実は日本人と外国人で頭の形は異なるそう。日本人は丸型、欧米人は卵型なのです。現在、木型を用いて帽子づくりをしている帽子店の存在は稀少ですが、田中帽子店では日本人用の木型で帽子を作っています。そのため、被った際のフィット感が抜群です。

カタカタカタ…という小気味良い音のする工房では、ベテラン職人たちが軽快に手を動かしています。すべてハンドメイドで作られ、使われている機械も創業以来大切に使い続けています。

ちなみに、麦わら帽子の原料は、主に麦の茎部分を編んだ「麦わら真田(さなだ)」というもの。もともと麦の産地だった春日部では、農家の副業として麦わら真田を作り、帽子の原料として海外へ輸出していました。

その後、帽子づくりが産業化した春日部では、空気が乾燥した冬の時期に、縫い上げた帽子を天日干しにする風景が風物詩となりました。湿気を取り除くことで、帽子の編み目が引き締まり、このひと手間が型くずれしにくく、長く使える帽子に仕上げるのです。