく、MUJIの有楽町店においてお客様とワークショップを行いました。
今回は、このキルギスのメンバーの日本滞在時の様子をお伝えしたいと思います。

1.マネジメント研修(良品計画本社)2013年12月4日、5日

今回の研修では、研修メニューをキルギス側に選んでもらい、私たちの持つ企業運営のノウハウの一部を2日間で、各専門の担当者からレクチャーをする機会を作りました。

1-1.品質・生産管理について

彼女たちが一番に学びたい項目は、いかに品質や生産工程を管理するかという点でした。キルギス一村一品プロジェクトでは、MUJIのフェルト商品だけでなく食品など他の商材も取り扱っており、1000人に近い生産者に対して、安全な環境で安定した品質の商品を作り出していかなくてはなりません。そのため、MUJIが商品づくりの際に行っている品質や生産管理の基本的な考え方やノウハウを実際に使用している品質管理工程表や作業標準(各工程の作業を行う際の基準書)などといった管理を行うためのシートを用い説明致しました。もちろん、既にキルギスにおいても、同様のものも作成されていますが、より改善するためのヒントや押さえるべき重要な点を説明しました。

写真は、「品質管理工程表、作業標準の作成」の講義の一コマです。

1-2.物流センター視察とロジスティックスの講義

キルギスの本プロジェクトを運営する事務局において、周囲700kmにもなるイシククル湖の周辺に生産者が点在する状況で、つくった商品を集め、一か所に保管しそこから商品の輸出のために出荷したりします。また市内のホテルやガソリンスタンドなどへ商品を卸したり、一村一品プロジェクトが運営する専門店へ商品を適時適量入れていかなくてはなりません。そういう状況であるため、MUJIの物流機能の仕組みや考え方を学ぶ事は非常に重要な事です。
今回は短い日程でしたが、実際に浦安にあるセンターへ視察を行いました。どのように生産者からの商品が物流センターに入り、保管し管理され、物流加工(検品やタグ付替えなどの作業)や、店舗やお客様への配送するための仕分けの仕組みなど、実際に現場を見て説明をしました。

左がナルギザさん、右がマハバットさん

浦安センター

1-3.商品開発とマーケティング

MUJIにおける商品開発のプロセスについての講義と基本的なマーケティングの話を行いました。キルギスでは、MUJIと同じように、商品仕様を自分たちでデザインをし、仕様を決定して一村一品グループのメンバーに生産を委託します。自分たちのブランドとしてお店で販売するというビジネスモデルをもっています。商品開発のための、分析のやり方、例えば市場調査や数値分析などから、年間に予算を決めて商品計画を立てていく事、また実際に商品の単品の開発の流れに関する事などをMUJIの事例をもとに、質疑応答を行いました。その他に基本的なマーケティングに関する理論と実践事例、日本におけるヒット商品とその理由などを紹介しました。

1-4.販売基本ルール:接客とVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)

MUJIでは、MUJIGRAMという業務基準書を各部門作成して、効率よく業務を習得しています。このようなマニュアルづくりを作成する考え方とその運営について講義を行い、そのうえで実際に販売基本ルールを見ながら、挨拶練習や笑顔のトレーニングをしました。また店舗で商品の上手な見せ方の提案をVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の基本的なルールをもとに、MUJIの店舗の写真を見比べて説明をしました。
キルギスでも同様に店舗運営を行っています。私たちが伝えたMUJIの日本式のやり方を、是非キルギスの現地に合ったやり方で工夫をしてほしいと思います。

笑顔のトレーニングとあいさつ練習

VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)は、実際の写真を見て頂きました。

2.ワークショップ (有楽町店)2013年12月7日、8日

有楽町店では、①お客様が実際にフェルトに自分で、ペトログリフ(刺繍の模様)など印をいれるワークショップ、②JICAキルギスで一村一品活動のプロジェクトリーダーをしている原口明久氏による、キルギスの紹介や生産者の成長様子やMUJIとのプロジェクトについてのお話、③マハバットさんによるフェルトづくりのデモンストレーションの3部構成で行いました。
会場には、キルギスの生産者の方の様子の写真や、キルギスと同時にプロジェクトを行っているJICAケニアの一村一品プロジェクトからの商品の紹介出品や、JICA本部からも活動PRパンフレットなども設置し、JICAからの協賛イベントとして実施致しました。

多くの方にご参加いただき、大変盛況に終えることができました。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

