永山さんは昭和二十年から温泉街で営業を続ける手打ちそば店「やぶそば」の三代目。故美空ひばりさんをはじめ、多くの芸能人が足を運ぶ歴史を持つみなかみの名物店です。

ただ温泉街自体は衰退が進んでいました。ここへ再び活力を生み出したい・・。それには街に若い働き手を募ることだと永山さんは考え、若者が集まり夢が膨らむ話題性のある商品とその店舗開発への挑戦を始めました。

テーマを「温泉郷お菓子ファンタジー」とし、つくり始めたのはチーズタルト。ですが父親の反対を押し切って始めた畑違いへの挑戦だったため本業もおろそかにできず、商品開発は閉店後夜を徹して行うことになりました。

試行錯誤の連続の中で、そばの味を追求した時の経験が生きてきました。各種素材の微妙な配合、取捨選択、タイミングとスピード。それは永山さんが普段からそば打ちで培っている職人技と共通するものでした。

地元産の小麦粉・卵・乳製品を生かし膨張剤を使わずに仕上げた地産地消の焼きたてチーズタルト。土台の生地はサクッと、特製チーズムースはとろける納得の味わい。砂糖には鹿児島県喜界島産のキビトウを使用しました。

念願の店舗兼工場も完成し、このチーズタルトの通信販売をきっかけに全国の皆さんがみなかみに足を運んでいただるような魅力溢れる温泉街づくりを目指して、さらなる挑戦を続けています。