同社の創業のきっかけとなったのが浜田港のブランド魚の誕生です。「どんちっち3魚」と称される一定の基準を満たした「アジ」「のどぐろ」「カレイ」は、「脂のノリや旨味が格別で、干物にした時のとろける触感が他のモノとは違う」と河上さんは語ります。

同社の取り扱い量の約9割を占めるのが「のどぐろ」。水揚げ量が少ない上に、他産地のものは脂のノリにバラつきがあるのどぐろですが、「どんちっちのどぐろ」は、年間通じて水揚げ量も、脂のノリも安定して良いので、いつでも美味しく食べられます。

主に浜田港で水揚げされた魚は、漁港すぐ近くの加工場に送られ、9名の女性の手で1尾ずつ丁寧に下処理を行っています。2018年より島根県保健所のHACCP管理システムを導入し、安心・安全な商品づくりを推進しています。

新鮮な魚を天然塩で漬ける作業は、魚の旨味を存分に引き出す伝統技法。素材の旨さを味わってもらうため、添加物は使用せず、やさしい味付けになっています。小学生の工場見学や干物づくり指導も行っており、食育の観点からも魚本来の味を伝えています。

2018年に誕生したのが「手づくり缶詰」。かつて同市の基幹産業だった缶詰製造業の約27年振り復活へ同社で小型機器を導入。前浜でとれた旬魚だけを缶に手詰めをして、地元産のミネラル豊富な塩のみを加えてつくる「オール地元産缶詰」です。

缶詰づくりも干物づくりも目指すのは、うま味成分の量が多い状態での加工です。浜田の港には多くの水産仲間が存在し、互いに協力し合っています。漁師や仲買人たちから預かった自慢の魚を更に美味しく加工して、全国・全世界の人たちの食卓にお届けしています。