自然と自分が繋がる時間
第8回 青空事務所/さつきやま森のようちえん 安田有美さん インタビュー

プロフィール
安田有美さん:青空事務所 主宰/「さつきやま森のようちえん」スタッフ

五月山を中心にエコツアーを開く青空事務所の安田有美さんは、師匠であるエコツアーガイド・木村太郎さんの誘いから、池田へ移住されました。そんな安田さんへ木村さんが課した修行は「まずはエコツアーを100本実施する」ということ。その課題に挑戦するところから、青空事務所ははじまりました。

エコツアーの修行として課された”100本”は、五月山で行ったんですか?
安田さん:
まずは五月山ではじめました。一番近くにある山が五月山だったので、私もここへ引っ越してからは結構登っていたんです。五月山は整備されているから、大人も子どもも楽しめるんですよね。毎朝登られているおじいちゃん、おばあちゃんもいたり。今日は普段ツアーで歩いているコースを辿りながら、五月山に入っていきたいと思います。
よろしくお願いします。
安田さん:
街中から五月山へ入っていく途中に、プラネタリウムがあるんですが、私そこが好きなんです。小さくてこじんまりしているけど、すごくきれいで。

池田市立五月山児童文化センター内プラネタリウムにて

こんなプラネタリウムがあるなんて、知らなかったです。
安田さん:
頻繁に来るわけではないけど、池田の好きな場所の一つだなぁ。富山にいた頃、冬になると私の部屋からオリオン座が毎日見えていたんです。星座に詳しいわけではないけど、見ていると宇宙を感じるというか。なんだか繋がっている感じがするし、星空がすごく好きで。当時は寒いのに、よくカーテンを開けて寝ていました。雪が積もっている時は、雪の白さだけで空が明るくなるんです。そういう光景を見るのが好きで。
その体験からプラネタリウムへ魅かれるんでしょうか。
安田さん:
そうかもしれないですね。ニュージーランドへ行った時も、プラネタリウムを探して見に行っていたので。
青空事務所は、いつ頃スタートしたんですか?
安田さん:
2012年の8月くらいです。太郎さんと出会って池田に移住してから、本格的に始めました。
初めは、どんなツアーを企画されたんですか?
安田さん:
池田へ移住してからアンテルーム大阪に住んでいたのですが、そこの住人を五月山に案内したのが最初のツアーです。せっかく池田に住んでいるのに五月山に登ったことがないという子が多かったので、じゃあ私がツアーを企画して案内しようって思って。そこから次第に、夜の五月山を歩くナイトハイクや、五月山の展望台で日の出を見るご来光ハイクを開催するようになりました。当時参加してくれた子たちは、そのあと個人的に五月山へ行くようになった子もいましたよ。
他にはどんなことを企画されたんですか?
安田さん:
田舎体験のツアーを組んで、富山で雪遊びや橇(かんじき)ハイキング、餅つきをしてみたり。屋久島へ行くツアーを組んだこともあります。私が青空事務所をしていることを知ってくださった方から、お声がかかることもありました。例えば「豊崎じんじん」という、中津の豊崎神社で開かれているマーケットの方々から、「都会の子どもたちに自然と触れ合う機会を提供してほしい」という依頼をいただいたんです。そこで「自然とあそぶ」というテーマで毎月企画を考えたり。それは今も続いているので、もう2年くらいやっているかなぁ。
やりはじめた頃と今とでは、自分の中で変化はありました?
安田さん:
当初から五感は大切にしていて…
100本やりきったことで自分のやっていることに自信を持てるようになったのが大きな変化ですかね。後は、前以上に五感で感じてもらうことを大切にするようになりました。案内中に植物や木の説明もしますが、自然と自分が繋がる時間を、私がこの4年間で培ってきたコーチングのセンスも活かしながらツアーを通して提供したいと考えるようになって。そうすることで、参加してくれた方が笑顔で帰っていってくれるといいなって思うんですよね。
普段の生活から離れて山へ入ることは、自分を見つめ直すことができるきっかけになりそうですね。
安田さん:
そうですね。それに、山に入って緑の中へ行くと、体についたいらないものがきれいに浄化される感覚があるんじゃないかな。自分がフラットになるというか。五月山はすごくエネルギーが強いと思いますね。ここに入ると、手に熱がくる感じがするんです。とくにナイトハイクは視覚が効かなくなるので、他の感覚がより研ぎすまされて、普段と違う非日常を味わえるんです。足の裏のデコボコ感や風の音を感じたり、夜景の美しさを強く感じたり。普段気づかないことに気づくようになるんですよね。夜の五月山自体は真っ暗なので、意外と大阪市内の街明かりがここまで届いたり、月明かりがまぶしかったりします。
展望台からの景色、すごくきれい!
安田さん:
でしょう? これだけ都心が近くに見えるところも、そんなにないですよ。ここでご来光も見るんですが、朝早い時間はあまり登る人がいないので、展望台も貸し切り状態なんです。朝日を見ながら紅茶やコーヒーを飲んだり、贅沢な時間を過ごせます。夜になると伊丹空港の滑走路にいる飛行機の明かりが見えて、それもまたきれいなんですよ。
このコースは、プライベートの時も来るんですか?
安田さん:
プライベートでもこのコースかな。そういう時はおにぎりを作って持っていって、ここで景色を見ながら朝ごはんを食べたりしてるんです。すごく気持ちいい。ちなみに、ナイトハイクの時は行きも帰りもこのコースですが、ご来光ハイクは帰りは違うコース。今日は特別に、帰り道に池田城跡公園のほうも寄ってみましょう。
池田城跡公園も、よく行かれるんですか?
安田さん:
山に登る元気はないけど、ちょっと自然に触れたいなって時とかに行きますね。春はしだれ桜がすごくきれいで、6月にはテッポウユリ、秋は菊まつりというように、四季にあった草花や行事も魅力的なんです。展望舎の上に登れば五月山全体を眺められるし。山に入って1本1本、木を見るのもいいけれど、こうやって離れたところから見渡すのも好きなんですよね。
ありがとうございました。

青空事務所/「さつきやま森のようちえん」スタッフ 安田有美さん

富山県出身、池田市在住。ニュージーランドでトレッキングガイドを経験。帰国後、木村太郎氏へ師事。エコツアーを行う青空事務所を構え、五月山でのナイトハイクなどを行う。「さつきやま森のようちえん」にはスタッフとして、スタート時から携わる。

DATA
https://officeaozora.sakura.ne.jp/index.php
http://ameblo.jp/morino-youchien/

池田の人と町の話