イベント採録
「耐震住宅トークセッション ~耐震住宅100%を目指す試み~」

※このレポートは、2014年8月23日に無印良品の家 MUJI新宿 家センターで行われた、耐震住宅トークセッションの様子を採録しています。

田鎖
構造計算をやりました。耐震設計をやりました。もう1つ大事なことがあります。手抜き工事をされるのを防ぐこと。昨今もあとからコンクリートに穴をあけてしまったため、耐震性がなくなって建て直した事件がありました。そうならないために、国の制度を利用しましょう。
長期優良住宅認定制度」というものがあります。これは家を建てる前の検査と、建てている最中の検査をすることが義務化されていますので、長期優良住宅の認定制度で家を建てる、耐震性を設計したものが、実際に建物の中でちゃんと施工されているかを国の基準で調べてくれます。ただしお金がちょっとかかります。検査とかいろいろありますので。
これも僕はよく言うことなんですが、車って100万円のものを買うときにでも、みんなうんと性能を調べるじゃないですか。排気量がどうのとかステアリング性能がどうのとか。だけど家は2000万とか3000万とかするのに、誰も性能のことを聞かなくて、ヒノキの4寸の柱を見て「う〜んいい柱だ」って言うわけですね。もうそれが間違っています。ちなみに、スギとヒノキって木の中で1番弱い材料です。1番強いのは樫の木とか広葉樹です。ナラの木とかもいいです。針葉樹の中でも最も弱いのはスギ。ヒノキは腐りにくいところは良いのですが、構造材としては1番弱い部類に入ります。これはあんまり変なこと言っちゃうと、日本の山を守る人たちのためにもなりませんので、これらの木をなんとか強くして使っていこうと思っています。

この「長期優良住宅認定制度」っていうのは国が制度化しました。ただこれには問題があって、2000年以降に耐震基準ができたため、いまだに木造住宅の4軒に1軒しかこの制度を利用してないのです。この制度は任意なので、お客さんが 「いらない」って言われたら、導入しなくていいというルールです。
となると、住宅の営業マンがなんていうかって言うと「長期優良住宅認定制度っていうのがあるんですけど、まあプラス25万円くらいかかりますが、頼みますか?」ってお客さんに聞くんですね。「25万円かけて検査します?」って聞いて「ぜひお願いします」ってなる人はほとんどいません。そうなると「ウチでは、長期優良住宅と同じ仕様を使っています。同等仕様のものですから、認定はいりません」という、詐欺のようなことが実際におこります。つまり「長期優良住宅認定制度」をお客さんが利用すると、当たり前ですが耐震設計しなきゃいけなくなって現場も検査されちゃうので、これに困る人たちは長期優良住宅認定と「同等」と言い逃れします。もっとひどいというか上手な営業マンは、打ち合わせギリギリまでいい物を選ぼうとしているお客さん、あと1万円とか1円のレベルで見積もりを調整している時にこれを聞きます。で、お客さんに「いや、いいです」って言わせるんです。

家に住み続けるために性能を調べること、メンテナンスをすること、これが大事です。もうひとつ大事なことは「省エネルギー性能」です。国が定める、建てた後ではどうしようもないことを先に調べておきましょう、という制度です。でも、残念ながら建設業界って政治家にとって凄い評伝なんですね。だから建設業界をいじめるような法律はつくりにくいので、こういう制度は義務化できないんです。これも、任意になってしまった制度です。でも、良心的なところはみんな使っています。いろいろな制度を理優することで、耐震性のある建物は比較的手に入れやすいようになります。ちなみに「長期優良住宅保証制度」を使った家は、住宅の履歴書制度の導入義務がありますので、建物の途中経過や最初の設計データを全部管理しているため、販売するときに有利になります。イギリスとかではこれが義務化され、住宅を販売するときは必ずその建築データを全部入れて家を売っていくという制度になりました。

もひとつ、地震保険っていう制度があります。保険全般には「戦争・テロ・地震・この3つは免責にしても良い」というルールがあるので、自動車保険や火災保険でも全て地震は免責になっています。地震保険という名前の保険だけが、地震のときの災害を担保していいということになっています。なので、地震保険には必ず入ってください。耐震性のある建物をつくっても、もしかしたら地震で貰い火事になるかもしれない、ほかの建物が倒れてきて壊れるかもしれないのです。他の保険は地震が原因だったら1円も貰えません。
地震保険は火災保険とセットで加入しなくてはいけません。ここは少し問題なんですけど、火災保険で2000万円の保険に入れるときは、1000万円までしか地震保険が担保してくれません。それでも入っておいた方がいいです。ただ、地域によって異なります。例えば、地震保険は南海トラフの上に住んでる家ほうが高いです。いま東京だと、掛け金は1000万円あたり2万9000円くらいです。ちなみに阪神淡路大震災のときは、関西の人は保険がキライで、火災保険にも入ってなかった人が多く、地震保険の使用率がすごく低かったので、783億円を国が支払いをしました。地震保険は国の保険なので、国の予算で掛けているものです。東日本大震災のときは、恐らく今1兆7000億円くらいの保険が支払われることになると言われています。ただし、このときも地震保険にはいってないと0円です。「自己債券をするのには全部自己責任ですよ」っていうのが、残念ながら今の日本の法律なので、ぜひ地震保険に入ってください。さらに、地震保険は確定申告していると戻ってきます。この7月1日から法律がまた変わりまして、RC建物、鉄筋コンクリート造の建物にお住まいの方で、免震建物の場合は50%引いてくれます。2万9800円くらいだったら、半額の1万5000円くらいになります。これぜひやってくださいね。