MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地リノベーション完成 ここだけの話 2016

※このレポートは、2016年1月11日に光が丘パークタウン集会所で行われたトークイベントの模様を採録しています。


豊田
プロジェクトへの思い、考え方
UR団地の魅力がなんなのか、プロジェクトの初年度に整理をしました。
 
「古さ」
古さを生かした設計をしてより魅力的に。ターゲットはできる限り若い方に。30代、40代の方に、ビンテージジーンズのようにビンテージ感、古さが魅力的に見えることを目指しました。
 
「日当たり、風通し」
日当たり、風通しは、現在建築されるマンションに比べて良いという点があります。そこの魅力をより上げられるように設計しました。
 
「75万戸」
URはたくさんの住戸を管理しているので、テストケースができる。同じ間取りがたくさんあるので、試してみてよかったら他の部屋に展開できます。それが一つの効率につながり、横展開しやすくなります。
 
3つのテーマ「生かす」「変える」「自由にできる」
リノベーションとは住まいの間取り、設備等を改修して、目的や時代に合った新しい価値を与えること。MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトは、すべてを壊すのではなく、使えるものは残すことを基本にしています。
難しかったのは「生かす」。聞くと簡単そうですが、やってみると不具合や課題がたくさん見えてきました。そこをどう商品化するかは難しいポイントでした。
「変える」は、変えなければいけないところ。とくに水まわりは積極的に新しくしていきました。
「自由にできる」は、通常の賃貸は間取りが固定されているのですが、そうではなく、お客様の暮らしを主役にして空間で合わせられるような、住み手が自由にできる部分を増やして行こうと考えました。

「生かす」ところ
鴨居(かもい)や柱は残したまま、壁は抜いています。こういった部分は、プロジェクト内でも議論になりましたが、最終的にはビンテージ感を残す設計にすることができました。

BEFORE

AFTER

豊田
URの古い団地は和室が多いので、ベッドが主流の現代的な暮らしでは、奥行き80~90cmもある押入れは使いづらい部分もあります。布団をしまうには良いですが洋服をしまうのには難しい。なので、棚をぬいて室内の延長として使うことができるようなつくり方を行いました。全体的には室内と合わせて塗装し、天袋もできる限り残して和室の名残を味にしていくように工夫しました。

BEFORE

AFTER

扉や取っ手はそのまま残しています

豊田
キッチンは普通のリフォームで棚を取ってしまうのですが、全て白に塗って残したところ、問題ないような仕上がりになりました。

BEFORE

AFTER


「変える」ところ
畳は、一般的にはい草を使って周りに縁のあるものを使うのですが、若い人には古めかしく見えてしまうということで、ヘリなし、表面は麻でできた畳「麻畳」を共同開発しました。家具の痕がつきにくいのでベッドを置くのに適しており、洋室でも和室でも、どちらの生活にもフィットします。

BEFORE

AFTER

豊田
ふすまもひと工夫し、「ダンボールふすま」を新たに開発しました。どうしてもヘリがあって古めかしくなってしまうので、シンプルにしていくことを心がけました。

BEFORE

AFTER

豊田
UR団地の多くは、壁に配線が出てきてしまうのですが、いろんな配線が出ているものをすっきりみせるために、木製配線カバーをつくって整理しました。

BEFORE

AFTER


「自由にできる」ところ
つくり込む部分を減らして、暮らしの余白を増やしています。
麻畳は、ソファやベッドを置いてもあとがつきにくいので、椅子を置いてもいいし、床でごろごろもできる。お客様によって選んでいただけるようにしました。

床で過ごす

ソファですごす

豊田
シェルフで仕切らない場合は大きな空間に、仕切る場合は部屋ができます。例えば最初の5年間は仕切らずに、お子さんが生まれたり暮らし方が変わってから仕切っていく、ということもできます。

シェルフでの仕切りがない場合

シェルフでの仕切りがある場合

豊田
もともとのふすまの使い方を踏襲していますが、素材がダンボールで軽いので、仕切ったり繋げたりということが簡単にできます。暮らし方によって選べるのが特徴です。

ダンボールふすまがある場合

ダンボールふすまがない場合