MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト リレートーク vol.4
品川八潮パークタウン団地ハイキング

※このレポートは、2014年11月30日に都内で開催されました、「品川八潮パークタウン団地ハイキング」の様子を採録しています。

トークセッション
ハイキング後、門脇氏と土谷氏によるトークセッションが行われました。

土谷
実際に見ると面白いですね。皆さんいかがでしたか。
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトは関西からスタートし、東京では高島平が募集開始、来年にはさらに数カ所で募集が開始します。
様々な団地のリノベーションを手がけている中で今回品川八潮パークタウンを拝見して、1980年代の団地は特徴的だなと感じました。前提として、今までMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトが手がけてきた団地は1950年代の終わり頃のものがほとんどでした。団地の典型とも言える低層五階建ての階段室型。作りは古いけれど、リノベーションすると通風も採光も良いし、とても良い部屋に生まれ変わるので、リノベーションし甲斐がありました。しかも当時の団地は住棟間隔も等間隔で綺麗でした。
そして昨年から1970年代に出来た高島平団地をリノベーションしてきました。この時点で団地はかなり進化しており、躯体の精度も高いです。そして水回りがコンクリートではなくなっているので、修理が可能なのです。また1980年代の団地で驚いたのが“ユニットバス”でした。それに出会って、80年代の団地に魅力を感じました。低層住棟もあり、ランドスケープもあり、それが集約のタイミングを迎えることに可能性を感じました。
門脇
1960年代と1980年代前半までで、団地の姿は大きく変わっていきます。和暦に直すと、昭和30年代、40年代、50年代で変遷しています。品川八潮は昭和50年代です。ランドスケープをしっかりと設計しているのもこの頃の特徴ですね。先ほど敷地内を歩いてお分かりいただいたと思いますが、斜面やスロープに絶大な信頼を置いています。今の時代ですとバリアフリーの観点から嫌われることも多いのですが、人間の動きを都市に表出させ、生き生きとした街にしたいという思いが込められているのでしょう。また、車の通る道と歩行者ようの道を分けているのも特徴です。さらにもう一つ面白かったのが景観の捉え方ですね。品川シーサイドビュータワー等の超高層住宅を見ると、建物全体として色彩がコーディネートされています。一方、品川八潮の時代は特徴的なタイル壁を住棟全体に配置するのではなく、ポイントポイントで各住棟に配置しています。タイル壁より仕様が低く、よく見ると少し劣化しているような壁も、ポイントがあれば人の目はそこにいくので、そうした壁が気にならなくなります。今見ても非常に参考になる考え方です。また、仕上げが住棟毎に違うことも面白い。ポイントは押さえつつ、その他は色々な要素があるということがこの時代の特徴なんですね。

住宅の中は、この時代には設備技術が進んできたこともあって、昔の住宅に比べ、住戸が外に触れる機会が増えています。機械換気技術などが進んで、住宅にそれほど窓を設けなくても生活が成り立つようになったのですね。したがって、特に北側は暗くなり、廊下を歩くとやや非人間的な印象も受けます。それをMUJI×UR団地リノベーションでは、北側の暗い部屋を真っ白に塗り込めて、なるべく明るく見せるような工夫がされていました。また、南側の部屋には、自然光が映える麻畳で仕上げています。光の状態に応じて部屋の仕上げを考えるという工夫ですね。
さらに、この時代はバリアフリーがまだ一般化しておらず、住宅内から段差がなくなるまでにはあと10年ほどかかります。そのため、床に配管を収納するための段差があります。現代ではこの段差は暮らしにくいかもしれませんが、これを今後どう扱っていくかがポイントになると思います。
土谷
昭和30年代、40年代の建物は床を作っていました。現代では、建築技術が進んでいるので、コンクリートの上に直接床を貼れるようになったんです。床を水平にすることがリノベーションで一番お金がかかるので、水平にせず、なるべくそのままにしていくという工夫が必要ですね。
門脇
床をフラットにするために床全体の高さを上げようとすると、南側の掃き出し窓の部分でつじつまが合わなくなることも多いので、実際には難しい改修ですね。当面は段差を残して積極的に使うんでしょうね。また、特に素晴らしいのがバスユニットですね。昔の団地はバスユニットに変えることが難しい中、今回は、特別な工夫を施してバスユニットを導入しています。さらに、レンジフードも良いですね。レンジフードはどうしても目につくところですが、主張しすぎない程度にデザインの良いレンジフードをつくっている。それが団地の魅力を引き出すことに繋がっていて、やはりMUJIとURは相性が良いですね。
土谷
MUJIは暮らしのスタンダードを目指し、URも日本の住まいのスタンダードを目指しています。特別でなく普通の人たちがする暮らしのレベルを上げようという思いが一致しているように思います。
門脇
URの団地もかつては普通の暮らしでした。考え方としては非常に似ています。あと、新築マンションに住むと、最初のうちは汚れないようにと気を使ってしまいそうですが、URの部屋なら明日からでも気軽に住めそうですね。
土谷
ダンボールふすまも良い効果があると思います。デザインでふすまを残すだけでなく、らんまや襖を残すことで高さを動かさないようにしています。枠を残すことに意味があるので。
門脇
80年代のマンションの作り方はその後スタンダードになり、今でも基本的な技術は80年代に登場したものです。外装の考えは変わった部分もありますが、特に住戸内装の考えは出揃っています。なので、こうした団地内の住戸が活かせるとなると、90年代のマンションにも応用がききそうですね。