2-1.自分でしるしをつけるワークショップ

MUJI×JICAプロジェクトの始まった三年前から継続している人気の「携帯機器ケース」ですが、こちらにはいつも、ペトログリフという中央アジアのキルギスの草原に遊牧民が彫った彫刻より、山羊や踊り子、戦士を刺繍しています。今回のワークショップでは、しるしやペトログリフのないものをご用意して、お客様が好きなデザインで、フェルトに模様をつけるというものです。

用意したフェルトは、羊の毛の色そのままの原毛色とキルギスで採れた植物を使った草木染のウールです。フェルト用の針を用いて、チクチクと模様を刺していく細かい作業ですが、意外に楽しく集中してワークショップを行いました。

草木染は、写真のキルギスで採れる植物などから染めた羊毛を使います。

最初にマハバットさんからの作り方の説明があり、その後は自由にチクチクと刺繍をしていきます。

マハバットさんが丁寧にやり方を教えてくれました。マハバットさんの衣装は、キルギスの伝統衣装となります。

結構、集中してチクチクと刺していきます。

出来上がった作品です。皆さん、色々と個性的にかわいらしい作品が出来上がりました。

2-2.JICAキルギス一村一品プロジェクトリーダー原口明久氏のお話

MUJI×JICAプロジェクトで3年前から一緒に仕事を立ち上げてきた原口さんより、中央アジア、キルギスの国の紹介や、商品が作られているイシククル湖周辺、生産者の様子、そしてMUJIとのプロジェクトについて語られました。
特に、イシククル湖に点在して住んでいる生産者の皆さんは、ほとんどが女性です。そしてなかなか村の外に出る機会がなかったそうです。このプロジェクトが始まってからは、手に職ができ、現金収入が得られるようになってきたことより、女性が村の外に、プロジェクトの会議などで堂々と外出することが出来るようになったそうです。またお母さんが仕事をする為、家事の一部をお父さんやお子さんが手伝ってくれるようになったそうです。女性の地位の向上が、本プロジェクトを通してあらわれてきた状況を話していただきました。
わかりやすい説明で、参加者は興味をもって聞いていただいたようでした。

JICAキルギス一村一品プロジェクトリーダー:原口明久氏
キルギスのプロジェクトは、原口さんがリーダーとなって、現地のキルギス人の組織作り、人づくり、ブランド作りに取り組んでいます。

2-3.マハバットさんのフェルトづくりのデモンストレーション

マハバットさんは、生産者団体のリーダーであり、特にフェルト商品については、200人から300人もの生産者に、同じ品質で商品をつくるための仕様書づくりや、ものづくりの普及を行っています。それほど技術をもった女性です。今回、日本の皆さんにも、そのフェルト生産の技を見せて頂きました。
見て頂いているお客様からも、色々と質問を頂きました。一つ一つ手づくりで、形が作られていることを見ることができ、フェルト作りについて理解が深まったと思います。

ケースなどのフェルトは、ウール、水、石鹸で、作っていきます(ウェット技術)。
その他には、パンチングで針を打っていく作り方で、ペトログリフの刺繍や、動物の置物のようなものを作っていきます。

3.最後に

今回キルギス人の二人を日本に迎えられた事と、研修やワークショップを行うことができた事は、私たちにとって非常に嬉しい出来事でした。研修の内容に関しては今後、キルギス流に自分たちに合うようにすることで、現地でのマネジメントを更にうまくできるようになることを希望しています。ワークショップも、多くのお客様が、このプロジェクトやキルギスの事に興味を持っていただくきっかけになったら、私たちも大変うれしいです。
クリスマスギフトとしてはじまったこのMUJI X JICAプロジェクト、あなたもエシカルなギフトとして、このあたたかいフェルトの小物はいかがでしょうか。
今後もこのキルギスの皆さんを応援しつつ、私たちも一緒にこのプロジェクトを進化させていきたいと思っています。また来年、楽しみにしていてください。
ありがとうございました。

参考 ペトログリフのシンボルの意味

シンボル シンボル説明 意味(英語) 意味(日本語)
Fighter
戦士
Courage
Honor
勇気
名誉
Argali
アルガリ(中央アジアに生息する野生の羊)
Wealth
Speed
富、財
スピード
Dancer
踊り子
Merriment お祭り、楽しいこと

[関連サイト]
JICA 独立行政法人国際協力機構 > ニュース > 一村一品運動で生まれた商品を世界へ(キルギス)
JICA 独立行政法人国際協力機構

このコラムはJICAキルギスの協力の下、無印良品のプロジェクトメンバーが書いています。