Café & Meal MUJI
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「素の食」はおいしい。
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「蛇絞岩米」のふるさとをたずねて [2006.10.27 更新]
毎日お客さまに召し上がって頂いている蛇紋岩米(じゃもんがんまい)と赤米を作ってくださっている農家に訪問し、田畑の見学、稲刈り体験、新米の試食をさせていただきました。東京から新幹線と山陰線を乗り継ぎ6時間、兵庫県養父郡蛇紋岩米は収穫の季節を迎えていました。

一面に広がる金色に輝く蛇紋岩米の田んぼ
燦々とふりそそぐ太陽を遮るものは何もない。
一粒一粒にしっかりと米が詰った稲穂は
重そうにたれて収穫の時を待つ。
蛇紋岩米を育てる
蛇紋岩米は氷ノ山の山麓で蛇紋岩の地層、綺麗な空気、降り注ぐ太陽、氷ノ山の湧き水で育ちます。マグネシウムを大量に含み黒い鉱石のように光輝く蛇紋岩は、約5億年前古生代オルビス期に形成された日本最古の岩石です。
触るともろく崩れ風化すると粉末状になる蛇紋の土は、粘度が強く田植えのときは足がはまると簡単には抜けないほどの粘りがあるそう。蛇紋岩のマグネシウムがお米にも吸収され、粘りの強いおいし いお米がつくられます。

「米作りは土地作り、土が良くないと同じ蛇紋の土地でもおいしく育たない。そのために化学肥料は使わず、有機肥料や田んぼの周りに生えた雑草を畑に入れ、栄養を与え土を肥してあげる。」と、実直に語る蛇紋岩米を育てている西谷さん。刈り取った稲穂の藁も畑へ戻され、また来年の米のための肥料となります。

水は、氷ノ山の湧き水と雪解け水をひいてたっぷりと与える。
昔は村の水源だったという山肌の湧き水はキリリと冷たく、口に含むとほんのりと甘みを感じる。清廉な水はその旨み、甘みをお米へと伝えています。

[ここで豆知識]
   田んぼは1反、2反と数えます。
   1反は300坪。1反で約500kgのお米がとれます。
   日本人1人の一年間の米の消費量は約75kgです。

蛇の模様に似ていることから
蛇紋岩といいます。

蛇紋岩は手でもかんたんに割れるほどもろい。

蛇紋岩米をつくっている西谷さん
赤米を育てる
赤米は赤い色をした古代のお米。奈良平城宮後から、天平勝宝7年(西暦755年)に赤米5斗を養父から奈良の都に収めたと記載の木簡が昭和38年に出土しました。それにちなんで昭和63年からこの土地で赤米作り復活の取り組みが始まったそうです。

現在世界中で赤米は300種類ほどあるそうですが、赤米は白米に比べ稲の丈が高くすぐに倒れてしまうため、機械が使えず全て手作業での刈り取り。また白米にくらべ成熟しても6〜7割しか可食部が取れず、苦労も報われません。稲はほんのりと赤黒いので、モミを剥いてみると意外にも赤くないお米が現れました。驚いてたずねると、刈りいれた稲穂を時間をかけて天日で乾燥することにより、鮮やかな赤色になり、機械での乾燥では綺麗な赤にならないとのこと。白米よりも一手間も二手間も手がかかる赤米は、地元でもなかなか育てるところが少ないのです。

赤米を育てている山下さんは昔の品種を絶やさないために、3種類の赤米を苦労を覚悟で育てられています。この赤米がCafé MUJI、Meal MUJIの十穀ブレンドの中に入っています。
「Meal MUJIのポテトサラダにも入っており、お客様から大人気」とお伝えすると、照れながら「そんな食べ方があるのか」と喜んでくださり、「これからも頑張ってつくるよ」とおっしゃってくださいました。

白米に比べ籾もほんのり赤黒い

赤米を育てる山下さんとお米屋の浄慶さん。
新米をいただく
稲刈り体験後に、西谷さんのお宅で蛇紋岩米の新米のおにぎりを作っていただきました。艶々と光り輝くお米は冷めているのに粘りが強く、水分が多いがベチャッとしない。しっかりと炊けているのに、1本芯がとおった、一粒一粒が立ったお米です。
お塩もふらずにぎっていただいたのに米自体に滋味深い味わいがあり、なによりも甘い。旨い。美味しく炊くコツはとにかくしっかりと米を研いで、よくすすぐこと、と西谷さんの奥様に教えていただきました。
一緒にお豆腐と柚子のおすまし、お漬物、地竹の子の煮物、蕗と山椒の佃煮、おからをいただきました。期せずして、素朴ながらご飯と相性抜群の一汁三菜。地元の人は素朴な暮らしの中で自然にいただいている日常の食事。
東京の多国籍で何でもある食事は「日本人の体には、負担なのかもしれないなぁ」としみじみ感じました。今日いただいた、素材の恵みの一汁三菜の大切さをお客様に召し上がっていただけるように、今後のメニュー作りにいかしていきたいと決意をあらたにしました。

艶々と光り輝くおにぎりと畑でとれたお漬物
カフェ・ミールのお米
稲穂にたわわに実った米はまずは脱穀機にかけ、藁と籾(お米がはいっている)に分けます。
藁は畑の肥料になり、籾に入ったお米は籾を取り除き玄米になります。玄米は直射日光を避け、10℃に保たれた貯蔵庫で新鮮な状態で保管され、必要なときに必要な分だけ精米します。
お米は精米すると裸になるので、そこから酸化が始まり鮮度が落ちていき、美味しく食べられるのは精米から2週間が目安です。お客様には一番美味しい状態で召し上がっていただけるよう、Café MUJI 、Meal MUJIでは精米したてのお米を届けていただいています。


取材後記
西谷さんをはじめ、農家の方がたくさんの努力と苦労を重ね育ててくれたお米。一粒に八十八の努力がつまっていると昔いわれたけれど、そうやって作ってくださったお米を、私たちは本当に大切に扱っているだろうか?研ぐときお米を流していないかな、食べ残していないかな?作り手の顔を見ると、外食時に何気なく食べ残しをしていたことが恥ずかしくなりました。
飽食日本、このままではいけないと考えさせられました。



今回の取材者(1)
ミールムジ有楽町店木原シェフ

今回の取材者(2)
ミールムジ京都BAL店松岡シェフ

今回の取材者(3)
私、メニュー開発担当松崎
(稲刈り初体験のへっぴり腰…)
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