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住まいをつくる方法は誰も教えてくれません。学校でも習いません。上の世代から教わることもあるかもしれませんが、必ずしも現在の私たちの状況には当てはまりません。それはなぜでしょうか。わずか50年の間に日本人の住まい方が大きく変わってきたからです。経済成長とともに、都市化が進み、地価が高騰し、住宅は集合し高層化していきました。家族の形も変化し、ご近所やコミュニティのあり方もすっかり変わりました。

一方で住宅はとても高い買い物になり、融資を受けて土地や家を買うことには大きな勇気と決断が必要です。一戸建て住宅は素敵ですし、新築マンションも快適そうですが、もう少し合理的な住まいの作り方はないのでしょうか。

これから日本の人口は減りはじめます。住宅の需給バランスにも変化が生じるはずです。2007年の無印良品が提供する話題はリノベーション、つまり建築のリサイクルで、自分にぴったりの住まいをつくる方法です。もっと本音で家に向き合い、型にはまった間取りや、家をステイタスとする堅苦しさから、本気で抜け出してはどうでしょうか。

例えば、新品のマンションを手に入れるという発想を切り替えただけで、可能性は格段に広がります。ヨーロッパの人々は新たなビルを競うように建てるのではなく、古い建物の中身を、自分たちの暮らしに合わせて改装して用います。長く使える建物の骨格を「スケルトン」と呼び、内側のインテリアを「インフィル」と呼びますが、ヨーロッパの人々はスケルトンを大事に再利用し、インフィルを自在に作り替えて生活空間をしつらえているのです。長く使う建築は50年を過ぎたあたりで、ようやく評価が定まってくるという見方もあります。

日本は、1980年から90年代に住宅のための建築がたくさんつくられました。つまり「スケルトン」が数多く供給されたわけです。これらは現在「中古物件」と呼ばれていますが、それらの価値をきちんと見極めて利用すれば、望ましい住まいを安価に入手することができます。

イメージしてみてください。ご自身の住まいの理想を。ある人は部屋の真ん中にグランドピアノを据えて、防音壁を巡らした室内で思い切り演奏をして暮らしたいと考えるかもしれません。またある人は、キッチンを中心とした広いワンルームに、お客を呼んで料理を作り、手軽にパーティを楽しめる暮らしを想像するかもしれません。またある人は、日当りのいい場所に、大きな風呂を据え、のんびりと手足をのばす安らぎを手に入れたいと考えるかもしれません。さらにある人は、部屋中の壁という壁を書庫にして、大好きな蔵書に囲まれて過ごす時間をイメージするかもしれません。そういう、自分自身の住まいを手に入れる方法が目の前にあるのです。まずはよくある間取りを頭の中から取り払い、自分の住環境を自分の意志で編集していく積極性を持ちましょう。

旅行でも、団体ツアーを卒業して、自分でチケットを買い、行きたいところを自由に闊歩するプランを実行する人が増えています。住まいも同じこと。計画途上のマンションを購入するよりも、時間を経たマンションは、環境をじっくり吟味できます。樹木も育ち、建物にも程よい風情が生まれています。

床や壁をすべて取り払って、ゼロに戻すのは少しばかり覚悟のいることかもしれません。しかしそこに自分たち独自の暮らしの構想が生まれるのです。

床を張り替え、壁の素材を考え、照明の質を見定める。暮らしにあった台所を選び、水道の蛇口の使い心地を確認していく。一脚の椅子や、一枚のタオルに気を通わせることで、住まいは自分たちの生き方にここちよく寄り添ってくるはずです。

無印良品は合理的な住まいを考え、それを自在に編集していくお手伝いをします。基本は7000アイテムにわたる製品を通じてですが、時宜に応じて住まいづくりのアイデアをお届けしていきます。近日刊行の本『家——家の話をしよう』はその一環。家に向き合う無印良品と本音で話をしてみませんか。