イベント採録
「耐震住宅トークセッション ~耐震住宅100%を目指す試み~」

※このレポートは、2014年8月23日に無印良品の家 MUJI新宿 家センターで行われた、耐震住宅トークセッションの様子を採録しています。

田鎖
ここで、構造計算についてちょっとお話します。
地震で揺れた時には、建物に横の力と縦の力がかかります。それを想定してシュミレーションしていくのが構造計算です。
建物は柱で支えるので、上が重くて下が軽いと不安定になります。重い建物だったらたくさんの柱で支えないといけないので、まずは構造計算とは建物の重さを計ることから始めます。
 
田鎖
まず「構造材(木材)の重さ」これは40㎡で10トンくらいです。鉄とかコンクリートよりも、木は水に浮くほど軽いので、構造的にはすごく有利です。そして床とか壁とかの材料が8トンくらい。最近窓はガラスが多くなってきて、非常に重くなってきましたが、それがだいたい10トンくらい、家財道具は、だいたいで正確には出せませんが、引っ越しするときに4トン車で運ぶくらいだとするとまあ、4トンくらいです。これは目検討だと思ってください。
この建物は35トンになります。さてこれだけで終わっちゃいけません。最近、大雪がありましたよね? 雪は、関東地方ではだいたい30㎝積もると想定しています。そうすると、雪は水よりも軽いので1㎡あたり30㎝雪が積もると60kgくらいの重さになります。60kgって結構重いでしょう? 
そして屋根が60㎡とかあったりします。さて、何トンでしょう? なんと3.6トンです。それってだいたい車1台分で、ベンツのでっかいヤツくらいですからね。それが屋根に乗っかっている計算になります。合計して約36トン、これが家全体の重さです。

その重さで、地震に耐えられるか? ということになります。家の重さ36トンというのは、設計図データを呼び出せば全部出ます。いまはCADですぐに計算できます。36トンの重さをだいたい震度5の1.5倍で計算してみます。1.25倍が耐震性能があるというひとつの目安なので、1.5倍までいけばすごい耐震性能があります。震度5の1.5倍っていったら、震度7よりもおそらく強いという、いま想定されるものではトップです。すると、横にはたらく力は10トンになります。
皆さん住宅展示場の構造見学会に行って、頑丈さを確かめるために柱を手で押してみたりしますよね。絶対に10トンも力をかけれませんよね。どこかのコマーシャルで横綱がこう、押しているじゃないですか? 僕からすると笑止ですよ。横綱の押す力が10トンもあったらすごいです。あんなので家が倒れたら可笑しいに決まっています。10トンを支える家ということですから。
 
田鎖
なおかつ建物が崩壊するにあたっては、設計者に「地震であなたの家って揺れませんか?」って聞いて「揺れません」っていう人がいたら、ウソつきです。地面が揺れていれば、建物は揺れます。建物は絶対にしなるんです。超高層ビルなんてものすごくしなります。なので、そのしなりが何㎝かをコントロールすべきということが重要です。
建物の高さのバランスを考慮したうえで、それぞれの柱とか梁にかかる力を計算して設計をしてもらいます。これを説明 するととても大層なことのように見えますが、柱を「これ1本いくらか?」って見積もるのと同じように、「これ1本何キロか?」と見ていけば、コンピューターで計算できるわけですからそんな大したことではないです。価格を見積もるのと一緒に、kgを見積もる、簡単なことです。そして、力はどっち側にかかって上にかかるのか下にかかるのか、などなどを計算するわけですね。これは専門家にやってもらってください。自分でやると危険です。

木造住宅の耐震化の答えは、構造計算をして地震に負けないものにすること。正しく計算して、つくる前に性能をシュミレートする、ということです。